マーケットは大きなボラティリティ(変動幅)で揺れている。いったい何が原因で大きく動くのか・・・。外為オンライン・アナリストの佐藤正和さん(写真)に2018年3月の相場動向をうかがった。

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 2月末から3月初旬にかけて、為替市場、株式市場ともに大きく揺れ動いた。米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度委員会)の新しい議長に決まったジェローム・パウエル氏の議会証言が注目を集め、日本でも黒田日銀総裁の続投が決まりつつある。いずれも、これまでの政策を踏襲、継続していくとしているものの、マーケットは大きなボラティリティ(変動幅)で揺れている。いったい何が原因で大きく動くのか・・・。外為オンライン・アナリストの佐藤正和さん(写真)に2018年3月の相場動向をうかがった。

 ――2月相場は大荒れとなりました。その原因と背景を教えてください。

 金融市場にとって、2月は大きく揺れ動いた相場になりました。株式市場は、米ニューヨーク市場をはじめ世界中で株価が大きく乱高下。為替市場でも、ドル円で1ドル=110円台から105円台まで円高が進み、波乱の1か月となりました。

 この波乱相場の原因は、やはり米国の金利と考えていいでしょう。米国金利が上昇して2.7〜2.9%台で動き、金利上昇が嫌気されて株式市場が大きく下落。当初、為替相場に大きな影響はなかったものの、結局はドル安円高に大きく動きました。米国の金利が上がれば、本来はドル高になるのが普通ですが、株式市場の下落でドルが売られる、という展開が続きました。

 経済指標も、好景気が裏付けされるような結果が発表されると、さらなる金利引き上げが連想されて株価が下落し、ドルも売られる・・・。現在の金融市場はそんなメカニズムで動いていると考えて良いのではないでしょうか。

 ――パウエル新FRB議長の議会証言はどうとらえられたのでしょうか?

 2月27日と3月1日に行われたパウエル新FRB議長の両院での議会証言は、予想よりも「タカ派」的な印象を受けました。より積極的な金融政策を信条とするのがタカ派ですから、これまで今年の利上げは2〜3回と見られていたのが、議会証言以降は3〜4回ではないか、というのがマーケットのコンセンサスになりつつあります。

 パウエル新議長の議会証言を前後に株式市場は大きく動き、ニューヨーク・ダウ平均は3日間で700ドル上昇し、さらにまた3日で680ドル下落するといった乱高下を繰り返しました。その間、米国の長期金利も上昇しましたが、本来なら金利上昇でドルも高くなるはずですが、ドルが売られて円が買われるという逆の動きになっています。さらに、3月1日にはトランプ大統領が大統領権限で中国に対して鉄鋼製品などに高い関税を課すことが発表され、ドル円も105円台をつけるなど、波乱の幕開けになっています。

 ――3月はFOMCがありますが、ドル円の予想レンジは?

 3月20日−21日にかけてFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されますが、金利の引き上げは確実視されています。これで米国の政策金利は0.25%上昇して1.50%に引き上げられると予想されています。すでに市場は織り込み済みとは言え、FOMCの前後にはまた荒れた相場になると覚悟しておいたほうがいいかもしれません。

 また利上げが確実視されてはいるものの、3月9日に発表される雇用統計で想定外の数字が出たり、ダウ平均が1000ドルも下落するといったサプライズが起これば、利上げも微妙になってくるかもしれません。

 日本では、日銀総裁の人事が黒田東彦総裁の続投の方向で進んでおり、3月2日に国会で所信聴取が行われました。今回は、副総裁の人事で雨宮正佳日銀理事と若田部昌澄早大教授が新たに就任することになっていますが、若田部氏は積極的な金融緩和策を通してインフレ期待を高める「リフレ派」の代表的な経済学者であり、さらなる金融緩和が予想されています。