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近年、ブランド企業による動画コンテンツの制作が拡大し、中でも“泣ける”、“胸が熱くなる”と消費者の心に響くネット動画が話題となっている。例えば、日産自動車が手掛けた動画コンテンツでは、夫婦や親子によるサプライズを描いた動画が“泣ける”と話題になり、またダンロップは人気漫画家やアニメーション監督を起用したアニメ作品を公開し、大きな反響を生んだ。

こうした動画コンテンツに共通している特徴は、テレビCMなどにみられる商品・ブランド訴求を抑え、ブランドの世界観をストーリーのなかに投影しているという点だ。企業はこのような動画コンテンツに何を期待し、そして消費者に向けてどのようなメッセージを込めたいと考えているのか。1月下旬にウェブ動画「妄想胸キュンムービー」を公開したジョンソンに話を聞いた。

この動画のテーマは、“胸キュン”。主婦である主人公がインフルエンザで寝込んでしまった時、「夫にこんな風に優しくされたい」という願望を、“妄想動画”という形で表現したのだという。コンテンツの制作にあたっては、実際に主婦400名を対象に「体調が悪い時に夫がしてくれたもので、“ときめいたシチュエーション”は?」というアンケートを行い、その結果を元に実際にやってもらえたら心がときめくのではないかというシーンを5つピックアップして動画にまとめたのだという。動画の最後には、実際にインフルエンザに罹らないよう、家庭でできる対策を紹介している。

動画を制作監修したジョンソンの青山知世氏によると、今回の動画は同社が販売しているアルコール除菌剤の利用促進を目的に制作。「アルコール除菌剤の効能を調査している中で、『アルコール除菌剤による拭き取り掃除でインフルエンザウイルスを99.99%除去できる』ということを見つけたため、その有用性をお伝えしてインフルエンザ対策のお役に立てればと考えた」と説明する。

しかしそれならば、アルコール除菌剤の効能を全面に打ち出したプロモーションを打ち出せば良いとも考えられる。こうした疑問に対して、青山氏は「ただ真面目に伝えたのでは、家事や育児、仕事など忙しい主婦の方々に興味を持って見て頂くのは難しい。そこで、多くの主婦の方々に楽しんでいただけるよう、今回は『胸キュン妄想動画』というコンテンツで表現した。忙しい主婦の方々に“さすがにここまではしてくれないでしょ!”とツッコミを入れてもらいながら“ちょっといいな”と楽しく感じて見て頂ければ」と説明。

つまり、企業が打ち出したいメッセージをダイレクトに訴えるのではなく、それを消費者が関心を持ったり自分ごと化したりできるストーリーの中に織り交ぜることで、広告より自然な形で大切なメッセージに接触してもらうおうというのだ。

「妄想ストーリーを楽しんでいただきながら、“手洗い・うがいに加えて、アルコール除菌剤による拭き取り掃除を行い、インフルエンザウイルス対策を実施しましょう”というメッセージを多くの消費者に届けることができれば。結果的に、アルコール除菌剤の利用拡大とインフルエンザ対策の拡大に貢献できればと考えている」(青山氏)

青山氏によると、動画の公開後には視聴した消費者から様々なコメントが届いており、「多くの方に楽しんでいただけたのではないかと考えている」(青山氏)という。ネット上に広告が溢れる現在、ユーザーにとってウェブサイトやアプリのあちらこちらに出現する広告は“スキップするもの”として受け入れられ、執拗な広告には嫌悪感を抱くことも少なくない。しかし、企業が趣向を凝らしたコンテンツを制作・発信することで、広告が広告ではなく消費者がそのストーリーに感情移入できる“エンターテインメント”として受け止められれば、より自然な形でブランドのメッセージをユーザーに届けることができる。昨今増加傾向にあるこうしたコンテンツマーケティングは、広告と消費者の関係性を変えるひとつの試みだと言えるだろう。今後、企業はどのようなストーリーを紡ぎ、消費者に届けていくのか。今後の動向に注目したいところだ。