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■月2000〜3000円台半ばくらいが相場

犬や猫などのペットを飼う人が増加し、「子どものいる家庭よりペットを飼う家庭のほうが多い」と言われるほど。そんな中で注目が高まっているのが、ペット保険だ。日本は欧州などと比較すると、まだペット保険の加入率は低い。逆に考えれば、ペット保険市場に伸びしろがあることを意味する。

動物には公的な健康保険がないので、医療費は飼い主の自己負担。当然、月の医療費の上限を定める高額療養費制度もなく、大病すれば「20万円も請求がきて卒倒しかけた」などの事態も起こりうる。そんなときペット保険に入っていれば、所定の病気やケガで通院・入院・手術することになった場合、保険金が出る。

人間の医療保険と同様、貯蓄で対応できるなら不要だが、貯蓄が心もとないなら、検討する価値は十分あるだろう。

気になるのは保険料だが、近年はペット保険を取り扱う保険会社が増え、価格競争が起こって値下げ傾向にある。目安はどの程度か見てみよう。

たとえばトイプードルの子犬(0歳)の場合。入院・通院・手術にかかった費用すべてに対し、その70%をカバーするというよくあるタイプの保険だと、保険会社によって異なるが、月額保険料は2000〜3000円台半ばくらいが相場だ。

しかし、補償を費用の50%に抑えたり、通院補償を省いたりすると、保険料はもっと安くなる。たとえば、手術とそれに伴う入院に特化したアイペット損害保険の「ペット保険うちの子ライト」なら、トイプードル(1歳)の保険料は月1000円以下だ。

補償とのバランスを考える必要はあるが、保険加入のハードルが低くなった点はペット愛好家にとって朗報だろう。

■“ペット探偵”によるねこ捜索サービスも

ペット保険は動物の種類やサイズ、年齢で保険料が異なるのが大前提。サイズが小さく、若い動物ほど原則的に安い。ただ、多くは1〜3年で保険料が更新される定期保険なので、加齢とともに負担が増えるのは忘れずに。

また、競争が活発化しているのは保険料の面だけではない。ペット保険業界各社は、さまざまな周辺サービスの拡充にも着手している。

サービスの充実ぶりで突出するのは、業界最大手のアニコム損害保険。同社は業界で初めてLINEでの保険金請求を可能にしたほか、LINEで獣医師にペットの健康相談ができるサービス「どうぶつホットライン」も展開。

さらに、アニコムはペットの遺伝病(品種的特徴や繁殖方法などを原因とする遺伝子疾患)が蔓延する事態を問題視し、同社の小森伸昭会長の肝いりでアニコム先進医療研究所を設立した。確立された解析技術を基に、遺伝病撲滅のため啓発活動・情報配信をするほか、今後は遺伝子検査の事業化、治療の研究も進める方針だ。

また、ペット保険は通常犬や猫などに対象が限定される場合が多いが、日本アニマル倶楽部では鳥や各種小動物、爬虫類もカバー。変わり種では、オープンストリームの“ペット探偵”によるねこ捜索サービスも。専用アプリで猫の居場所を捜索する「ねこもに発信機」の購入者が加入できるもので、発信機をつけていても猫を発見できなかったとき、ペット探偵に捜索依頼をする費用が補償される。

今後は保険料だけでなく、こうしたサービス面に着目して保険を検討するのも手。これからも新たな商品やサービスが出てくる可能性が高いので、気になっている人は情報収集してみよう。

(ファイナンシャルプランナー 風呂内 亜矢 構成=元山夏香 写真=iStock.com)