今の就活生は将来、どんな社会人になりたいと思っているのだろうか (写真:k+s / PIXTA)

「人生100年時代」といわれる超高齢化社会を迎え、「一生同じ会社で勤められる社会人は一握り」と言われる時代になっている。そんな中、これから社会に出ようとする就活生は、どのような就業観を持ち、どんな人生設計を思い描いているのか。マイナビが行った各種調査を基にひもといてみたい。


まず、マイナビが行った「2018年卒マイナビ大学生就職意識調査」から、学生の就職観の変遷を確認してみたい。学生の就職観第1位は「楽しく働きたい」(29.7%)で、この十数年変わらないが、2008年(2006年卒)の37.0%をピークに減少傾向にある。

「出世したい」はわずか1.1%

また、2位の「個人の生活と仕事を両立させたい」(26.2%)は、5年連続で増加している。ワークライフバランスや、働き方改革といった言葉の浸透で、仕事と私生活の両立がより重視されているのがわかる。3位は2010年卒以降、8年連続で「人のためになる仕事がしたい」(16.1%)、次に「自分の夢のために働きたい」(11.0%)が続く。一方、「収入さえあればよい」は3.4%、「出世したい」はわずか1.1%にとどまっている。

「楽しく働く」「個人の生活と仕事の両立」を求める傾向は、特に男子より女子の方が高く、仕事を楽しみながら、私生活とのバランスを取りたいという考えが強いようだ。

私生活の中には将来設計としての「結婚」や「育児」などをイメージしていることも容易に想像できる。ではそうした今の就活生はどのようなライフプランを描いているのか? 1月末に発表した「2019年卒マイナビ大学生のライフスタイル調査」(以下、ライフスタイル調査)には、就活生たちの仕事観や結婚観を浮き彫りにしたデータがいくつかある。いくつか紹介していこう。


報道などで多く見聞きし、学生たちの就業観にも影響を少なからず与えている働き方改革だが、ライフスタイル調査では、半数近い46.2%の学生が今後「残業時間が減る(無くなる)」と予想している。

さらに残業に対する見方にも変化が出ている。

「毎晩遅くまで残業しトップの成績を上げている」働き方を「すごくかっこいい」と感じる割合は減少傾向にある。たとえば、男子が男性社会人に対して「すごくかっこいい」と思う割合は、一昨年(2017年卒)は17.3%、昨年(2018年卒)は16.8%、今年(2019年卒)は15.3%と減少してきている。

残業しないほうがカッコイイ

反対に「時間内に仕事を終え、一切残業しない」働き方を「すごくかっこいい」と感じる割合は増加傾向にある。特に、女子から見た「時間内に仕事を終え、一切残業しない男性」を「すごくかっこいい」と思う割合は、一昨年の39.7%から今年は42.7%まで増加している。

全体として男女ともに残業を望まず、残業をしない働き方を理想とする傾向は強い。

さらに、育児と働き方のバランスについても、「時間内に仕事を終え、積極的に子育てする」働き方を「すごくかっこいい」と感じる割合は6〜7割前後でここ数年ほぼ変わらないが、「子育てに専念するため育児休業を取得する」ことを「すごくかっこいい」と感じる割合は増加している。中でも、「子育てに専念するため育児休業を取得する」男性を「すごくかっこいい」と感じる女子の割合は、一昨年の45.4%、昨年の49.0%から、今年は53.4%と、初めて半数を超えた。

厚生労働省の雇用均等基本調査によると、2016年度の男性の育児休業取得率は約3.2%で、まだまだ取得率は低いままだが、厚労省のイクメンプロジェクトなど、積極的なPRの甲斐もあってか、男性の育休取得に対する女子の期待は高まっている。

仕事と結婚についての考え方にも特徴が見られる。

まず「結婚をするなら何歳ごろにしたいか」という問いでは、男子が平均28.3歳、女子が平均27.3歳と、ともに20代での結婚を望む傾向が見られた。社会全体は晩婚化の傾向にあるものの、現在時点での希望としては、20代での結婚を望んでいるようだ。


そして結婚後、「夫婦共働き」を希望する割合は、男子48.7%、女子69.5%だ。2016年卒から男子は5割弱、女子は7割弱で推移しており、一貫して、女子のほうが共働きを希望する割合が高いことが分かる。

厚生労働省の「専業主婦世帯と共働き世帯の推移」を見ても、今の就活生が生まれた1996年以降は、共働き世帯が専業主婦世帯を常に上回っており、半数以上が「親は共働き」という環境で育っている。そうした家庭環境も、共働きを希望する割合が多い背景にあるのだろう。

男子5割弱、女子7割弱が共働き希望

女子学生が共働きを選択した理由は、「仕事を続けることが生きがいになると思うから」(19.4%)、「それぞれ自分の仕事を持っていることが自然だと思うから」(14.8%)、「一方の収入だけでは生活できないから」(14.6%)という回答が上位になっている。

その一方で、割合としては少ないとはいえ、「主に相手の収入のみで生活するのが望ましい」とする女子も21.0%いる。それなら、専業主婦的な志向を持つ女子学生と、共働きや自分の収入で生活する事を望む女子学生には、どのような違いがあるのか。

男女別に、共働き志向や自活(自分の収入のみで生活する)志向など、5つの区分(「共働き志向の男子」「自活志向の男子」「共働き志向の女子」「自活志向の女子」「専業主婦志向の女子」)に分け、それぞれの思考や、ライフスタイルにどのような違いがあるのかを確認した。

男子の場合は、共働き志向でも自活志向でも、思考やライフスタイルに大きな違いは見られなかった。

しかし、女子の場合、共働き志向と専業主婦志向で、「将来持つであろう家庭」を重視する割合が高く、「自分の収入のみで生活する」と回答した女子は、「自分のキャリア・仕事」や「収入・家計」の割合が高い傾向にある。


ここまで調査結果から学生の意識を見てきたが、就活生の就業観を簡単に表現するなら、「仕事とプライベートを両立しながら働くことができ、できるだけ残業はせずに済む企業に就職したい」ということになるだろう。

そしてできれば20代のうちに結婚、その後は夫婦共働きで、女子の場合は育児休暇を取りながら子育てまでしっかり行い、その後も仕事は続けることを「普通の幸せ」として望んでいる。

もちろん学生全員が同じ人生設計を目指しているわけではない。自活志向女子や専業主婦志向女子に見られるように考え方や背景も様々だ。ここに示したのはあくまでも代表的な学生のライフプランであることをご認識いただければと思う。

ある大学生とこのコラムの話をしていたときに「自分たちはいつでもインターネットで情報を得られる一方、あまりにも多くの情報が提示されるので選択に躊躇してしまう。そこでまずは無難な選択をしつつ、あとで変更する余地を残しておくようにしていく」という感想を述べていた。

ライフプランを多く用意できるか

この感想には採用におけるヒントや注意点が隠されている。われわれが発表する調査結果は、あくまで代表的な学生像を提示する事はできても、千差万別な学生ひとりひとりの志向や能力を示せているわけではない。

とはいうものの、いくつかのカテゴリーやパターンを示すことで学生をカテゴライズし、そのカテゴリーに合わせた情報提供や選考方法を検討する材料にはなる。職業経験も無く、選択肢を持ちきれない学生に対して、ある程度のライフプランに関する選択の自由を与えつつ、それぞれの志向にあった入口を設けてあげることが有効ではないだろうか。

人はどうしても個々人を一定のイメージにはめ込んで考える傾向がある。面接時や個別対応の際には、学生個々人をしっかりと把握し、企業の求める能力や価値観とのマッチングを図る事が重要になる。企業側も情報活用の方法や解釈を含め、情報提供のあり方に関して見直しが必要だと考えさせられた。

採用する側も、こうしたライフプランに関する調査結果を参考に、就活生とのコミュニケーションの構築に役立てていただければ幸いだ。