男女の仲を深めるのに欠かせない、デート。

完璧だったと思ったのに、うまくいかないときもある。私たちはそんなとき、こう考える。

―あの時の、何がいけなかったのだろうか?

あなたはその答えに、気づけるだろうか。

手も繋ぎ、食事の後に抱きついてきた菜穂。なのにその先はなく、彼女の意図が分からない春樹。

その答えや、いかに。




春樹さんとの出会いは、デーティングアプリだった。

年収1,000万以上、顔も悪くない。住まいは渋谷区・代官山。

条件も揃っており、私は彼から来たメッセージに返信を打つ。

たしかに最初は彼の肩書きに惹かれたかもしれないが、実際にメッセージのやり取りを続けていくうちに、とても良い人だと気がつき始めた。

-会ってみたいなぁ。

そう思っていたタイミングで、春樹さんの方からデートの誘いが来た。

-春樹:3日は、ご都合いかがでしょうか?


春樹さんからのメッセージに、一瞬携帯を置いて考える。

たしか3日は、終日空いている。しかし、夜のデートは初対面でつまらなかった時の逃げ道がない。長丁場だし、若干面倒だ。

その分ランチは時間も短く、相手を見極められる。

そう思い、私は返信を打った。

-菜穂:夜は別の約束があって...お昼でもいいですか?


もちろんです、という快い返信をもらい、私たちはまずは昼のデートから始めることになった。


2回目のデートで手を繋いだから。その先を目論む男の誤算


春樹さんがランチの予約をしてくれていたのは、パレスホテルの『ザ パレス ラウンジ』だった。




春先のテラスは、とっておきの特等席だ。

皇居のお堀が臨めて、雰囲気も抜群に良いここのテラス席が、私は大好きだった。春らしい装いを意識し、ルンルン気分で初デートへと向かう。

「お待たせして、ごめんなさい。」
「全然待ってないよ!」

うっかり遅刻してしまった私に対しても、春樹さんは優しい。

「春樹さんは、普段週末は何をされているんですか?」
「ジムに行ったり、友達とこうやってランチしたりとか。菜穂ちゃんは?」

デート中も、春樹さんは終始優しくて、私はどんどん彼の人柄の良さを実感する。

まずは様子見の初デート。面倒ではないランチにしたけれど、春樹さんだったら夜でも良かったかもしれない。

-この人、本当にいい人だなぁ。

食後のアールグレイを飲みながら改めてそんなことを考えていると、春樹さんから次のデートの提案をされた。

「来週、よければ映画でも行かない?そのまま、もし夜も時間があるならご飯でも...」

「いいですね!是非!行きましょう」

こうして、すんなりと次回のデートの約束をして、私たちは別れた。


A1:酔った際にうっかり手を繋いでいた。そこは様子を見ただけで、まだ好きとは限らない


そして迎えた2回目のデートは、なんと『かわむら』だった。

良いワインを頼めば一人数十万になることもある、泣く子も黙る高級店である。

いつか行ってみたいと思っていたものの、まさか付き合ってもいない春樹さんが連れて行ってくれるとは思ってもいなかった。

そんなお店に舞い上がり、私は嬉しくてつい飲み過ぎてしまった。

「時間大丈夫?無理しなくていいからね。」
「せっかくなので、もう1軒行きましょうよ。一緒にいると楽しいですし。」

そんなことを口走りながら私たちは2軒目へと移動し、そこで私は更に酔っ払ってしまった。

「大丈夫?菜穂ちゃん、酔っ払った?」
「ちょっと、飲みすぎちゃったかもです。」

その時に、不意にヒールのバランスを崩し、思わず隣にいる春樹さんの肩にもたれかかる。

-おっと、危ない。

そう思って肩から顔を話そうとした時。そのまま、手を繋がれてしまった。

-どうしようかな...。今日ご馳走してもらったし、いい人だし、邪険に手を振り払うわけにはいかないよね...。

断る理由も見つからないし、もしかしたらこのまま好きになれる“かも”しれない。

タイミングを見てパッと手を離し、少し気まずい思いを抱いたまま、この日は解散した。


2回目のデートで菜穂が春樹に抱きついた意外な理由とは!?


A2:毎回ご馳走になっており、断るのが申し訳ないのでとりあえずの“お礼ハグ”


次のデートはどうしようかと迷っていると、春樹さんからまたお誘いがきた。

次は、西麻布のお鮨だ。一瞬迷うものの、最近お鮨を食べていなかったなぁ、なんて計算高い心が疼く。

-楽しみにしていますね。

それだけ送り、結局私たちは3回目のデートをすることになった。

西麻布交差点からほど近い所にある『鮨いち』は、何を食べても絶品だ。スプーンの上にこんもりと乗せられたウニ握りが出てきたときには、既に悶絶状態になっていた。

しかし、不意に冷静になる。

男性からいくら奢られても全く気にしない、港区女子のような鉄の心臓を持っていればいいが、微妙に良心が痛み始めたから。

「春樹さんって、本当に毎回、いいお店ばかりへ連れて行って下さいますよね...ありがとうございます。なんだか、恐縮です。」

毎回素晴らしいお店に連れて行って下さるのはありがたい。でも、まだこちらにはその気持ちに応える準備はできていないと気がついたのだ。

「そんなそんな。菜穂ちゃんが喜んでくれれば、それが嬉しいから。」

そう言われ、益々何かお返しすべきなのか?と考え始める。

相手も、中途半端にいい人だから困る。

ただ、これ以上引っ張るのは申し訳ない。

「今日は、ご馳走様でした♡美味しかったなぁ〜」

せめてものお礼の形として、私は帰り際に、軽く春樹さんにハグをした。




-これで、いいかな...。

ただ、何か“ありがとう”の気持ちを表現したくて、私はせめてものお礼としてハグを代価として差し出したのだ。

とりあえず役目は果たしたと思い、私はそのまま一人でタクシーに乗り込む。

春樹さんはいい人だけれど、何故か決め手に欠ける-。

それが、3回のデートを経て、私が彼に感じたことだった。

嫌な人でもないし、また何かご飯に行く機会があるかもしれないが、一旦距離を置こう。

-いい人過ぎる男性って、どうして恋愛対象にならないのだろうか...

そんなことを思いながら、賑わう西麻布の街を後にした。

この回の【Q】はコチラ

▶NEXT:3月10日土曜更新予定
デートの答えあわせ【Q】:男はいくらくらい、女性に食事を奢るべきなのか

<これまでのデートの答えあわせ【A】>
Vol.1:「明日、朝早いから帰ります」は真実か?女が2軒目で帰る理由に気づかぬ男
Vol.2:2人きりで食事に行くことの意味。女性がデートの誘いに乗った本当の理由とは?
Vol.3:待ち合わせは「駅or店」どちらが正解?女が思う、ベストな集合時間と場所とは
Vol.4:男がデート中に見ている仕草。女が良いと思っていることが、仇になる?
Vol.5 : 男が勘違いしがちな“無駄な優しさ”。メニュー選びに潜む罠
Vol.6:店選びで女が見ている点。女が男に求める気遣いと、欲する一言とは
Vol.7:女は出す“フリ”をすべきなのか?会計時に男が女に求める行動とは
Vol.8:女だって、恥ずかしい。デート中に、好きな男性にだけ見せる仕草とは
Vol.9:あゝ悲しき男の勘違い。女が仕掛けてくるボディタッチの真の意味
Vol.10:女の「こんなの初めて♡」を真に受け、踊らされる男たち
Vol.11:あなたのセーターは、大丈夫?“家庭的でいい女”を目指した女の失態
Vol.12:女のさしすせそ「さすがです、すごい♡」の真意に気づかず、惑わされる男
Vol.13:「何食べたい?」に対する正しい返答。男の戦意を喪失させる女の行動
Vol.14:見落としがちな、デート直前のマナー。日程決めの際に男が必ずすべき事とは
Vol.15:意外に単純?デート中に女が惚れた、2軒目へ移動する際の男の振る舞い
Vol.16:「前の彼女って、どんな子?」と聞く女の心理。素直に答える男はバカを見る
Vol.17:デートの待ち合わせ、5分遅刻は許容範囲?男女で違う “気遣い”とは
Vol.18:会って“3回目”が勝負だった女。付き合う前のデートは、何回が正解?
Vol.19:女はどこまで積極的に押してもいい?自分からは誘わない"察して男"の落とし穴
Vol.20:友達に紹介し、知人の店にも連れて行くのに…進展しない関係に隠された男心
Vol.21:デート中の“スマホいじり”問題。彼に見えないところでLINEしたのに、何がダメだった?