今や社会人の2人に1人が転職している時代。総務省の労働力調査でも2016年の転職者数は306万人。7年ぶりに300万人台の大台に上がったとニュースになり、これからも転職人口は増加予測。

そこで本連載では、いい転職をした女性と、悪い転職をした女性にお話を伺い、その差は何かを語っていただきました。

大塚彩子さん(仮名・33歳・東京都出身)

転職回数……2回

転職した年齢……24歳、30歳

年収の変化……250万円→450万円→280万円

学歴……中堅女子大学文学部卒業

チャラい大学時代を過ごしたツケで「内定0」

東京都内にある、そこそこ有名な女子大を卒業しました。大学時代の専攻は英米文学でしたが、「専攻はパリピーの生態研究」と言うくらい、遊びまくっていました。毎晩のように、お金持ちの友だちの家に呼ばれ、パーティー三昧でした。クラブも海外旅行も、自分のお金を1円も払わずに遊んでいたと思います。バイトは歌舞伎町の飲食店や、週末のキャンペーン系のモデルをしていたので、企業のトップクラスの人との出会いも多く、「エライおじさん」と対等に話していて、自分は他の学生とは違う、特別なんだと思い込んでいました。だから、就活もうまくいくと思っていたんです。でも、140社エントリーして、内定はゼロ。いい気になっていたツケが回ったのだと思いますが、当時は気が付きませんでしたね。

飲食店のバイトで知り合った人に、人事の人がいたのですが、「就活!?アナタはちょっと厳しいかもしれないね」と言われたことを覚えています。

新卒で勤務したのは、読者モデル仲間が紹介してくれたクリニック

実家に住んでいたので、大学卒業後もバイトをしつつ将来を模索していたのですが、「女子大生」の肩書がなくなると、遊びに誘ってくれる相手が激減する。しかも質が落ちてくるんですよね。下のほうにいた男性が、タメ口でデートに誘って来たのにはびっくりしました。

遊んでいた女の子の仲間はちゃっかりしていて、コネを使って内定もらっていました。名家の人も多かったから親族の大企業に入っている人もいたな。あんなに遊んでいたのに、ワイン勉強したり、英会話レッスンしたりする「丸の内OLの上品生活」を送っているんですよ。でも私は飲食店バイトをしつつ、将来が全く見えない日々を過ごしている。年齢とともに稼げる額も減り、焦り始めた頃に読者モデルの友だちが、医療関連会社の受付の仕事を紹介してくれたんです。

上司風を吹かせる友達に、劣等感を覚えつつ事務作業をこなす

転職サイトを見てて、自己肯定をする不毛な毎日

私の雇用主である院長は彼女の恋人で、富裕層向けの人間ドッグ、にんにく注射、睡眠コンサル、自律神経向上などのメニューを提案していました。私はそこで正規雇用職員として受付と雑用を担当。朝10時出社、19時退勤で、手取りが20万円という楽な仕事でした。でも、患者さんからのセクハラがあったことが嫌だったな。それよりも、仕事で何も成長ができないのが辛かったですね。エクセルは顧客名簿作成作業でなんとか習得しましたが、何のために仕事をしているのかわりませんでした。だから、ヒマな時間に転職サイトばかり見て、「ここよりいい条件のところはないよね」と自分を慰めていたことを覚えています。

自分より、能力が劣っていた友人が、経営の中枢に加わっている劣等感

思えば、私は幼い頃から仕事をバリバリする女性に対して憧れの気持ちを持っていたんです。夢中で見たテレビドラマシリーズ『Sex and The City』の再放送では、PR会社社長として活躍しているサマンサに共感していました。でも、現実はクリニックの誰でもできる受付の仕事しかできない。しかも仕事を紹介してくれた友達は、彼女風を吹かせて、経営幹部と戦略会議などに同席しているんですよ。私より勉強ができなかったくせに、世の中不公平だと思いましたよ。

そんなイライラが溜まり、1年で転職。クリニックに勤務しながら転職活動をしており、決まった先はPR会社でした。

履歴書と面接のセミナーを受講し、考え方が激変

「楽しようとすると、後で苦しくなる」ことがクリニック勤めで分かったんです。結局楽をするということは、自分の理想から逃げていることになるんですよ。私は当時、今、自分がいる場所から逃げたいだけで、やりたいことは全くありませんでした。だから、せめて昔憧れたサマンサになろうと思い、PR会社を受けましたが全滅。ある会社なんて、応募書類は破棄すると書いてあるのに「この履歴書は今後なにかにお役立てください」と送り返してきたんですよ。あのときは、社会から「NO!」と拒絶されたようでショックでした。他の人は審査に回っているから返送されないのに、私はそこをカスリもしないから戻されたんだ……とやっかんでいました。

今のままではホントにヤバいと思い、就活の1日セミナーを受けることにしたんです。費用は2万円くらいでしたね。

ここで驚いたのは徹底的にダメ出しをされたこと。「すぐに落とされる履歴書には、“笑顔”と“元気”という単語が書いてある」「“柔軟性には自信がある”“コツコツと積み上げていくのが得意です”など抽象的な文章は、感嘆詞以下の意味しかない。実績を書きなさい。数字で具体的に書きなさい」などコテンパンにやられました。

講師は40歳くらいの男性なのですが、一流会社で人事コンサルをやっているだけあり、最初はムカつきましたが、8時間のセミナーが終わるころには気持ちがスッキリしていた。要は、特技がない人間は、自分がやりたいことを仕事にすると思ってはダメ。「私はあなたの会社に利益をもたらします」と思ってもらえなければ内定が出ないことなどを学びました。

頭ではわかっていましたが、若い頃に本当にちやほやされると、そこが見えなくなってしまうんですよね。

名刺交換したときに、「知らない会社だな〜」という顔をされるのが嫌だったという。

無名の会社で実績を積み上げても、全く意味がないと感じた末に、正社員の座を捨てる……〜その2〜に続きます。