転職市場では30代こそが引く手あまた! カリスマヘッドハンターがその理由を解説

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 ヘッドハンターの高本尊通です。みなさんは、ヘッドハンターが扱う人材を、どのようにイメージされていますか?

 よくヘッドハンターは社長や役員クラスなどの経営層の人材ばかりを集めていると思われますが、実は、最近は30代を中心とするミドル層へアプローチする機会も増えています。今回は、転職市場においてなぜミドル層が求められているのかを解説します。

◆変化の激しい時代だからこそ、ミドル層の人材が必要

 日本ではこれまで、30代など、新卒者以外の社員を採用する「中途採用」というワードは、新卒採用で足りない部分を補うものとして語られてきました。たとえば新卒採用で十分な人数を確保できなかったり、中途退職者のマンパワーを埋めたり、という位置付けです。

 しかし、今は状況が変わり、「事業をより成長させるため」という積極的な意識でミドル層を採用しようとする企業が増えています。

 この変化の背景には、昨今のグローバル化やIT等の技術革新スピードの加速があります。商品やサービスが短命化している今、既存の人員やマーケットをもとにした経営計画が意味をなさない時代となってきているのです。

 たとえば、昨今は人工知能を取り入れたビジネスを開発する企業も多いですが、必ずしも自社内に必要な経験や知見を備えた人材はいませんよね。かといって、自社の社員を育成するだけの時間的な余裕はない。そうすると、“外”からリソースを手に入れるしかありません。

 このとき、目指す事業を扱う企業をまるごと買収するという選択もあります。しかし、企業買収より、自社が必要とする分野を10年ないし、20年経験したスペシャリストをピンポイントで採用したほうが、コストを抑えられる上、速やかに企業を成長させてくれる期待ができます。

 私自身、自分がヘッドハンティングした転職者の活躍で、あるサービスが一般消費者に驚くほど普及するケースに立ち合ったことがあります。自社がもつリソースに、ミドル層の経験値という新たな価値が加わったことで、大きく事業成長させることができました。

◆変わりゆくミドル層の意識

 昨今の雇用情勢は活発です。企業業績が好調ゆえに組織が肥大化し、求人も増えています。厚生労働省が発表した2017年の有効求人倍率は、1.50倍まで上昇し、44年ぶりの値となったとのことです。

 こうした状況を受けて、ミドル層の個人の考え方にも変化が起きているようです。以前は、役職や待遇面で恵まれている大手企業に勤めているエリートビジネスマンは、なかなか転職活動に前向きではなかったのですが、昨今は転職者の数が増えています。

 以前では稀だった、大企業からベンチャー企業へ転職するというケースも見られるようになってきました。

 ベンチャー企業のなかには、大企業よりも良い条件を提示してまでミドル層の求人に動くところもあります。ITなどの先端技術に親しみがあり、ビジネス経験があり即戦力となる30代にニーズが集まるのは当然の流れです。

 また、そもそもベンチャーの経営者が30代ということも多く、自身の右腕として使える人材としてミドル層の人材がフィットするのでしょう。

 また、転職のチャンスは地方にも広がっています。すでに地方でもITなどのシステムインフラが整っており、都心と遜色ない仕事ができる環境となっているなか、ゲームの「妖怪ウォッチ」を開発した株式会社レベルファイブ(福岡県に本社を置く)のように、東京を離れた地方でも大きな成長を遂げる企業も生まれ、ミドル層の受け皿となっています。

 このような背景があり、私たちヘッドハンターは、ミドル層へのアプローチを強化しています。

 さきほど、ミドル層が転職に前向きになっていると記しましたが、なかには、理系分野の技術者など、求人広告を出しても転職希望を出さない層の人材もいますので、ヘッドハンターとして個別にアプローチをかける機会が増えてきているのです。

 今や、強みとなる専門分野をもつミドル層は、引く手あまたです。転職チャンスはかつてなく大きく広がっています。

<TEXT/高本尊通 構成/小林義祟>

【高本尊通】
たかもと・たかみち◯1972年3月7日生まれ。大学卒業後、パソナに入社。大手特別法人営業グループ責任者を経て、企画、アライアンス、業務改革担当として活躍後、2004年、株式会社プロフェッショナルバンク設立に参画。これまで約7000人あまりのキャリアに携わり、特に30代、40代の転職市場の現場に長く携わってきた。2012年にビズリーチ社の「日本ヘッドハンター大賞」、同年から2年連続で「リクナビNEXT AWARDMVA」を受賞するなどし、16年にはビズリーチ社によるヘッドハンターランキングで約1500人中第1位を獲得している