輸出5年で220億円喪失も

 平昌冬季五輪で銅メダルを獲得したカーリング女子日本代表。試合中の休憩時間に果物やお菓子を頬張り栄養補給する「もぐもぐタイム」が注目されたが、選手が試合後の記者会見で「韓国のイチゴがおいしかった」と絶賛したことに、日本の農業関係者は複雑な思いを抱いているようだ。

 というのも、韓国のイチゴ栽培面積の9割以上が、日本から流出した「レッドパール」や「章姫」「とちおとめ」といった品種を元に開発された品種だからだ。

 斎藤健農相は2日の閣議後の記者会見で、銅メダル獲得に祝意を示しながらも「日本の農林水産大臣としては、女子カーリング選手には、日本のイチゴをぜひ食べてほしいと思う」と話し、浮かない表情だった。

 農水省によると、日本の品種が韓国で育成者権を取得できていれば、年間16億円のロイヤルティー収入が得られていた可能性がある。さらに、韓国は日本由来の品種のイチゴを積極的にアジア各国に輸出しているため、日本産イチゴは5年間で220億円に上る輸出機会を喪失しているとの推計もある。

 農林水産物・食品の輸出拡大は安倍政権の看板政策だけに「(日本の品種保護に)しっかり対策を講じていく必要性を改めて認識した」と気を引き締めた斎藤農相。4年後に北京冬季五輪が開かれる中国でも日本の品種が無断栽培される事例が相次いでいる。日本の農業関係者は「次回は、心置きなく選手の活躍を喜べるようにしてほしい」と願う。