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●一番人気か?

2018年3月1日から3月4日まで開催のCP+2018。ここではブース取材でなく、発表されたばかりの、そしてネット上でなかば祭り状態ともなっているソニーのフルサイズミラーレス機、「α7 III」のファーストインプレッションをお送りする。スペックに関する概要は既報を参照してほしい。ここでは要所要所のみ触れる。

α7シリーズは、第1世代から見るとα7とα7R、α7Sと、それぞれ特徴を持たせた三本柱の体制だった。これは少なくとも、2017年のα9発表までは力説していたが、α9を加えた現在は、α7R III、α7S II、そして2018年3月23日発売のα7 IIIという4本の柱。α7S IIIが登場するのかはまだ不明だが(動画事情を考えると6Kベースのものが出てきそうではある)、現状でも三本柱の路線をやや変更した形となっている。四天王体勢とも言おうか。

以下でも記しているように、α7 IIIはよくできたベーシック機であり、よくできたオールラウンダーだ。他のボディと比べると尖った部分はあまりないのだが、よくまとまっている。ベーシック機という控えめな表現にしては、用意された強気なキャッチコピー群に納得が行く。

外観はざっくりいえば、α7R IIIだ。モードダイヤルにロックボタンがなく、メニューも異なっている部分くらいが差なのだが、部材が違う。α7 IIIはフルマグネシウムボディではなく、おもに前面と上部がマグネシウムで、そのほかはプラスチック。手にしたときの感覚は似ているようで異なる。

また、シャッターユニット、シャッター押下感、シャッター時のフィーリングは、α7R IIIとは大きく異なり、どちらかといえば、α7 IIの改修版という印象が強い。そのため、α7R IIIと同じ感覚だろうと思ってハンズオンすると、面を喰らう人が多いだろう。

あちこちのフィーリングの違いは、価格をおさえたことで生じており、α7R IIIやα9を触ったことがあると、より強く伝わってくる。ただそれでも、よくまとまってるなぁとも感じてしまうハズだ。ちなみに筆者は、α7R IIとα7R IIIのユーザーである。

背面のレイアウトはまったく同じ。液晶モニターは92万画素にスペックダウンしているが、これはWRGBではなくなったことと、バッテリーライフを優先したため。発色自体は良好で、撮影あとのチェック向きだが、高画質表時をオフにしている場合、フォーカスが来ているのかいまいちわかりにくく感じたので、高画質表示オンをデフォルトにしておいたほうがいいかもしれない。

EVFは236万画素で、α7R IIIやα9の368万画素よりも低い。ピント拡大をせず、ピーキングをオフの状態でピン山をつかむのは無理だった(コシナのレンズ、MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Asphericalでテスト)。発色的な面でも、地味にコストカットが伺える部分である。構図確認用くらいなイメージでもいいだろう。

ソフトウェア面は全力投球に近い。α9と同等の仕様となっており、α9にはないPPも設定可能だ。この点は4K全画素読み出しに対応しているため、動画撮影用途を狙う部分もあるだろう。

実際のところ、動画機としてのα7 IIIは、かなりコストパフォーマンスに優れる仕様だ。他のボディと同じく設定項目の散らばり感があるので、設定項目の場所を覚えるのではなく、多用する設定項目をファンクションやマイメニューに割り振ったほうがいい。

●α7 IIIの実機撮影データ

刷新された24メガピクセルのイメージセンサーはどうだろうか。裏面照射型CMOSで、カタログスペックでは、BIONZ Xもあって、α7 IIと比べると処理速度は約1.8倍となっている。また、通常ISOは、ISO100〜51200。ソニー測定によると、低感度レンジにおけるダイナミックレンジは15ストップ。14bit RAW出力については、シングルショット時のほか、サイレント撮影や連続撮影でも対応している。ただし連続撮影の14bit RAW出力は、非圧縮RAWのみ。圧縮RAWでの連続撮影、BULB撮影、長秒時ノイズリダクションを有効にした場合は、12bit出力に制限される。

また、バッファの強化により、連写可能数は向上。RAW 40コマ、89コマ(非圧縮/圧縮)、JPEG 177コマ(スタンダード)とあるが、実機でテストした限りではシーケンシャルに連写できるのではなく、途中でペースが落ちたりしながら連写できる挙動だった。今回、連続撮影モード「Hi+」時、UHS-II対応のSDXCメモリーカードという、ソニーの測定条件に沿って試してみたが、完全シーケンシャルにはいかない場合もあるようだ。

以下で掲載するα7 III実機の撮影データは、おもに「FE 85mm F1.4 GM」レンズ(SEL85GM)で撮ったもの。共通設定は、JPEG(エクストラファイン)、DROオフ、各種レンズ補正オフ。異なる設定や関わる関連設定については、キャプションで触れている。

○ISO感度の簡易テスト

ISO100 / 200 / 400 / 800 / 1600 / 3200 / 6400 / 12800 / 25600 / 51200の順で掲載している。F5.6に統一し、フォーカスは写真中央部の黄色い花に合わせている。ここのみレンズは「Planar T* FE 50mm F1.4 ZA」(SEL50F14Z)。蛍光灯下だったので、フリッカーレス機能をオン、DROオフ、各種レンズ補正オフ、高感度NRは標準とした。

フォーカス周りは、像面位相差693点、コントラストAF425点。撮像エリアの約93%をカバーする仕様はα9と同じで、イメージセンサーが異なるぶんコントラストAFを増やして検出速度を稼いでいる。

フォーカスの速度や挙動は、α7R IIIとほぼ変わらずだ。このあたりは瞳AFで確認しやすく、振り向いた直後に瞳にフォーカスがきているのは大変気持ちいい。ただし延々追いかけ続けられる環境は限られる。目の周辺にシャドウが落ちた場合は顔検出にシフトする傾向が強く、スタジオや明るい部屋、キツくない太陽光下であればくらいに思っておくといいだろう。

被写体が手前に移動してきた場合は、瞳AFやAF-C時にフォーカスを外すことが多く感じた。CP+に並んでいたα7 IIIは製品版と同等のものとのことだが、ひょっとしたら製品版では細かいチューニングが施されるかもしれない。AFや連写はα9と比べてしまいがちだが、あのイメージセンサーはいわば次元が違うものなので、比べるようなものではない。

○オートフォーカス

AF被写体追従感度3(標準)で歩く人物(左)に瞳AFスタートをした場合は、とくに問題ナシ。外れることもあったので、追従設定は「粘る」側の1か2をデフォルトにしておくといいかも。

AF被写体追従感度1(粘る)で瞳AFスタート、22ショットしてみたもの。奥の人物にフォーカスが合ったあと、重なった時点で手前の人物に、距離が離れたところで、また奥の人物にフォーカスがシフトしていた。1ショットごとに検出しなおしており、フォーカスが変わったのは瞳AFではなく、コンティニュアスが動作したときだった。

α7R IIIでは肌色の再現性が大きく向上していた。α7 IIIも同様で、α7第2世代シリーズで見られた顔がやや土色になる現象は減っているようだ。ただ説明員がいうには、「α7R IIIよりも少し検証データが増えたくらい」とのこと。カメラから見てわかりやすい白色が一定量あれば問題ないが、そうでもない場合はあとで補正するしても、面倒な色の出方をするケースは、α7 IIIでもありそうだ。

α7R IIユーザーの場合、α7 IIIかα7RIIIかで悶々することは間違いない。α7 IIからのそのままアップデートや、α7R IIで画素数がそれほど必要ではないと判断した人に、当然のように刺さる要素が多く、他メーカーのユーザーを狙っている部分も多い。

α7R IIIと比べると相応にコストダウンを感じる部分はあり、α7R IIIを既に愛用していると、スペックシートだけ見るとサブ機に良さそうと思ってしまうが、ハンズオンしてみると少し考える部分が出てくる。α7R IIIのフィーリングのまま、42メガピクセル機から24メガピクセル機になったモデル……といった判断は禁物だ。

ざっくりとファーストインプレッションだったが、α7 IIIはよくまとまったボディで、価格もほどよくおさえられており、これからフルサイズを考える人や、他マウントからの乗り換え考えている人には魅力的だ。先述のように、α7第2世代ユーザーや動画目的でも魅力が大きい。人気機種になりそうな気配だが、まずはハンズオンをしてから、購入を検討してみよう。