AIを多面的に見る一「j-wave innovation world complex vol.1」に行ってきた!

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2月28日、渋谷で「j-wave innovation world complex vol.1」が行われた。
これはJ-WAVEのラジオ番組「INNOVATION WORLD」発のイベント。
最先端のテクノロジーに携わるエンジニア・研究者らが登場し、

いま何が行われているのか?
彼らがその先に何を見ているのか?

といったことを探るというもの。

ちなみに、学生、社会人向けの招待制(無料)イベントだ。

イベントでは、同番組でMCを務める川田十夢氏(AR三兄弟長男)がナビゲートする5つのセッションがあった。

今回のテーマはずばり「AI(Artificial Intelligence、人工知能)」だ。

何が行われたイベントだったのか、ここでは俯瞰して見ていきたい。

◎セッション振り返り(ピンポイント的に)
セッションでは、AIという技術に対し、さまざまな面にフォーカスし、それぞれの専門家が登場し、議論を繰り広げた。

こうしたテーマで専門家が一般的な層に向けた話を展開すること自体がかなり珍しいことだ。

どういう話があったか、
以下では、ピンポイント的に取り上げたい。

たとえば、最初のセッションでは、
ディープラーニングを用いたキュウリ選果機を開発したエンジニアでキュウリ農家/エンジニアの小池誠氏×ゲームAI開発者の三宅陽一郎氏が登場。

小池氏は、
エンジニアからキュウリ農家に転身し、テクノロジーで仕分けにかかる時間を減らしたいという自身のモチベーションでAIを活用している。
技術があるだけではなく、そこにニーズがあって、始めて技術が活きるということ。
また、実際にゲームという空間でAIを開発する三宅氏の話は、人間にとってのAI(AIにとっての人間)を考える上で大きな示唆に富む。


将棋ソフト・ポナンザ開発者の山本一成氏、サイエンス作家の竹内薫氏による対談では、
「(そうでないように思えても)すべては計算で成り立っているのでは」という問いが投げかけられた。宇宙の誕生もブラックホールの衝突も計算なのでは、と。

山本氏は、いま起きていること、それはこれまで計算問題に思えなかったものが、計算可能な問題として落ちてくることだという。

これは非常になるほどと、納得できる。
これまでわからなかった、研究としても扱えなかったようなテーマが、
量子レベルのテクノロジーの進歩で徐々に研究として着手されてきており、実際に解明され始めているからだ。

山本氏が言うようにすべてが計算できるのかどうか?
それはまだ現時点ではわからないことだが、

どこまで計算として扱えるのか?

これが今後のテクノロジーと社会と関わりの鍵になりそうだ。

そして、メディアアーティスト/研究者の江渡浩一郎氏は、
テクノロジーによるスポーツの拡張をテーマに語った。

最近、ニュースでも取り上げられている「未来の運動会」だ。
「未来の運動会」は、参加者が新しい運動会の種目(競技)を作り、自ら遊ぶという試みだ。
共創型イノベーションの1つの形といえる。

江渡氏は、
「ディープラーニングは今、人間が解ける問題しか解けないが、あと30年程度でそれを超えてくる。その後には、問うべき問題のほうが希少な資源になる」
という。

ゲーム『シーマン』や『タワー』の開発者である斎藤由多加氏、さらに東京大学大学院情報学環 教授 池上高志氏は、人工生命について語った。

斎藤氏の、

「人間っぽさがどこにあるのか、どうすれば人間らしく見えるのか」

という視点は実に新鮮だ。

たとえば『シーマン』開発時は、当時の音声認識の技術では、なかなか高い聞き取り精度が出せなかった。
しかし逆に、シーマン(キャラクター)に「お前、滑舌悪いな」と言わせることで、プレイヤーと自然なコミュニケーションを可能とした。

また、齊藤氏がタワー的なシミュレーション画面で提示してくれたのは、
グラフィックが黒1色の「人」であっても、それを大量に群衆(モブ)化することで、人間が動いているように(私たち=人間には)思えてしまうことだ。

これを活用すれば、人間でなくても、人間らしさは演出できてしまうのだということ。

人間らしさは果たして何か?

どこにあるのか、考えさせられたセッションだった。


◎AIを多面的に見る
AIというと将棋AIや囲碁AIの活躍やスマートスピーカーの登場などがニュースとして取り上げられている。

こうしたニュースから、一般的に、

「人間の仕事が取られてしまう」

といった脅威論として語られることが多い。

AIといっても、実際のところは、さまざまな技術がある。
一面だけから見ても理解はしきれないところが多くある(それが、脅威論に結びついやすいところなのだが)。

今回、AIをカテゴリーごと分けて用意されたセッションのおかげで、そのあたりがスッキリ整理され、わかりやすくまとめられていた。

先のセッション振り返りでは触れなかったが、
・IBM Watsonをスポーツに活用しようとする取り組み
・TDKのコミュニケーション盆栽「BonsAI」
なども紹介されている。

また、「DREAM PITCH AI SPECIAL」という枠では、AI関連の新しいサービスを開発、展開する企業が登場し、自社の取り組みを語っている。
AI対話システムの開発を行う株式会社Nextremerや、VR×AIソリューションを手がける株式会社ジョリーグッドらの取り組みを通し、最新のテクノロジーで何ができるのかイメージすることができた。


会場で展示されていた「BonsAI」のダミー。人と会話をしたり、土壌に埋め込んだセンサーで検知し水分が足りないときに光で知らせたり、日当たりを求めて自走して移動する機能があるという。





今回のinnovation world complexは、
テーマであるAIだけではなく、さまざまな技術(新しいものだけに限らず)を、
・人がどう活用し未来の社会へつなげていけばいいか
・どう取り組んでいけばよいか
それらを考えるキッカケになったのではないだろうか。

なお、イベントの最後はDE DE MOUSEとARを使った楽器アプリ「KAGURA」(しくみデザイン 中村俊介氏)のコラボライブが行われた。
j-waveらしい、イノベーションとのジョイント感あるイベントだった。


大内孝子