超強力手ブレ補正で4Kなハンディカム FDR-AX45レビュー。高性能ビデオカメラはやはりイベント撮影に必須
今春に小学2年生と幼稚園年長の息子2人がいる筆者にとって、子供の成長を記録するという"任務"は極めて重要です。筆者は、長男が生まれる前に、フルHDのハンディカムを購入。万全の体制で臨みました。しかし、数年後に壊れてしまいました。修理に出すことも考えたのですが、当時でもスマホでふつうにフルHD撮影ができる時代。デジタル一眼でも撮影していた点、そしてビデオカメラもとなるとそれなりの荷物になる点などから、動画はスマホに任せ、ハンディカムはそのままホコリを被って今に至ります。

そんな筆者が、今回再び、ソニーのハンディカム「FDR-AX45」に興味を持ちました。それには2つの理由があります。1つは「子供のイベント撮影には高倍率ズームが必要。というか最重要」なこと、もう1つはスマホ......というかiPhone Xで4K録画すると、筆者は64GBモデルなので容量が逼迫してしまう点、そして普段使いよりもバッテリーを消費してしまうのが嫌な点です。

「子供のイベント撮影にズームが必要なんて、当たり前だ」と思われるかもしれませんが、実はこれまでは、主だったところを記録してくれる業者さんがいたのです。

たとえば幼稚園で言うと、運動会を始め、音楽会、遠足、生活成長発表会などさまざまなイベントがあります。その都度業者が入って写真やビデオ撮影してくれるというわけです(当然お金を支払って購入するわけですが)、基本はそれで十分かなと考えておりました。

ところが、小学校ではこの手の業者が入らず、個々に撮影するしかありません。さらに場所は幼稚園のイベントよりも広い校庭......ということで、ズームなしでは息子の姿を捉えるのは不可能です。旅行では遠くにいるなんてことは少ないためさほどズームは必要ないのですが、イベントになると撮影する場所が限られているので、ズームが必須なわけです。

昔は、ビデオカメラ片手に観客の後ろにお父さんがずらりと並ぶ、なんて姿がよく見られましたが、今は意外とまばら。逆にスマホやタブレットで客席から撮影しているお母さんが大量にいます。デジタルズームをして我が子をアップで撮影している人もいますが、画質が粗くなるので、あまりやりたくないですね。なので、ちゃんとしたビデオカメラ、しかもどうせ買うなら将来を見据えた4Kのモデル、ということになるわけです。

前置きが長くなりましたが、こうした経緯で今回、2月に発売されたソニーのハンディカムFDR-AX45をお借りしました。現行のラインアップには上位モデル「ハンディカムFDR-AX60」もありますが、EVFやマニュアルレンズリングを搭載していたり、赤外線撮影ができるナイトショット機能があったりと、よりマニアックな仕様。基本的な仕様はAX45でも近いため、子供撮影中心なお父さんが買うなら10万円を切るAX45で十分かなと思います。

▲「ハンディカムFDR-AX45」。ボディーカラーはブロンズブラウン(写真)とブラックの2モデル

本製品の特徴は、強力に手ブレを補正する空間光学手ブレ補正機能と光学20倍のZEISSバリオ・ゾナーT*レンズ、4K映像撮影専用に設計した裏面照射型CMOSイメージセンサー Exmor Rなどの搭載により、高画質な4K映像撮影ができること。

筆者はパソコン用に4Kディスプレーは導入していますが、テレビはまだフルHD。でも、4K放送は今年末に始まる予定だし、撮影したものを将来見ることを考えると、いまから4Kで撮影していたほうがいいと感じています。ちなみに筆者は、4Kテレビは対応チューナーが内蔵されてから買うと決めています。


▲電源が入るとレンズシャッターが開く。光学20倍ズームと空間光学手ブレ補正機能搭載


▲ズームレバーの手前に静止画用シャッターボタンがある。撮影中ズームレバーを操作しても特に操作音は入らなかった。バッテリーは付属のもの

特徴的なのが、5方向からの収音が可能な5.1chマイクです。周囲の環境音をリアルな音として録音できたり、撮影者の声を絞って録音するといった機能が備わっているのがポイント。

筆者もそうですが、子供が被写体となると、撮影中でも声を掛けちゃうことはよくあります。すると自分の声が、子供の声より目立っちゃうんですよね。それを軽減してくれるのはうれしい限りです。


▲5.1ch集音可能なマイクを搭載する

さて、1つ1つ機能を見ていきましょう。まずはカメラユニットが大胆に動いて手ブレを防ぐ、空間手ブレ補正機能です。ソニーが空間手ブレ補正機能をハンディカムに搭載してから約6年経ちますが、当時はその性能にびっくりしたものです。またこの6年でだいぶ進化しているようですが、手持ちでのズーム撮影や、動きながらの撮影時にはかなり効果を発揮します。

手ブレ補正には3つのモードがあり、4K撮影時は「スタンダードモード」と「アクティブモード」、フルHD時にはそれらに加えて「インテリジェントアクティブモード」が使えます。インテリジェントアクティブモードは、光学補正+デジタル補正で、より動きながらの撮影時でもブレない強力な補正機能です。4Kで使えないのは残念ですが、アクティブでも十分機能していると思います。


▲手ブレ補正の設定メニュー。「インテリジェントアクティブモード」はフルHD記録時のみ選択可能

ただし、空間手ブレ補正といっても、三脚に固定したようにピタッと止まって撮影できるわけじゃありません。本体の重量も付属品のバッテリーを装着した状態で約600g。持ちやすいサイズですが長時間同じ姿勢で持ち続けるのは大変です。

なので、どうしても微妙に揺れてしまうのですが、空間手ブレ補正なしと比べれば細かい振動はまったくなくゆっくりと画角が動く程度なので、非常に見やすい感じに仕上がります。


▲手ブレ補正の違い。「アクティブモード」と「補正なし」との比較。ズームした状態で撮影

実際、ちょうど幼稚園の生活成長発表会が行われたため客席の一番後ろから手持ちで息子の姿を撮影したのですが、20倍ズームと空間手ブレ補正機能の威力はすばらしく、表情のアップもキレイに捉えられました。

ただ、かなりズームした状態でパンをしようとすると、手ブレと認識されるためか画角がゆっくりと動くので、望んだ位置に止めるのが意外と難しかったです。当日はアクティブモードで撮影したのですが、自分は大きく動くわけではないので、スタンダードモードにしてもう少し機敏に動くようにしていたほうがよかったかもしれません。


▲流石に発表会の模様は公開できないので、ワンシーンの写真を。静止画機能で撮影

気になる4KとフルHDの画質差ですが、4Kディスプレーで映像を確認したところ、4Kの威力はすばらしいもの。解像感が非常にあり、フルHDの映像がちょっと眠く感じてしまうほど。この解像度で残しておくべきだと確信しました。

Exmor R CMOSセンサーにより、光量の少ない暗いところでもノイズ感は若干あるもののしっかり撮れていますし、6枚羽根の虹彩絞りを採用しているので、背景のボケ感もなかなかキレイでした。


▲スキー場でのショット。4Kで撮影した映像のキャプチャー

スキー場でも使ってみたのですが、よく晴れて日の当たる場所でも、雪面は白飛びせずしっかりと凹凸感がありました。遠方をズームで撮影してみましたが、空気のゆらぎもしっかり捉えていてとてもクリア。

滑りながら手持ちでの撮影も試みましたが、風切音が抑えられつつ、滑走音と周りの音は残っており、とてもいいバランスです。1つ難を言えば、サングラスをしていて、直射日光のもとでは画面明るくしても液晶の画面が見づらいこと。被写体を追いたいときはちょっと厳しいと思いました。


▲スキー場でのサンプル。滑りながらの映像は、自分では正面を向けているつもりでも意外と下を向いていて、雪面ばかり捉えていた。風切音はいい感じに抑えられている

息子たちを撮影する際に良かった機能としては、「ファストインテリジェントAF」によりフォーカスが結構速いこと。ズームしたときとかパンをした時でも、よほどのことがない限りすぐに捉えてくれます。また、タッチした被写体にピントを合わせ続ける「ロックオンAF」も、追いかけっこをしている息子だけにピントを合わせていたいときに便利でした。

ほかの撮影方法として「滑らかスロー録画」と「ハイスピード録画」も試してみました。どちらもフルHDでの撮影のみですが、前者は約3秒を4倍の長さで撮影、後者は1秒間に120コマ記録するタイプで、撮影後変換することでスローモーション映像にできます。滑らかスローの方が手軽ですが、3秒間限定のため、ハイスピード録画の方があとで変換の必要はありますが、時間制限のないぶんオススメです。


▲撮影モードのメニュー画面。ハイスピード録画はXAVC SのHDモードのみ、滑らかスローとゴルフショットは、ACVCHDモードのみ




▲「ハイスピード録画」のサンプル。撮影後、PC版「PlayMemories Home」アプリを使って編集

さらに、XAVC Sの4K/HD動画やフルHDのACVCHD動画とフルHDのMP4動画を同時に記録ができます。スマホで共有したいときや、撮影した複数の映像を1本のBGM付き映像にしてくれる「新・ハイライトムービーメーカー」機能を利用したいときは、同時記録に設定します。

ただ同時記録を行っていると、静止画の記録ができません。このためあとでハイライトムービーを作成したいけど、静止画も撮りたい、という場合はどちらかを諦めなければならないのです。先述の生活成長発表会のときは、写真としても撮りたかったので同時記録なしにしましたが、このあたりはなんとか改善してほしいですね。


▲ハイライトムービーを作成するには、赤く囲んだボタンを押して、メニューを表示


▲ハイライトにしたいイベント(日時)を選択


▲作成実行すれば、自動的に生成される。ただし生成中に電源を切る(液晶を閉じる)と作成されない


▲作成されたムービーは、保存されるほか、共有なども可能

またハイライトムービーは、撮影した時間帯をみて1つのイベントと認識しているのか、時間帯が近い複数のイベントのときは分割できませんでした。ただし設定で時間帯を増やすことは可能で、複数の日に渡った映像を1つにまとめることもできます。数日に渡って旅行した思い出を1つにまとめるという使い方に適しています。


▲設定で、ハイライトムービーにしたい期間を設定可能。ムービーの長さはBGMに合わせるか、時間指定ができる

BGMは自分で用意したものでも可能で、BGMの長さに合わせるか、決められた長さで作成するか選択できます。またワイプのしかたや切り替えのタイミングなども指定できます。実際に作成してみましたが、BGMに合わせて短くまとめられた映像は、なかなかいい仕上がりでした。撮影した映像の長さに対して、仕上がりの長さを調整すると、テンポのいい映像になります。

欲を言うなら、顔認識とか被写体の動きを分析して、映像の切り出しをしてほしいかなぁと思いましたが、自分で編集せずに1本の映像にまとめてくれるのはとても便利です。

もう1つ嬉しかったのが、64GBもメモリーを内蔵しているところ。これだけ内蔵していると、別途メモリーカードを購入する必要なく、4K/30pで60Mbpsの映像を撮影しても約2時間録画できます。付属のバッテリーでの駆動時間は約3時間10分(スペック値)なので、1度の充電でそれだけ録画できれば十分でしょう。


▲メモリーカードは、SDメモリーカードとメモリースティックが利用できる

データの転送に関しても、本機はWi-Fiを搭載しているため、録画した映像もWi-Fi経由で転送できます。また1対1接続だけでなくWi-Fiルーターにも接続できるため、PCやスマホと直接接続しなくても使えます。このあたり、Wi-Fiを搭載していないデスクトップPCをメインで使っているユーザーにはうれしいところです。

やり取りするには「PlayMemories Home」アプリを利用します。このアプリは管理や編集、再生、共有、ディスクの作成までできます。スマホ用のアプリでは、カメラと直接接続すると撮影コントロールも可能で、三脚に設置して遠隔操作による撮影が行えます。サイバーショットなら1台、アクションカムやレンズカメラなら最大5台のカメラをコントロールできるので、撮影の幅が広がります。


▲WPSにも対応。スマホと接続する際はQRコードやNFCによる接続設定をサポートする


▲「PlayMemories Mobile」アプリを使って、遠隔撮影も可能。Wi-Fi接続もこのアプリからできる


▲PC版「PlayMemories Home」の画面。取り込みから管理、編集書き出しをサポート

ここまで、かなり父親目線なレビューとなりましたが、これからの卒業式や入学式、GWの旅行に備えて、スマホで撮影している人やフルHDビデオカメラしか持っていない人には絶対オススメです。実売価格は9万円前後ですが、実際に使ってみて、やっぱりスマホで満足せず、きちんとしたビデオカメラは買っておくべきだと痛感しました。

そして、イベント撮影は一発勝負の世界。実際の撮影前にいろいろと試し撮りして、とくに空間手ブレ補正が効く感覚を身につけておくと、より確実に狙ったショットを抑えられると思います。