山中慎介、ルイス・ネリ【写真:Getty Images】

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計量失敗のネリは山中に勝利も… 米メディアは怒り心頭「キャリアを汚した」

 プロボクシングのWBC世界バンタム級1位の山中慎介(帝拳)は計量に失敗して同級王座剥奪となったルイス・ネリ(メキシコ)とのリベンジマッチに臨んだが、2回1分3秒TKO負けした。米メディアは体重面のアドバンテージを武器にしたネリを「2度の疑惑の勝利で偉大なファイターとしてのキャリアを汚した」と一刀両断している。

 現役引退を撤回して山中が臨んだリベンジマッチ。前日計量の1回目で55・8キロという1階級上のスーパーバンタム級の規定をも超える体重で、そのパワーを存分に見せつけた。だが、海外メディアはリング上で大喜びした前王者に疑いの目を向けている。

 米ボクシング専門メディア「ボクシングニュース24」では「それは試合前から始まっていた。ネリは前日計量と試合当日の朝からヤマナカの激怒を誘っていた。水曜日の計量では規定を2.3キロもオーバーし、ネリはベルトを返上した。彼は無効試合を戦うことを意味した。ネリの計画がヤマナカを弱体化させることだとしたら、それは奏功した」と皮肉った。

 そして「体重も作りもせずに対戦相手の頭越しに大騒ぎすることはありえないように見える」とネリのスポーツマンシップを一刀両断。昨年8月の第一戦で試合前のドーピング検査でネリに陽性反応が出ていた経緯も紹介している。

 記事では「WBCは無効試合とはせずに、再戦を命じた。これは十分な罰ではなかった。体重を作らず、限度をあまりに超えることで、ヤマナカはこれを無礼の表れと捉えたに違いない」と山中に怒りがあっただろうとし、「5ポンド(約2.27キロ)以上も体重超過で試合に臨むことで、ネリは信じられないほどの体重面のアドバンテージを手にしていた。ネリがベルトと引き換えに、体重の優位性を手にすることで、勝利と金を手にする決断をしたと陰謀論者は仮説を立てるほどだ」とネリのウエイトオーバーが“確信犯”だったのではとまで伝えている。

引退する山中には「人生をささげたスポーツにおいての名誉だった」と敬意を表した

 ネリには両国国技館のファンから罵声が浴びせられたが、記事ではそれも当然としている。

 まず日本のスポーツファンが基本的には、素晴らしく、フェアだということを紹介した上で、「しかしネリがリングにあがると、ブーイングが鳴り響いた。対戦相手がキャリアを通じて気品を保ち続けていたのにもかかわらず、ネリはとんでもなく無礼だったという一般認識が存在するからだ」と伝えた。ネリは日本のファンの間にとっても、許せない存在だった。

「ネリは“任務完了”と、ウキウキと帰国することになるだろうが、2度の疑惑の勝利で偉大なファイターのキャリアを汚した。彼は倫理面の信頼の多くを失った」

 ネリのボクサーとしての信頼は2度の“スキャンダル”で地に堕ちたと断罪。一方で山中に対しては、「シンスケ、我々はあなたにお別れを告げる。あなたは人生を捧げたスポーツにおいての名誉だった」と称賛。この試合を最後にリングを去る決断を下した“神の左”への敬意をもって見送っていた。(THE ANSWER編集部)