ユニリーバ(unilever)の最高マーケティング責任者であるキース・ウィード氏の発言が話題になっている。社会的な分断を招いていたり、子供の保護に真剣に取り組んでいないようなテックプラットフォームには広告を出さないというものだ。これはカリフォルニア州、パームデザートで開催されたIABリーダーシップミーティングの基調講演でのコメントだ。この講演において、ウィード氏はソーシャルメディアでは違法な、非倫理的な、または過激なコンテンツが大量にシェアされており、テック企業たちはその対処に失敗していると指摘した。そのせいで一般社会からの信頼はこれまでになく下がっており、テック企業たちは信頼回復に取り組む必要があると語った。

「テックが批判される年になるのか、それとも信頼を再構築する年になるのか?」と、彼は聴衆に質問を投げかけた。「このテックの時代において責任あるビジネスとは何であるかを再定義する必要がある」。

P&Gの最高ブランド責任者であるマーク・プリットチャード氏は、昨年のリーダーシップミーティングにおいて、プラットフォームをダイレクトに批判した。それに対してウィード氏はプラットフォームと舞台裏で一緒に取り組みながら状況を改善させていきたい、というアプローチで講演を進めた。下は彼との会話だ。読みやすさのために若干の編集を加えている。

――あなたは以前、ユニリーバはプラットフォームから広告を取り下げるのではなく、プラットフォームと一緒に取り組むと発言していた。それはどうなったのか?



これは業界の問題から社会問題へとシフトした。広告主たちはよりポジティブなエンゲージメントを必要とするようになり、プラットフォームに対しても変革をより早く進めるように求めている。昨年、多くのブランドがYouTubeから広告を取り下げた。我々はYouTube上の広告に関しては問題はなかった。問題を防ぐための対策は、もっとも高い水準のものを使い、高品質の在庫を購入していたからだ。

――ということは、あなたのアプローチがYouTubeに関しては効果があったということか?



YouTubeは大きな変更を加えるため、真剣に取り組んでいると思う。複数の意見が聞こえてくることは良いことだ。同じことがほかのプラットフォームでも言える。表からは見えない舞台裏において、可能な限り厳しく意見をぶつける。そのことはFacebookに対して功を奏したし、ほかのプラットフォームでもそうだ。私は問題について議論しない、ということを提案しているわけではない。むしろお互いに協力するような形で課題を提示しているのだ。これは公に究極の選択を迫ってしまうのとは違う。

我々はすでに3つのVに投資を向けている。ビューアビリティ、サードパーティによるベリフィケーション(承認)、そしてバリューだ。私が行っているのは、そこにプラットフォームが社会にポジティブな貢献をすることを保証するための新しい基準を加えることだけだ。公に目標達成までのロードマップを公開するわけではない。サードパーティーによるベリフィケーション、そしてどのステージまでに何が達成されているべきか。これらが、これまで私が取り組んできた基準だ。

――ユニリーバのような大企業が広告を停止しない限り、プラットフォームは姿勢を正さないと主張する人々もいる。それに対するあなたの意見はどのようなものか?



YouTubeの例だと、ブランドたちは実際に広告を停止した。プラットフォームが問題を是正することができなければ、それは究極の解決策として存在している。しっかりと対話に参加しながら、広告というお金によって投票行為を行う。これは成功するということが証明された。

――ユニリーバは成績の低い広告を減らし、自社で行うマーケティングを増やしてきている。継続してたくさんのエージェンシーを使っているが広告の量は30%減っている。この分野における取り組みは完了したのか?



我々は広告への投資を続ける。しかし、これまではコンテンツを多く生産しすぎた。自分たちの報告を効率的に使いこなせていなかった。まだ我々が出来る事はあると思う。今後進歩が見られる領域はどこかというと、エージェンシーはまだ削る予定だ。特定の割合を目標に削るというのではなく、ユニリーバが抱えるポートフォリオをシンプルにするためだ。

――ブランドにとって状況がより安全になれば、メディアに対してより多く支払う準備はあるか?



我々はこれまでも非常に競争力のある額を支払ってきた。そして今後も、それを継続する予定だ。しかし、単一の測定システムを導入する必要があると考えている。これによってサプライチェーンの課題を整理する助けになるだろう。ユーザー体験もそれによって良い影響を受けるだろうし、我々が(ユーザー体験を)最適化するのにも役立つ。予算は一度しか使えないため、賢く使う必要がある。デジタルメディアにおいて必要以上に出費をする意図はない。

Lucia Moses(原文 / 訳:塚本 紺)