マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究所が、大工作業や設計技術が高くない個人ユーザーでも、ソフトウェアとロボットを組み合わせて簡単にプレオーダーメイド家具を作成する方法「AutoSaw」を発表しました。この方法は、ソフトウェアで専門家がデザインした家具のテンプレートを選び、そのパーツ一式をロボットにより自動で正確そして安全に切り出して作成。そのパーツを人間が組み立てるというものです。今回の発表では、ロボットが実際にパーツを切り出しを行い、DIYで家具が完成する様子がムービーでも公開されています。

Robot Assisted Carpentry for Mass Customization.pdf

http://people.csail.mit.edu/jlipton/PrePrint Papers/Robot Assisted Carpentry for Mass Customization.pdf

Custom carpentry with help from robots | MIT CSAIL

https://www.csail.mit.edu/news/custom-carpentry-help-robots

MIT’s robot carpenters will saw wood for you, but you have to make the furniture yourself - The Verge

https://www.theverge.com/2018/2/28/17058532/robot-carpentry-automated-mit-assisted-furniture

マサチューセッツ工科大学の学際的研究所、MITコンピュータ科学・人工知能研究所のAutoSaw研究チームが発表したプレオーダーメイド家具の作成方法「AutoSaw」は、まだデジタル化が進んでいない建築の大工現場にロボットを導入する「大工仕事のデジタル化」と、自宅で3Dプリンターでの出力や通信販売のカスタム注文のように「家具の多数の消費者向けの特注品の製造(マスカスタマイゼーション)」という2つ効果を目標としているとのこと。

AutoSawで家具を作る様子は以下のムービーを再生するとわかります。

AutoSaw: Robot Assisted Carpentry - YouTube

最初に専用のアプリを使い、専門家が作成した椅子やテーブルなど家具のテンプレートを選びます。ムービーではテーブルのテンプレートを選択。これにより好きな家具を簡単に設計できます。



次にテンプレートの形を調節します。これによりCADなどの設計技術がないユーザーでも自分である程度好きに形を変更できます。例えば「L字型の部屋」など、家の環境に合わせて家具の形を変更することなどができます。



次に、家具が作成可能な設計かを「境界条件」と「応力解析」、そして「弾性変形」を用いてシミュレーションします。



シミュレーションの次は、家具の作成に必要なパーツのリスト一覧が自動で作成されます。以上でプレオーダーメイド家具のモデル作成が完了。次はロボットによる家具のパーツの自動作成に移ります。



家具のパーツ一式をロボットが自動作成します。向かって右に置かれている木材を、2台のオレンジ色のアーム型ロボットが持ち上げます。



次に、オレンジ色のロボットが自身の足もとのタイヤを回転させ、木材を切断するために、画像左側の緑色をした回転ノコギリの台に木材を運びます。回転ノコギリはAutoSawのソフトウェアで自動で稼働し、木材を切断するようにセットされています。



オレンジ色のロボットがアームとタイヤを動かして木材の位置を調節して切る場所に合わせ、ソフトウェアが回転ノコギリをコントロールして自動で木材をカットします。



次に、プログラミング可能なルンバ「iRobot Create 2」をベースにノコギリを装着した改造ルンバが板の上を円を描いて移動し、円形のテーブルの天板を切り出します。アーム型ロボットや改造ルンバなどロボットがパーツをカットする方法を採用することにより、個人ユーザーだけでなく、ノコギリで指と手を危険にさらしている大工の危険を少なくすることもできます。木材をカットするのが電動ノコギリをベースにしているのは、大工職人がAutoSawを現場に持ち運びやすくするためで、自動でカットするCNC工作機械よりも安価というメリットもあります



パーツ一式をロボットで切り出したら、あとは人間が組み立てれば完成。PC画面をみてアプリのガイドに従い……



切り出されたパーツを組み立てていきます。家具一式のパーツはすでにロボットによって切り出されているので、人間はパーツを組み立てるだけですみます。



テーブルの脚を組み立て……



天板を乗せると……



AutoSawを使ったテーブルが完成。設計と大工仕事のアマチュアでも簡単にプレオーダーメイド家具が安全に作成できました。



MITコンピュータ科学・人工知能研究所マネージャーで発表された論文の共同執筆者でもあるDaniela Rus氏は、AutoSawが示すロボットの可能性について「ロボットは既に大量生産を可能にしました。しかし、人工知能で、あらゆる製品を個人に合わせたカスタマイズを可能にするポテンシャルを持っています」と述べています。AutoSawのロボットは動作追跡ソフトウェアと小さな移動ロボットを使用するため、大きなロボットアームを使うよりもコストパフォーマンスが良いとのこと。



By Jiuguang Wang

しかし、AutoSawが現段階で行える作業はかなり基礎的なもの。家具のテンプレートは4種類で簡易的なものしかなく、ロボットや木材のセットなど多くの工程で人間の補助が必要。また、天板を切り出したルンバは発泡スチロールを切り出すほどのパワーしかなく、カスタマイズの範囲は狭く。組み立てには人間の手を借りなければなりません。



AutoSawの論文の第1著者のJeffrey Lipton氏は「これはほんの始まりです。AutoSawは、ロボット工学が大工作業またはその補助作業にどれだけ入り込むことができるかの理論を示したデモンストレーションと思ってください。発泡スチロールの天板を切っていたルンバの出力が上がるなど、ひとたび基礎的な技術が整うと、根本的なテクノロジーは信じられないほど実用的になります」とロボットが建設現場に進出する可能性を語ります。

Lipton氏は「今から数年で、建設現場で作業者がソフトウェアに命令を打ち込むと、ロボットが建設素材のカットと建設な部品の運搬を行うようになります。ロボットが大工の助手になれば、現場の労働者たちは本当に重要な仕事に専念できます。材木のカットには高いスキルは必要ありませんが、建設においては欠かせない作業でもあります。私たちは、AutoSawのようなツールを作成することにより、ロボットで大工に取って代わりたいというわけではありません。私たちは安全性を改善し、大工たちの知識や技能を良くしたいのです」とコメントしています。