中外製薬公式動画より

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 ―3月22日付で永山治会長兼最高経営責任者(CEO)が会長に専念し、自身は社長兼CEOに昇格します。
 「CEO就任には誇りを感じ、身の引き締まる思いだ。ただ、打診を受けた際は驚いた。永山氏は元気だし、25年間もトップを務めてきたので(自分が引き継ぐとは)考えたこともなかった。次の経営者をしっかり育てていくことが会社の持続的な発展に不可欠であり、私の大きな仕事の一つになる。技術革新を中心に考え、(親会社である)スイス・ロシュとの関係もさらに発展させる方針に変わりはない」

 ―薬価制度抜本改革を受け、医薬情報担当者(MR)の体制見直しなどを行いますか。
 「MRは常に変革をしてきており、2017年の1人当たり売上高は12年比20%以上改善した。ただ、一般的に言って今後の国内市場は非常に厳しくなることが確実。当社の生産性もそれほど大きくは伸びないだろう。組織改革では17年4月から7統括支店、36支店体制にした。都道府県によって(医療の)状況が全く違う。それに合った体制を整え、各都道府県の分析をかなり進めてきた。地域ごとの医療の支援をしっかりやっていきたい」

 ―がんゲノム関連情報を提供する事業の準備を進めていますね。
 「がん領域のトップ企業として、患者さんの遺伝子変異に合った治療に貢献したい。不要な薬剤の投与が避けられ、医療費も削減できる。国も今年末から来年には保険償還をしていく方針と聞いている。広く、早く普及するのではないか」

 ―横浜市戸塚区に建設予定の新研究拠点に関する検討状況は。
 「434億円で土地を購入し、建物のデザインなどを考えている段階だ。現在は静岡県御殿場市と神奈川県鎌倉市に研究所がある。人事異動のようなセンシティブな問題も絡むので詳細は言いづらい。ただ、分散しているところを一つにしていくのは大事。御殿場と鎌倉は離れており、交通も便利ではない。立地は良い学生を採る意味でも重要。今は女性が結婚しても働く。東京近辺だと(夫婦が)両方働ける」

【記者の目】
 後期臨床試験や海外販売では多くの部分をロシュに委ね、自社は創薬研究と早期開発に経営資源を集中できることが強みだ。国内では18年度の診療報酬改定で、医療や介護を地域で一体的に提供する枠組みの強化がうたわれた。中外製薬の営業組織改革は17年4月に行われており、先手を打てたとも言える。変化を先取りする能力を今まで以上に磨くことが望まれる。
(聞き手=斎藤弘和)