広告主がデータを収集、保存、利用する在り方が、いまかつてないほど精査されている。大きな理由は「一般データ保護規則」(General Data Protection Regulation:以下、GDPR)だ。5月25日から、消費者のデータ利用に明確な同意が必要になるのだ。パブリッシャーに直接由来するオーディエンスのファーストパーティデータよりも、サードパーティデータの利用のほうが悩みは大きい。この記事では、広告におけるデータの現状を5つのチャートで見ていく。

データへの支出額の上位は米国と英国

広告主がデジタル広告キャンペーンを適切にターゲティングするために使うデータには、ファーストパーティ、セカンドパーティ、サードパーティの3つがある。広告主によるこの3つのデータへの支出額が多いのは、データ調査会社オンオーディエンス(OnAudience)のレポートによると、米国、英国、中国、カナダ、そして日本だ。このレポートには、セカンドパーティとオンラインキャンペーンの全データのほかに、ファーストパーティデータの収集と管理――つまりDMP(データマネジメントプラットフォーム)――に関する費用も含まれている。

Source: OnAudience.com

ビッグデータにお金を使うところはプログラマティックも好む

驚くことではないが、プログラマティック広告や一般的なディスプレイ広告への支出額が上位の市場は、オーディエンスデータへの支出額も多い。オンオーディエンスのレポートによると、2017年のプログラマティック広告への支出額は、米国(310億ドル)と中国(60億ドル)が突出。3位は44億ドルの英国で、以下、日本、カナダ、ドイツ、フランスと続く。

Source: OnAudience.com

セカンドパーティデータの利用が拡大へ

ほとんどの広告主は、行動、デモグラフィック、関心、位置などに基づいた広告ターゲティングになんらかのオンラインデータを利用している。セールスフォース(Salesforce)のレポートによると、一番よく使われているのは匿名化されたファーストパーティデータで、世界の広告主の71%が利用しているが、伸びは3つのデータのなかで一番鈍化している。アジア太平洋地域に限れば、9%減が見込まれている。

Source: Salesforce

セカンドパーティデータとサードパーティデータの提携による、広告主が所有していないデータ源の利用のほうが成長は大きいと予測されている。パブリッシャーがオーディエンスデータを広告主に共有し、広告主がそのまま自社のデータに重ねるのがセカンドパーティデータ。それが2年間で26%も増えて64%になると、セールスフォースのレポートでは予測されている。後押しするのはパブリッシャーと直接協力したいという願望。また、セカンドパーティデータのほうが、サードパーティデータよりも提携のGDPRへの準拠が容易でもあることだ。サードパーティデータは、顧客と直接のつながりがない、さまざまな外部ソースからマーケターが購入して利用するもので、同じレポートによると、こちらも広告主の利用が2年間で大きく増える見込みだ。

テクノロジー大手が支配的なログインデータ

欧州では、消費者のログイン獲得を巡る新たな争いが繰り広げられている。提案されている「eプライバシー規則(ePrivacy regulation)」によって企業がデータ収集の方法をどう変える必要がでてくるのか、はっきりしない部分があることなどがきっかけになっている。ドイツではこれを受けて、FacebookやGoogleのようなところがすでに所有しているログインしている消費者の巨大データベースに対抗するため、消費者がログインする大規模プラットフォームを各社が協力して構築している。eプライバシー規則の現在の草案では、Google、Facebook、Amazon、Appleなど、大きなログインデータベースを所有する企業が有利になるという見方が多い。Facebookは全世界に22億人のユーザーがいると主張しており、Facebookを使うにはログインが必要だ。Googleは検索、Gmail、YouTube、Chrome、Google Maps、Google Play、Androidの7つのサービスにそれぞれ10億人を超えるユーザーがいる。Appleは2016時点でデバイスのアクティブユーザー数が10億人を超えている。Amazonは2017年の発表によると、プライムメンバー数が世界に6500万人いる(これはユーザー基盤のほんの一部だ)。

各規則によるデータ市場の収縮

GDPRや成立を待つeプライバシー規則によって広告主がターゲティングのために購入できるデータの量がどれくらい縮小するのかについては、規則が新しいこともあり厳密な調査が不足している。それでも、特にサードパーティデータを中心にデータが不足していくという考え方を、広告主は当たり前のものとして受け入れるしかないだろう。欧州ではドイツでいち早く、eプライバシー規則がパブリッシャーとマーケターの収益にもたらす影響を推定するレポートが作成された。ドイツ雑誌出版社協会(VDZ)のこのレポートによると、プログラマティックによる収益が30%以上失われるとの回答は67%、リターゲティングによる収益が30%以上失われると答えは53%だった。

Source of chart: VDZ.

Jessica Davies (原文 / 訳:ガリレオ)