平昌オリンピック、カーリング女子決勝戦での韓国チーム(写真:アフロ)

17日間の熱い戦いを繰り広げた平昌冬季オリンピックが2月25日に幕を閉じた。

参加国92カ国中30カ国がいずれかのメダルを獲得。開催国の韓国も史上最多の17個のメダルを獲得し、7位だった。オリンピックの高揚した雰囲気と成功裏に終わったという安堵感が今、韓国に漂っている。

そんなオリンピックの高揚した雰囲気が残る韓国では今、”オリンピック特需”が続々と生まれている。なかでも、大旋風を巻き起こしているのが、韓国カーリング女子史上初のメダル(銀)を手にしたカーリング女子チームだ。

「メガネ先輩」が一躍人気に

選手たちの出身地がニンニクで有名なことから「ガーリックガールズ」や全員キム姓から「チームキム」と呼ばれ人気の彼女たち。ひときわ人気を呼んでいるのが日本代表との準決勝の一戦で藤沢五月(ふじさわ さつき)選手とスキップ対決をしたキム・ウンジョン選手だ。

そう、あの「メガネ先輩」の愛称で知られた、ポーカーフェイスの選手で、「メガネ先輩」は韓国でも大ヒットした日本のバスケ漫画「スラムダンク」のキャラクターから付けられたものだ。


メガネ姿がひときわ人気になったスキップのキム・ウンジョン選手(写真:ロイター/アフロ)

カーリング女子日本代表の「そだねー」と同じように、韓国ではそのキム・ウンジョン選手が試合で指示を出す時に連呼していた「ヨンミ〜」という言葉が大流行。

「ヨンミ」はリードのキム・ヨンミ選手の名前で、「もし(こんなに人気になると知っていたら)ソンヨン(サード)も呼んだり、キョンエ(セカンド)とも呼んだのに」(中央日報2月28日)とウンジョン選手は話している。

この「ヨンミ〜」人気にあやかって、ロッテワールドでは3月18日まで、「ヨンミ」の名前と一文字でも重なれば自由利用券を半額とするキャンペーンを実施。LCC(格安航空会社)のティーウェイ航空では、3月6日まで応募者の中から名前がヨンミと確認された先着200名にソウルと名古屋往復チケットが当たるイベントを開催する。こうした「ヨンミマーケティング」もさかんになっており、町中ではヨンミと同名の顧客を無料にするイベントを行っている飲食店も見かける。

こんなカーリング女子チームにはCM依頼も殺到しているそうで、「1日150件以上もの広告依頼があるともいわれています」と全国紙の記者は笑う。そして次のように続ける。

「正直、大会前は、カーリング女子は話題にもなりませんでしたが、注目され始めたのは予選リーグ6試合目の強豪スウェーデンに勝った頃からでしょうか。予選を1位で通過した頃には絶大な人気で、特にキム・ウンジョン選手は試合中のカリスマ性のある毅然とした姿や決勝で敗れて銀メダルとなった後、応援してくれた観客席に90度の敬礼をするなどの礼儀正しさが好感を持たれて、一躍スター選手となりました」

着用していた「メガネ」製造元に注文が殺到

カーリング女子チームでいちばんのヒットアイテムになっているのが、そのキム・ウンジョン選手のトレードマークともなった「メガネ」だ。


キム・ウンジョン選手が着用していたメガネ(写真:ファントムオプティカル社)

閉会式の翌日2月26日時点で、製造元の「ファントムオプティカル」には通常の10倍ほどの注文が殺到しているという

同社のチャン・ヨンチャン社長に話を訊くと弾んだ声が返ってきた。

「カーリング女子の試合を見ながら、キム・ウンジョン選手とキム・ソンヨン選手がつけているメガネはうちの製品ではないかなあと思って見ていたら、取引先の眼鏡店の社長が昨年6月頃にウンジョン選手らが購入していったものだ、と教えてくれました。驚いたやら、うれしいやらで、光栄だと思っていたら、大会が進むうちにある新聞社から問い合わせがありまして、弊社製品だというのが紹介されてから続々と注文が入ってきました」

ウンジョン選手とソンヨン選手がつけていたメガネは同社の「プリュム(plume)」というブランドで、レンズの価格にもよるが約10万ウォン(約1万円)の商品だ。チャン社長は大学でも眼鏡光学科を専攻した眼鏡一筋。「『プリュム』は英語の羽毛。羽毛のように軽くて、つけていることもわからないほどつけ心地のいいメガネという意味が込められています」と語っていた。

余談だが、同社は、キム・ウンジョン選手が通った大学のある韓国第4の都市、大邱(テグ)に拠点を置く企業だ。繊維の街として古くから知られる大邱市は、韓国のメガネ製造企業の90%が集積する「メガネの街」としても有名だ。

カーリング以外の競技にも光が当たった

韓国が獲得したメダルの中には、韓国であまり人気のなかったスケルトンやボブスレーなどの種目も入っていて、この両競技に使われたヘルメットや、サポートしてきた後援企業にも関心が集まっている。

「企業は人気競技や選手に集まりがちですが、人気のない両種目を全面的に後援してきたCJ(CJグループ:韓国有数の生活用品などを手掛ける企業)は企業イメージをアップさせたといわれています。また、スケルトンで金メダルをとった男子のユン・ソンビン選手が被っていた『アイアンマン』ヘルメットは大人気で、『アイアンマン』をモチーフにしたロボット掃除機や携帯ケースも登場するなど人気を集めています」(前出全国紙記者)

スケルトンのユン・ソンビン選手が使った「アイアンマンヘルメット」を製造したのは、オートバイヘルメット分野で世界シェア1位の「ホンジンHJC」だ。一昨年にユン選手から直接依頼を受けて、3Dスキャン技術を駆使してユン選手の頭にフィットする形を測定し、 素材には航空機に使われる炭素繊維などが使われたと伝えられている。

そして、なんといっても大会中から爆発的な人気が続いているのが、大会マスコットの「スホラン」の人形だ。今まで、パラリンピックのマスコット「バンダビ」と合わせておよそ65万5000個が売れたといわれ(スホラン9、バンダビ1の割合)、ネットの転売サイトでは、「購入」の書き込みがずらりと並ぶ。なかには、選手だけに渡される、昔、科挙合格者にだけ王が授けた御賜花をつけたプレミアムスホランを「100万ウォン(約10万円)」前後で購入するといった書き込みも出ている(朝鮮日報2月28日)。

次はいよいよパラリンピックが3月9日から開催される。どんな選手や名場面が飛び出すのだろうか。「スホラン」に押されていたマスコット「バンダビ」の人気の行方も楽しみだ。