新型の直列4気筒2.0L直噴エンジン「Dynamic Force Engine(2.0L)」(画像: トヨタ自動車の発表資料より)

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 TNGAについてなかなか理解が進まないようだ。今回トヨタはTNGAにより一新した新型パワートレインを発表したが、その発表内容を読んでみると、平易な言葉で説明されているものの、一般人はもとより、在来の自動車ジャーナリスト、製造現場を知らない知識人などには理解は難しいものと感じる。トヨタの動きだけでなく、マツダやスバル・全世界の自動車メーカーの動きが、少しでも皆さんにできる限り理解できるように、情報を集めて解説してみよう。

【こちらも】「第4次産業革命」の本質を理解せよ トヨタが開発した「省ネオジム耐熱磁石」

 まず、世界の自動車メーカーのEV・AI・IoTなどに対応するための動きを理解するには、「第4次産業革命」を理解していなければならない。その基礎的知識を得るによいサイトをご紹介しておく。

参考:【みんなが分かりづらい第4次産業革命(1)】学問的認識の誤り、現在は第3次産業革命?(知恵の輪サイト)

■TNGA(Toyota New Global Architecture)とは「必要な結果論」

 TNGAについては、あらゆる技術革新が伴う動きだが、車の性能向上は「必要な結果論」と言えなくもない。企業経営は「利益を求める」ことと定義されている。どのような企業も利益を求めて活動することが使命だ。トヨタは世界一の生産台数を目指して拡大を続けてきた。しかしリーマンショックを経験してみると、減産により赤字体質となってしまった。トヨタ生産方式は減産に強いはずだったが、増産を目指して機種を増やしてきてみれば、多種生産では減産時に固定費が下がらない状態になっていたのだ。

参考:【TNGA(Toyota New Global Architecture)-1】(知恵の輪サイト)

 トヨタは、生産の減産に対応して固定費が下げられ、増産になれば生産台数を容易に上げられる体質を目指して動き出した。そこで考えられたのが「平準化」だが、その仕組みを、年間1千万台を造る規模で実現するのは容易ではなかった。動き出したTNGAの基本は「共通部品化」だが、ユーザーの好みに合わせてバリエーションを造れる体質も目指さねば世界一を目指すことはできない。

 そこで考えられたのは、多くの車種を実現できるバリエーションの多さがあり、かつ製造過程では「単一部品」として取り扱い出来る設計・生産工程だった。プラットフォームも出来る限り共通化し、パワートレーンは、車種が違ってもできる限り共用できることが望まれた。種類そのものも19種類37バリエーションに統合することも目指している。

 これらの技術開発が進めば、車種のバリエーションが多くても、「製造の見方からは車種が削減され」、部品の共用化が図られてライン稼働率が上がり、減産時には稼働ラインを集中させて、固定費の削減が可能となってくる。これは決算数字につながる技術開発であり、企業経営は最終的にはこの決算数字の向上を目指すことが当然なのだ。

 そのTNGAの動きの中で、「商品力を高める性能向上」も果たさねばならない。この動きが今回の新パワートレーンの開発につながっている。言い換えれば「TNGAは、トヨタが生き残るために必要な動き」と言えるのだ。