2017年12月の機械受注は外需が急減した(写真:kynny/iStock)

2月23日の東洋経済オンライン記事「中国経済の鈍化は世界経済の大きな重しだ」で、筆者は中国経済の鈍化が世界経済に及ぼす影響の試算結果をまとめた。実は今月、気になるデータが出ている。2月15日に内閣府が発表した2017年12月の機械受注統計によると、これまで好調だった外需が前月比マイナス13.2%と急減したのだ。2017年10〜12月期は前期比でプラス0.1%と、なんとかプラスを維持したものの、4〜6月期の同プラス9.6%、7〜9月期の同プラス9.2%から大幅に鈍化した。

それだけでなく内閣府の2018年1〜3月期の見通しは前期比マイナス5.5%となり、4四半期ぶりの減少となる可能性が高い。今回の外需の見通し悪化はこれまで好調だった世界経済の「終わりの始まり」を示すシグナルかもしれない。そしてその背景には中国経済の鈍化がありそうだ。

機械受注統計の外需は一般機械の輸出金額と連動性が高い。2017年の一般機械の輸出金額は前年比プラス15.2%と、大幅に増加した。これは輸出金額全体の同プラス11.8%を上回る増加率で、インフラ投資などの需要が強かった中国向けが同プラス31.1%と際立って増えたことによる。


機械受注の外需は先行き、さらに下振れも


この連載の過去記事はこちら

なお、一般機械の輸出額は日本からの輸出金額全体の約20.0%を占める。1〜3月期の一般機械の受注額が内閣府の見通しどおりに減少し、それに伴って輸出額も減少すれば、GDPをマイナス0.15%ポイント程度、前期比年率ではマイナス0.61%ポイント下押しする要因となる(輸出のうち約20.0%を占める一般機械の輸出額が前期比マイナス5.5%になり、それに伴って財輸出が減少するとして、GDPに対する寄与度を試算した結果)。

機械受注は景気の先行指標であり、GDPの基礎統計である輸出額よりも1四半期程度先行する傾向があると考えれば、GDPへの影響は2018年4〜6月期くらいに本格化するだろう。むろん、機械受注統計も貿易統計も振れの大きい統計であり、一時的な調整にとどまる可能性もあるが、内需が弱い中で外需頼みの景気回復を続けている日本にとっては先行き懸念を強める材料である。

これまで外需が好調だったために内閣府が1〜3月期の見通し作成に用いている過去3四半期の平均達成率は106.1%と高く、10〜12月期の達成率102.7%を上回っている。仮に1〜3月期の結果が10〜12月期程度の達成率にとどまれば、1〜3月期の外需は前期比マイナス8.9%に下振れする。また、企業の報告ベースの数字どおり(つまり達成率100%)になれば、同マイナス11.6%までマイナス幅は拡大する。

前述の方法でGDPへの影響を試算すると、機械受注の外需がマイナス8.9%に下振れすれば、GDPをマイナス0.25%ポイント、前期比年率ではマイナス0.99%ポイント押し下げる。マイナス11.6%まで落ちれば、GDPの押し下げ効果はマイナス0.32%ポイント、前期比年率ではマイナス1.29%ポイントとなり、無視できる数字ではない。

また、内閣府によると今回注目した「機械受注見通し調査」の時点は「おおむね2017年12月下旬と推定される」という。足元の金融市場は12月下旬時点とはまったく異なっており、2月の世界同時株安や円高ドル安の進行などを考慮すれば企業マインドはすでに悪化しているとみられ、内閣府の見通しを大きく下回る可能性もある。

機械受注の鈍化は中国経済減速のシグナルか

2017年の日本からの輸出金額は全体で前年比プラス11.8%だったが、米国向けが同プラス6.8%、EU向けが同プラス8.5%、アジア向けが同プラス15.7%、アジアのうち中国向けが同プラス20.5%と、輸出金額のうち約21.1%を占める中国向けが全体の増加に大きく寄与した。


また、この構図は日本だけにあてはまらず、世界全体の貿易量の増加に対しても、中国を含むアジア新興国の輸入増が大きく寄与した。世界全体の2017年の輸入数量は前年比プラス4.3%だったのに対し、アジア新興国は同プラス8.5%だった(いずれも取得できるデータの制約上、2016年の年平均に対する2017年1〜11月の平均値の増加率)。


筆者は 2月23日の記事で、2018 年に中国経済の成長率が政府目標程度に鈍化するだけで世界経済に対してマイナス0.5〜マイナス0.8%ポイントのインパクトがあると試算した。今回注目した機械受注統計の外需の減少が、中国経済の成長鈍化の可能性を示唆するシグナルである可能性は十分にあり、日本からの輸出が減るだけでなく、世界経済や日本経済に与える影響は一段と大きくなるおそれがある。