ミリ波帯でも都市をカバーできる──「5G」の懸念払拭、クアルコムがデモ(MWC 2018)
数年前からよく耳にする「5G」というワード。これは、「4G」(LTE)の後継となる第5世代移動通信のことを指します。10Gbps級という超高速スループットに数ms級の低遅延。そして、IoTの超多接続を実現することから、社会を変えるテクノロジーとして期待されています。韓国のオリンピック会場でもテストネットワークが設置されていました。

一方、5Gはミリ波と呼ばれる高い周波数の電波を利用するため「商用化してもホットスポット的な狭い範囲のエリア化に留まるのでは...」と実現を疑問視する向きもあります。クアルコムはこの懸念を払拭すべく、MWC 2018のブースでその実用性をアピールしました。

5Gの電波は遠くまで届かない


ソフトバンクがかつて900MHz帯を「プラチナバンド」と称し、電波の届きやすさをアピールしたように、電波は周波数が低いほど障害物の背後に回り込み、遠くに届く性質があります。

一方の5Gは、通信を高速化するために広い帯域幅(100MHz幅で1キャリア)が必要。従って、帯域に余裕のある高い周波数帯。具体的には3.5GHz帯から6GHz帯までの「Sub-6GHz帯」と、24GHz帯以上の「ミリ波帯」を利用せざるを得ません。これが「5G」のエリア展開が難しいと言われる理由です。

この懸念を払拭すべく、クアルコムがMWCのブースで紹介していたのが、"既存の4G基地局をそのまま5G基地局に置き換えた場合、エリアがどう変化するか"という実験です。

場所はサンフランシスコ市内。4G基地局をミリ波帯の5G基地局に置き換えることを想定して行われました。その結果、屋外に限れば、ミリ波帯でも4Gエリアの約65%をカバー。さらに、半分以上のユーザーで1Gbps以上のスループットが出るようになったといいます。

実際の5G基地局は都市部で4Gより密に配置されるので、実際のエリアカバーはこの結果を上回るはずです。



また、フランクフルトで実施したSub-6GHz(3.5GHz)帯の実験では、「4G」とほぼ変わらない屋外エリアカバーを達成したといいます。

5Gの穴は「1Gbps超えの4G」で補完


とはいえ、5Gのエリアが4Gに比べて狭くなるのは致し方ないようです。クアルコムは、当面の間、5Gでカバーできないエリアを4Gで補完することを想定。5Gから落ちた場合に、スループットが大きく落ちないように4G LTEの高速化も推進しています。

クアルコムが最近発表したSnapdragon X24モデムは、4Gながら受信最大2Gbos通信が可能(理論値)。オーストラリアのテルストラは、年内に2Gbpsの4G LTEサービスの開始すると発表しています。



初の5Gスマホは電池持ちに不安?


5Gの商用サービスは2019年に開始される見通し。Snapdragon X50などスマートフォンに搭載できるサイズのモデムも登場しており、5G搭載スマホも同年に登場する見通しです。



なお、最初の5Gスマホは電池の持ちが不安かもしれません。クアルコムの担当者は「歴史上3Gや4Gがそうであったように、出初めはベストな電力効率で利用するのは難しいのではないか」と語りました。