各地に住宅・商業施設一体開発の複合ビルやタワーマンションが建設され、家電量販店の「下」や「そば」に住む人が増えている

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 駅前の一等地に建つ商業施設に家電量販店が相次いで出店している。閉店した百貨店の跡地ではなく、新たに誕生した複合商業施設の核テナントとしての出店だ。その街の勢いと店舗の商業的な成否は、ほぼリンクする。いかに継続して集客を図るか。地元関係者の期待値が高いだけに、各社の手腕が問われる。
h2>●集客の要として期待競争過剰の懸念も

 駅前の老朽化した既存の建物を解体し、その周辺一帯を再整備する再開発が各地で進んでいる。今回は、2016〜17年に竣工した駅直結の複合商業施設に家電量販店が出店した事例をまとめた。また参考までに、同様に家電量販店が出店すると予想される決定済の再開発事業も加えた。

 鉄道路線の複々線化や直通運転・乗り入れによる駅の改良、訪日外国人観光客をターゲットとしたホテルの建設、木造住宅密集地域(木密)の解消など、さまざまな要因が重なり、20年代前半にかけて、全国の駅前は大きく変わる。開発で共通する目標は、その街やエリア全体の活性化だ。

 ただ、いかに他のエリアから定住者や買い物客を呼び込むか、自治体や駅間の競争に終始している感は否めない。リアル店舗ならではのメリットをもっと強く打ち出し、同時に、従来の複数フロア構成の大型店だけではなく、取り扱い点数を絞った小型店や新業態で出店するなど、既存店との差異化を図らないと、早々に供給過剰に陥りかねない。

●店舗と住居の一体開発の進化系

家電量販店×タワーマンション



 タワーマンションは、眺望の良さから、立地を問わず、一定のニーズがある。さらに、そのエリアNo.1の立地だと、中古になってもプレミア感から高値で取引され、通常の板状型マンションより資産価値を保ちやすい。

 最近は、下層階に商業施設や行政施設、公共施設などが入った、まさに地域のシンボルともいえる”タワマン”が相次いで誕生。野村不動産の「プラウドタワー立川」にはヤマダ電機、住友不動産の「シティタワー広島」にはビックカメラが、それぞれ商業施設部分「立川タクロス」「ビッグフロントひろしま」の核テナントとして出店した。

 とくに、JR広島駅南口地区の再開発は興味深い。A/B/Cの3つの地区を段階的に開発し、最後に竣工したC地区には、11階建ての商業棟「EKI CITY広島」と46階建ての分譲・賃貸マンション「グランクロスタワー広島」が建設され、「EKI CITY広島」には、家電店と本・文具・カフェなどが融合した「エディオン蔦屋家電」が出店した。エディオンの既存店と、B地区の「ビッグフロントひろしま」に先にオープンした「ビックカメラ広島駅前店」との競合を避けつつ、新業態の採算分岐点や最適な展示を探る、実験的な取り組みといえるだろう。

 テナントの選択・決定権は、再開発組合にあり、広島の事例では、ビックカメラ自身がB地区の再開発組合に参画している。高層の住宅棟と低層の商業棟に分けて一体開発するケースや、商業施設に隣接する区画に、別の不動産デベロッパーが大規模マンションやタワーマンションを建設するケースもあり、家電量販店の上層階やそばに住んでいる人は意外に多そうだ。

 なお、東京都中央区晴海エリアの2020年東京五輪・パラリンピックの選手村は、大会終了後、再整備して分譲・賃貸あわせて約5650戸のマンション街に生まれ変わる計画。エリア内には、生活支援施設として、小学校や保育所、複数の医療機関が集まったクリニックモール、商業施設などもできる予定。選手村跡地という特殊事情から物件価格は相場より安くなるとみられ、巨大な新たな街の誕生によって、職住近接に流れが加速すると注目を集めている。(BCN・嵯峨野 芙美)

●山手線に新駅登場・高さ「日本一」の新ビルも



 20年に、JR山手線の田町・品川駅間に新たに「品川新駅」が誕生する。名称は未定。周辺の開発も進め、駅開業から4年後の24年に街開きする計画だ。山手線沿線では、東芝グループなどが入居している浜松町ビル(東芝ビルディング)を含む約4.7haのエリアも段階的に再開発する。目玉は高さ約235mのツインタワーだ。

 JR東京駅の北側、日本橋口前の3.1haの再開発エリアには、完成すると大阪市の「あべのハルカス」を超える、高さ390mの「日本一」の超高層ビルが21年12月に竣工する予定。BCNのオフィスがある神田駅西口、大手町方面5.8haも再開発に向けた準備組合が17年12月に立ち上がっている。