苦難を乗り越え、初優勝を挙げた石川遼世代(撮影:GettyImages)

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2017年、米国でのツアーカードを失い、18年は日本ツアーでプレーすることを決めた石川遼。15歳で「マンシングウェアオープンKSBカップ」を制して一躍ときの人となった当時から11年、今年で27歳を迎える。
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同世代として松山英樹(26歳)、リッキー・ファウラー(米国、29歳)、ローリー・マキロイ(北アイルランド、28歳)など、欧米ツアーの上位で活躍する面々が浮かぶが、もう一人、どん底からはいあがった選手がいる。昨年秋、プロ5年目にして初優勝を挙げたのがパトリック・キャントレー(米国)だ。
年齢は石川より一つ下の1992年生まれ。19歳、当時大学生だった11年には、アマチュアで出場した「全米オープン」で21位に入ってローアマに輝いた。翌週の米国男子ツアー「トラベラーズ選手権」2日目には、アマチュアながら“60”をマークする驚異的な活躍を見せて世界を震撼させた。翌12年の「マスターズ」でも同じくアマチュアだった松山英樹を逆転し、ローアマを獲得。世界アマチュアランキング1位の座を55週守り抜くなど輝かしい成績を残し、満を持して同年、プロ転向を果たした。
翌13年3月には、下部ツアーのウェブ・ドットコム・ツアー「コロンビア選手権」で早くもプロ初優勝。そのキャリアは順風満帆に思えたが、挫折は突然だった。初優勝から約2カ月後、5月の「クラウンプラザ招待atコロニアル」の2日目に突如背中の痛みに襲われ、耐え切れずに棄権。医者からの診断は「腰椎の疲労骨折」だった。
ここまで見ると、プロ、アマでのキャリアの違いこそあれ、石川と共通する部分が見えてくる。数々の栄光の末にたどり着いた憧れの地で挫折を味わったのだ。石川にしてみれば、日本ツアーで賞金王にまでなった。それが米ツアーでは通用しない。自問自答の日々を送る。見失いかけた自身のゴルフを立て直そうとするあまりハードな練習を続け、今度は腰を痛めてツアーを9カ月離脱してしまう。
話しをキャントレーに戻す。3カ月の療養を経るも、明確な治療法が見つからないまま痛みに耐えて8月に復帰。翌シーズンの出場資格を懸けた入れ替え戦を何とか11位で終了。ツアーカードを手に入れたが、13-14年シーズンに出場できたのはたった5試合。14-15年シーズン、唯一出場した「OHLクラシックatマヤコバ(2014年11月)」を最後にツアーから姿を消した。当時のことを振り返り、「たくさんの医者のもとを訪ねた。ドイツまで行ったこともある。一番苦しかったのは、練習さえもできないことだった」と、一向に改善しない症状に心をふさいだ時期もあった。16年2月には自身の親友でもあったキャディを目の前のひき逃げ事故で失った。
心身ともに「どん底にいた」キャントレーだったが、それでも失わなかったのが「プレーへの情熱」。「“いいプレーをしたい”という気持ちは、ずっと変わっていない」と、周囲のサポートを受けながらトレーニングやスイングの微調整を続けた。
石川遼もプレーへの情熱を失うことはなかった。日本ツアーにスポット参戦すれば優勝する力はある。日米ツアーの差だけでは片づけられない。米国で勝つ、マスターズで勝つという目標を持ち続けているからこそ、情熱を失うことなく、復活への道を常に探っているのだ。それが日本であれ、米国であれ。
キャントレーがようやくプレーできるようになったのが、17年2月の「AT&Tペブルビーチプロアマ」。公傷制度の適用で10試合の出場が保障されていたが、それ以降も参戦するには同大会以降の9試合で約61万ドルを獲得することが必須だった。その状況で挑んだ復帰後の第2戦「バルスパー選手権」で、単独2位に入って約68万を獲得。ケガと戦いながら挑んだ同シーズンは出場13試合中、4度のトップ10入りを果たして徐々に自信を取り戻した。同年11月の「シュライナーズホスピタルforチルドレンオープン」でつかんだ、初の優勝カップ。「決して諦めなかった」と、執念のツアー初優勝を手に入れた。
そんな選手の復活物語を見ると、石川の姿をどうしても重ねてしまう。順風満帆なプロスタート。若くして注目を浴びたのも同じだ。将来を有望視されたのも一緒。石川は米国ツアーで5年間戦ってきた。つまずくたびに立ち上がってきた石川。同世代のキャントレーに続き、再びはいあがるために。ゴルフへのあふれる情熱を今年も見せてくれ、悲願の米国優勝への道を切り開くことができるはずだ。

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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