スポーツ紙コラムで議論(写真はイメージ)

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「部活でなく、授業を減らせばいい」――。部活動の「週休2日制」をめぐる持論を展開した日刊スポーツ(ウェブ版)の記者コラムが、インターネット上で注目を集めている。

筆者は同紙の野球担当記者。コラムは、中高の部活動に週2日の休養日を設けるというガイドライン案がスポーツ庁の有識者会議でまとまったことについて、「改革のメスを入れるべき点が、そもそも間違っている」などと訴えた内容だ。

「投手の球数制限など、先に語るべきテーマがあるはず」

部活動の休養日は、スポーツ庁が制作を進めている「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」に含まれる見込みだ。報道などによれば、いわゆる「ブラック部活」問題に代表される教師の「働き方改革」、またスポーツ科学に基いた生徒のけが防止などが目的とされている。以前は基準の対象は中学のみとされていたが、2018年2月23日の有識者会議で、高校も対象に含んだ案がまとまった。

こうした動きを批判的に取り上げたのが、日刊スポーツ(ウェブ版)が27日に配信した記者コラム「順番を間違ってないか、公立高の部活週休2日に疑問」だ。

このコラムでは、冒頭から「スポーツ庁がトップダウンで決めたことで、公立高校の部活は、運営の変更を余儀なくされる」などと苦言。続けて、

「これって、権力の乱暴な使い方ではないか。子供たちの1度きりの青春に、大人が大人の都合で邪魔をしないでほしい」

とも書いている。

コラム中には、「何が悪いって、教員の働き方改革を最優先して、子供たちの気持ちを後回しにしていることだ」との記述も。高校野球を念頭に置いているのか、けが防止のためには「投手の球数制限など、先に語るべきテーマがあるはずだ」とも訴えていた。

さらに筆者は、部活に休養日を設けるというルールはチームや部が自主的に作ればよいとして、スポーツ庁が一律で押し付けることは「おかしい」と指摘。最終的には、教員の働き方改革と部活動の関係について、

「(教員が)多忙でどうしようもないならば、部活でなく、授業を減らせばいい。学業指導は学習塾にかなりの部分を依存している現状で、仮に授業時間が3分の2になって、勉強ができなくなって困る生徒は、果たして、どれほどいるのだろう」

との持論を展開。「改革のメスを入れるべき点が、そもそも間違っている」とコラムを結んでいる。

「教員は授業をするのが仕事」

こうしたコラムの内容について、インターネット上には筆者の主張に違和感を抱くユーザーが続出。ツイッターには、

「いやほんと、何言っているんだというか、この人高校がどんなところか判ってるのか?」
「教員は授業をするのが仕事であって、部活動は本業ではない」
「子供の青春の為にとか言ってるけどそれ、大人の感動の為にの間違いじゃない?」

といった意見が出ている。

また、教育研究家で文科省学校業務改善アドバイザーの妹尾昌俊さんは27日夜、「いろんな意見はあってよいと思いますが、すごい記事です。。。部活より授業のほうが高校の本命です」とツイート。その上で、

「野球の投球制限はわたしも必要と思いますが、これこそ国にたよらず、さっさと高野連や野球関係者のみなさんで決めて実行なさってください」

と皮肉気な一言も添えていた。

また、ライターの松谷創一郎氏も「Yahoo!個人」に28日に寄稿した「『公立高・部活週休2日』へのバックラッシュ──日刊スポーツ論説『授業を減らせばいい』の問題点」と題した記事の中で、

「学習指導要領の理念としては、あくまでも教育(授業)が『主』であり部活は『従』の関係だ。(略)もしかしたら『学校』がなんのために存在するか、よく理解していないのかもしれない」

などとしていた。