当時は衝撃が走った…はじめしゃちょーの台頭

先ほどうかがった“ご自身の強み”と重なるかもしれませんが、あえてもう一度、おうかがいします。これだけ長く、YouTuberとしてトップを走り続けることができる、その秘訣はどんなところにあると思いますか?
周りに合わせられることかなぁ…?
“周り”というのは周囲のYouTuberという意味ですか?
“時代”と言ってもいいかもしれません。あんまり、無理に自分からレベルを上げたくないんですよね。むしろ、いまの時代、そのトップの層に合わせてやっていけるというのが大事なのかなと思います。たとえば、テロップを使う人が増えてきたら、自分も増やすし、みんなが効果音や音にこだわり出したと感じたら、自分もそこをしっかりと強化する。
もちろん、先ほどからおっしゃっているように「自分が面白いと思ったことをやる」というのは前提にあるんでしょうが、それを核としつつも、積極的に世間のニーズに合わせていく?
そういうことですね。いつもイメージするのは、牛丼チェーン店なんですけど。
牛丼チェーン店?
どこかのチェーンが急に一気に値下げをしたら、他のチェーンは「おいおい、ふざけんな!」ってなるでしょ? 僕はむしろ、周囲にキッチリ合わせることを大事にしてきたんですよね。
周囲のレベルと言っても、あくまでトップのレベルですから、それはそれで決して簡単なことではないとは思いますが…。
そういう意味で、みんなに合わせるという流れをガツンとぶち壊して出てきたのが、はじめしゃちょーだと思うんですよ。
HIKAKINさんとは違う方向性で数字を伸ばしてきたわけですね?
「え? そんなに飛ばすかよ!」ってペースで来ましたね。みんなが「1個食べます」とやっていたところで「100個食べます」みたいな?(笑) やることが全部、ケタ違いでしたね。メントスコーラが少しずつ広まってきた頃に、それをお風呂でやっちゃったり。
はじめしゃちょーさんのチャンネルの登録者数は約580万人。単体のチャンネルという意味では、日本で唯一、HIKAKINさんを超える存在です。HIKAKINさんにとって、はじめしゃちょーさんはどんな存在ですか?
難しいですね(笑)。実力だけでまっすぐにのし上がってきた、本当の意味でのクリエイターだと思います。尊敬しています。映像へのこだわり、企画力…当時は周りと比べて、ズバ抜けてましたね。かつ容姿端麗で高学歴。僕とは違う部分も多いですし。
はじめしゃちょーさんが台頭してきた当時は、かなりの衝撃が?
ありましたね。2015年、2016年と僕なんかよりずっと勢いがありましたから。もし、そういう人たちが5、6人出てきたら、あぁ、時代が変わるんだなって感じる部分もあったでしょうし、むしろそのほうが楽だったかもしれないですけど(笑)。
そうはならず、結果的にHIKAKINさんとはじめしゃちょーさんが、YouTuberの2大巨頭として君臨する結果になりました。
ただ、確実にトップYouTuberの層は厚くなったと思います。以前は中堅YouTuberが、(トップから)だいぶ離れたところにいたけど、彼らがグングンと数字を伸ばしてきて、見るチャンネルを視聴者が選べる時代になったと思います。水溜りボンド、すしらーめん《りく》……登録者数100万人以上のYouTuberも増えましたしね。
「周りに合わせる」という言葉もありましたが、台頭してきた若いYouTuberたちの作品を、常にチェックされているんですか?
最初から最後まで毎日見るというわけではないですけど、急上昇してきた人の作品は、どんな感じだろう?って見ていますね。じつは、誰よりも見ているかもしれません。いいところはマネするし、(『ドラゴンボール』に出てくる)セルや魔人ブウみたいにどんどん吸収していきたい(笑)。
先ほどYouTuber界全体に関して「夏頃、どうなっているのか?」という発言もありましたが、ご自身の今年の目標は?
毎年、困ってるんですよね(苦笑)。案外、1カ月先のことくらいまでしか考えてないから…。でも今年は、原点を忘れずにもっと楽しみたいです。やっぱり自分自身も、この2、3年、突っ走りすぎたかなという感覚はあるんですよ。
休みを入れつつ、楽しみながら質の高い動画を作りたい?
しっかり休みつつ、何年か先にも残るような動画を時間をかけて作りたいですね。「あの動画、面白いですよね」と2年後も言われる作品を作りたい。でも、それを毎日連発するのは無理だから、やっぱりゆっくり考える時間を作って――うん、そういう意味で、休み方が上手くなりたいですね。しっかりとインプットする時間も作って。

「恐れ多い世界」HIKAKINから見たTVの存在

単に作品を作るだけではなく、今回のような取材やTV出演、イベントなどの仕事が入ることも多いのではないでしょうか?
そうですね。ただ、YouTuberとして活動を始めて7年目になって、ありがたいことに再生数や登録者数は伸びていく一方ではあるんですけど、YouTube以外のところにも積極的に顔を出していかないと、限界はあると思うんです。
“限界”というのは、より広く、多くの人々にご自身やYouTuberについて知ってもらうという活動のことでしょうか?
そうです。まったくYouTubeに触れない人も大勢いますから。そんな思いもあって、昨年末くらいからTVにも出させていただいたりしてますが、やはり反響は大きいですね。
HIKAKINさんを通じて、動画投稿を生業とするYouTuberの存在そのものをTVで初めて知る人も多いと思います。
普段、TVに出ないはずの人間が出ることによる化学反応もあるんでしょうね。毎日のように出ていたら、普通になっちゃうんでしょうけど、自分に合っていると思える番組にたまに出させていただくと、反響がありますね。
普段、YouTubeでHIKAKINさんを見ているファンにとっても、TVでその姿を見られるというのはうれしいことなんじゃないでしょうか。
「親戚がTVに出るのを見守る感じ」ってよく言われますね(笑)。何か心配になるみたいです。
心配?(笑)
距離感の違いでしょうね。普段からTVに出ているタレントさんは、キラキラと輝く遠い存在なんでしょうけど、僕は近い親類のように見えるんだと思います。だから「見ていて勝手にドキドキしています」って反応がいまだに多い(笑)。
この先もTVへの出演を求められることも増えそうですね?
出てみてわかったんですけど、TVって空気の読み合いなんだなと。出演者のみなさんで絶妙な空気を作っていくんです。そこに僕が入ると、ちょっと空気感が変わるというか。僕は文化人とも違うし、“よくわかんない存在”になっちゃうんです。
違和感がありすぎる?
メチャクチャなおバカキャラで、イジられるポイントまみれだったら成り立つかもしれないけど、僕はそのレベルに達していないので、それはやるべきじゃないと思ってます。だからこそやっぱり、違うんですよね。
いまのように「YouTuberがTVに出てます」という、めずらしいゲストとしてなら存在できても、TVの世界では“普通”の存在にはなれない?
今後、そういうYouTuberが出てくるかもしれませんが、僕は無理ですね。ずっとTVで活躍されている方々と同じレベルに行くには、YouTuberを辞めて、トーク力やアドリブ力を死ぬ気で学ばないといけないし、恐れ多いです。

「いま、自分が輝ける場所はYouTubeだと思っている」

TVをライバル視することはありますか?
ライバル視はしていないですね。TVとYouTubeはサッカーと野球くらい違うものだと思っているので。ただ、TVの視聴率が動画で言うどれくらいの再生数なのかはすごく気になります。これに関して正確な数字を出すことは不可能だと思いますけど、どれくらいに相当するのかと想像するのが楽しいです。
たしかに正確な比較は不可能でしょうが…。
スマホの動画って、基本的には自分でチョイスしてしっかりと見るものだと思うんです。一方でTVはつけっぱなしにしていることも多いですよね。よく「TV視聴率1%は動画でいうところの100万再生」という前提で「やはりタレントはいい時間帯のTV番組に出たほうが効率がよい」と書かれた記事を目にするんですけど、僕はそれは違うと思っていて。
と言いますと?
基本、僕の動画を見てくれる人たちは僕のファンだってことがすごく大きいと思います。もちろん、先ほども話しましたが、広く老若男女に認知させるという点でのTVの影響力はすさまじいですけど…。
ファンの濃度、密度が違う?
僕のことが好きな人に届くという意味では、魔貫光殺砲(※マカンコウサッポウ 『ドラゴンボール』に登場するピッコロの必殺技。指先に溜まった気を光線のように放ち、相手を貫く)なんですね(笑)。
それに比べてTVは…。
かめはめ波(※同じく『ドラゴンボール』に登場する技で、手のひらから気が放たれる)ですね(笑)。
なるほど(笑)。
うまく突き刺されば、スマホの動画はものすごい破壊力があると思います。
HIKAKINさんご自身は、普段からTVはご覧になりますか?
見ますよ。とはいえピンポイントで見たいものだけ…具体的には『ドラゴンボール超』なんですけど(笑)。ヤバいのはこの3月で(放送が)終わっちゃうってことで…。生きる喜びがひとつ失われちゃいますね。
それ以外には?
日曜の朝は『ドラゴンボール超』を見た流れで、そのまま『ONE PIECE』、『ワイドナショー』(フジテレビ系)を見ることも多いですが、確実に最初から最後まで見るのは『ドラゴンボール超』だけですね。
では、地上波ではできないであろう、やや過激な企画で話題を呼んでいる、インターネットTVに関しては、どんなふうに捉えていますか?
いまだに不思議な位置づけですよね。僕にとってTVはリモコンをピッと押してつけるし、(ネットの)動画はスマホで見るもの。その中間にある感覚なんですよね。いま以上にスマホでTVを見るのが当たり前になるのか? それともインターネットTVをTVの大画面で見るのが普通になるのか? 正直、僕には予想もつかないんですけど…。
ずっとYouTuberではあり続けたいですか?
そうですね。いま、自分が一番輝ける場所はYouTubeだと思っているので、できる限り、ここでやり続けたいと思っています。

結婚相手には、動画編集を手伝ってもらえたら…

2018年に限らず、この先の究極の目標を教えてください。
数字的なところで言うと、日本では無理だと言われていますけど、単体で登録者数1千万人ですかね。日本の人口の約10分の1近くですけど…。1千万人になると、ダイヤモンドの再生ボタンがもらえるんですよ。
ダイヤモンドの再生ボタン?
100万人で金の再生ボタンなんですけど、その上は1千万人なんです。4つのチャンネルを全部合わせたら1千万人は超えますけど、単体だと…。英語圏だとけっこう、いるんですけどね。それこそ、再生数は僕らのほうが多いけど、登録者数では1千万人を超えてるという人も多いんです。
アメリカをはじめ、英語圏のマーケットの大きさの違いですね。
だから、日本語でやっている日本人YouTuberにとってはハードルが高いんです。はじめしゃちょーで約580万、僕は550万だから、約半分ですよね。でもここ1、2年で一気に増えてきていて、月に10万人単位で増えてるから、1年だと120万人。あと4年くらい? キツいな…(苦笑)。でも、ダイヤモンドの再生ボタンがもらえたら、もう悔いはないですかね…。
では、プライベートの目標はいかがですか? 30歳を前にして…結婚を意識されることは?
ありますね。あるけど…いつしたらいいのかなぁ?
作品をいつかご自身のお子さんに見せたいと、いろんなところでおっしゃっていますが…。
「いつか」っていうのはあるんですよ。自分の子どもも見てみたいけど…まったく想像がつかないし、わからないですね。
理想の家庭像や結婚観、相手に求めるものなどがあれば教えてください。
僕がこの仕事を続けるなら、やはりそれを理解してくれている人がいいですね。基本、外に出ずに、家にいることが多いので、ずっと家で一緒にいても大丈夫という前提でいてもらえると…。下手したら、動画の編集をお願いすることになったり…。それは許されるんですかね…?(笑)
HIKAKIN(ひかきん)
1989年4月21日生まれ。新潟県出身。O型。高校時代からYouTubeチャンネルを開設し、ビートボックスのパフォーマンスを投稿。スーパーマリオのゲーム音楽をビートボックスで表現した「Super Mario Beatbox」の動画が世界中で話題となる。2013年にはエアロスミスのツアーに参加。YouTubeにて4つのチャンネルを開設し、チャンネル登録者数は1千万人を超える。

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、HIKAKINさんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2018年3月1日(木)12:00〜3月7日(水)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/3月8日(木)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから3月8日(木)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき3月11日(日)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
  • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
  • 応募内容、方法に虚偽の記載がある場合や、当方が不正と判断した場合、応募資格を取り消します。
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