txt:宏哉 構成:編集部

今回からは、漸くATAカルネの使い方だ。税関でのカルネ処理をする場合の流れは、

  1. 税関でATAカルネを見せる
  2. 物品リストにある機材をチェックされる
  3. カルネに必要事項の記入
  4. カルネに税関のスタンプを押してもらう

以上が基本的な流れになる。

日本出国

日本を出発するときに、まずは「⼀時輸出」の手続きを取る。日本の税関で使用するカルネ用紙は黄色。出国時も帰国時もこの黄色い用紙を使うので、海外の税関で誤ってこの黄色に紙に記入させないように気をつけよう。

さて最初「1.税関でATAカルネを見せる」だが、どこで税関職員を呼んで、どこでカルネ処理されるかは空港によって違ったりする。私が⼀番多く使う空港の1つの関西国際空港(KIX)では、航空会社のチェックインカウンターの待機列に並んでいる時に、航空会社職員に声を掛けて「カルネ処理をしたいので税関の方を呼んで下さい」とお願いする。

暫くすると、税関から職員がやって来るので、「カルネお願いします」と言ってカルネを渡す。税関職員に「中⾝は何ですか?」「個数(ケースや箱の数)は幾つですか?」と聞かれるので、撮影機材である旨と機材が入っているケース数を伝えよう。KIXの場合、この時に機材を1つ1つチェックされたり、型番やシリアル番号が物品リストと⼀致しているかを確認されることはない。

この際、「チェック済み」のサインがカルネ用紙に記され、この後の税関でスムーズに通関する事ができるようになる。この事前チェックの段階では使用者が用紙に記入したり、職員がスタンプを押たりすることはない。税関職員による事前チェックが終われば、カルネを返してもらって、受託荷物はそのままチェックインさせてベルトコンベアで流してしまっても問題ない。

KIXの場合、税関職員のチェックを受けたら、受託荷物は預けても良い

チェックイン後は、通常の搭乗手続きとして手荷物検査場を通り、イミグレーションへ。KIXの場合は、このイミグレの直前に税関カウンターがあるので、こちらで最終的なカルネの処理を行う。それなので、カルネを受託荷物に入れてしまわないように、機内持ち込みする荷物として持ち歩くこと!使用者はカルネの「輸出通関時に使用する用紙」に必要事項を記入して、使用者のパスポートと⼀緒に税関職員に渡す。税関は通関に必要な事項の記入とスタンプを押印する。

カルネには、使用者の控え用紙と、現地税関が保管する用紙が備わっており、ここで税関がカルネから保管の用紙を1枚切り取って、残りの冊子を使用者に返す。返してもらったカルネ冊子の控え欄に税関のスタンプが押されているか、もしくは切り取られた用紙が日本からの輸出用紙かを確認し、問題なければ税関を後にして良い。あ、パスポートを返してもらうのも忘れないように!KIXでのカルネ処理の場合、イミグレの直前と言うこともあってか、混み合う可能性がある。特に、中国人観光客の免税処理などで大人数が固まっている場合もあるので、早めに手荷物検査を済ませて税関まで行くことをお奨めする。

以上がKIX、関西国際空港での出国カルネ処理の流れである。

これが、成田国際空港(NRT)になるとまた少しだけ手順が変わってくる。NRTの場合、まず航空会社のチェックインカウンターに行く前に、機材ケースを持って税関オフィスを探そう。税関オフィスの前には、呼び出し用のインターフォンがあるので、カルネ処理をしたい旨を伝えて、オフィスから出て来てもらう。

NRTでのカルネ手続き用の職員呼び出しインターフォン

NRTではカルネ処理はオフィス内で行うので、使用者はカルネと共に税関オフィスへ。他業務の妨げにならないように、同行者はオフィスの外で他の荷物とともに待っておいてもらおう。また、この際にカメラぐらいはケースごと持っていくと良いだろう。あとは、必要事項の記入とスタンプだ。

基本的に、NRTも物品リストにある機材をチェックされることは殆どないが、⼀番高額な若しくはリストの⼀番上にあるカメラだけは型番とシリアルをチェックされることもあるので、手元にカメラは用意しておくとスムーズにチェックが進むだろう。記入とスタンプ、控えの切り取りが終われば、カルネを返してもらって手続き終了となる。この段階で通関は終わっていると考えて良いので、あとは航空会社のチェックインカウンターで普通にチェックインを済ませ、荷物を預け、手荷物検査とイミグレを受けて出国となる。

この様に、日本からの輸出時にトラブルとなる事は、こちらに大きな不手際がない限りは殆ど無いだろう。日本の税関職員は優秀だし、仕事も早くカルネのことも良く理解している。だが、トラブルが起こるのはここから先……海外での入国時、⼀時輸入を行う際だ。日本でカルネ処理をした以上、海外での⼀時輸入手続きや再輸出手続きは必ず行う必要がある。カルネがお守りとなるか、トラブルの火種となるかは、本当に相手の国次第、その国の職員の能力次第となる…。

海外入国(その1)

入国時は税関に辿り着くまでは、観光などで入る場合と流れは変わらない。

まずは、イミグレで入国審査を受けて、その後バゲージクレームへ。ここまでは観光と⼀緒だ。ベルトコンベアで荷物をピックアップしたら、空港職員を見つけて「カルネがあるので税関に案内して」と伝える。税関職員ではない空港職員は「カルネ」という物を知らない事もあり、「いや、お前らはこっちの列(⼀般列)に並べ」とか杓子定規な事を行ってくることもあるので、「通関に必要な特別な書類があるから税関に案内しろ」としっかりと伝えよう。並んだところで、カルネが出て来たら別室(オフィス)へ案内され別の職員が担当するのだから、順番抜かしでも何でもないのだ。税関職員と出会えたら、「カルネ手続きをお願いします」と言ってATAカルネの冊子を見せよう。ここで、カルネ冊子を矯めつ眇めつして訝しがられたら、覚悟しよう。「こいつはカルネ知らね〜」

カルネを職員が理解していない場合のトラブル…というか試練は3つ。まずは、職員間をたらい回しだ。あっちいけこっちいけ(俺・私は分からないから、こっち来ないで!)とあちらこちらに案内されたり、上司を呼んでくる…と時間が掛かったり。いざカルネにチャレンジするも、過去の台帳を引っ張り出してきて、「ここの欄にはコレを書いて…、こっちには…。おい、これって何のことだと思う?」と同僚とあぁでもないこうでもないと。意外とスタンプは知っていて、これはたぶん他の通関書類にも押印することがあるからだろう。

海外税関で記入されスタンプを押されたカルネ

そして⼀番面倒なのが、「機材をチェックするから、開けろ」だ。マニュアル上は「物品リストにある物品のチェック」を行う事が指⽰されているだろうから、慣れていない職員だと馬鹿正直に全部チェックされる。梱包を解いて、型番とシリアル番号を見えるように、機材⼀つ⼀つを取り出して職員に見せ、リストとの照らし合わせを受ける。スロバキアのコシツェ国際空港での件がその例だ。

慣れた空港・税関職員だと、カメラのチェックぐらいで、あとは「OK!」で終了だ。昨年秋に行ったロンドン・ヒースロー空港では、カメラすらノーチェック。職員がカルネを受け取ったら、ササササっと書き込んで判子押して、「ここに、君のサイン頂戴」で、ハサミで控えを切り取って終わり。約90秒で終わった。恐らく過去最速。

慣れていない職員に捕まると、これが30分〜1時間ぐらい掛かってしまうことがある。そして、過去ログを探すこと、マニュアルを読むことを放棄した職員も居た(笑)。昨年、マレーシアのコタキナバル国際空港では、職員がカルネを知らず、「これ何?どうするの?」と全部聞いてきたので、本来なら職員が書くべき欄も私が書いて、「ここに貴方のサインをして」「スタンプはこことここに押して」「はさみある?この用紙だけ切り取って」と職員に教える始末。

実際、他の不慣れな空港でも職員の手際の悪さにやきもきし「カルネ貸せ!こっちで書いてやるから!」と心の中で思う事が多かったので、実際に自分でやっていいなら、寧ろ迅速でスッキリする(笑)。私に全部やってもらって、税関職員の若い兄ちゃんはニコニコして喜んでいた。

入国時のカルネ処理でのトラブルは、まだまだある。次号では、セネガルやメキシコなどでの入国カルネトラブルをお話ししよう。

メキシコ・ロスカボスにて。サボテンを見上げる筆者