「ニセコを初めて訪れる外国人の方にも、安心・安全にリゾートを楽しんでもらえたら」と話す、博報堂アイ・スタジオ TREK TRACK推進室 室長の川崎順平氏

写真拡大 (全8枚)

 その良質な“パウダースノー"を求めて、世界中からスキーヤー/スノーボーダーが殺到している雪山がある。北海道のニセコリゾートだ。遭難者の増加に備え、山ではIoTデバイス「TREK TRACK」の本格的な導入を検討し始めた。現地で担当者に話を聞いた。

手のひらサイズのIoTデバイス「TREK TRACK」(右側の青い端末)

■「TREK TRACK」とは?

 TREK TRACKは、リアルタイムに位置情報が取得できる小型のデバイス。スマホやタブレットに映した3D地図上に、利用者の現在地を表示できる。自身が滑走した軌跡をSNSにアップする、それを友人と共有する、といった使い方にも対応する。博報堂アイ・スタジオが提供する同デバイスは昨年9月に、山梨県の奥秩父にて登山者向けに提供を開始した(参考URL:
https://www.rbbtoday.com/article/2017/08/22/154038.html)。ニセコでは2月10日から3月11日まで、ニセコモイワ、ニセコアンヌプリ、ニセコひらふの3箇所にイベントブースを設けてデバイスの貸し出しサービスをおこなう。

ニセコモイワスキー場のイベントブースにおいて、TREK TRACKの貸し出しサービスを実施。ロビーの大型サイネージには、滑走者の軌跡が表示されていた

■自動撮影「capture」も登場

 今回の取り組みに際し、博報堂アイ・スタジオでは自動撮影システム「capture」のトライアルも実施した。これは同社が開発した機械学習を活用したアプリで、カメラの前に訪れた人物を自動撮影できるのが特徴。人の手を借りずに撮影できる、写真が撮りにくい位置にもカメラを設置できる、機械学習により人物以外は撮影しない、といったメリットがある。

自動撮影システム「capture」のトライアルも実施

 ニセコでは撮影した写真をイベントブースのデジタルサイネージに表示するだけでなく、無料のプリントサービスにも対応。なお写真に印刷されたQRコードを読み込むことで、フルサイズのデータもダウンロードできる趣向だった。こちらのトライアルは2月23日から25日まで、ニセコモイワスキー場のみで実施された。

取材中には来日外国人が写真を受け取りに来ていた。リフトの高い位置からの撮影に「cool!!」を連発し、満足げな様子だった

■TREK TRACK×captureで実現できること

 現場ではデバイスを提供する博報堂アイ・スタジオ、ネットワークで協力するNTT 東日本、雪山の事故防止に取り組むニセコ雪崩調査所の3者に詳しい話を聞いた。

 博報堂アイ・スタジオの川崎順平氏は、TREK TRACKのトライアルにこの地域を選んだ理由について「ニセコは特に、バックカントリーに入られる方が多い。外国人観光客の間でも、パウダーを滑るならニセコ、という認識がある。今回のモデルケースとして、スキーヤーのデータを取るのに適していた」と説明する。

「ニセコを初めて訪れる外国人の方にも、安心・安全にリゾートを楽しんでもらえたら」と話す、博報堂アイ・スタジオ TREK TRACK推進室 室長の川崎順平氏

 イベントブースではiPadアプリを利用して、3ステップほどで簡単にTREK TRACKを貸し出せるようにした。今シーズンに取得したデータを分析して、来年度以降の雪山の安全につなげていきたい考えだ。

 一方でcaptureについては「新規で開発した。分かりやすく言うと、ディズニーランドのスプラッシュマウンテンで撮影してもらう感覚。自分で撮影することが難しいシチュエーションで利用して欲しい。新しいユーザー体験とニセコでの楽しい思い出を、写真という目に見える形にして持ち帰っていただければ」と話す。

 なお博報堂アイ・スタジオでは、TREK TRACKとcaptureの併用も想定している。川崎氏は「バックカントリーの入り口にはゲートがある。ここにcaptureを設置しておけば、通過する人の写真を(TREK TRACKで取得した)位置情報とともに残しておける。すると遭難事故が起きたときの有力な情報になる。また、こんな日のこんな天気ならこんな属性の人が多い、といった統計情報も得られる。スキー場の業務効率化と安全管理の取り組みにつなげられる」と説明していた。