大阪市営地下鉄時代から手がける駅ナカ商業施設「ekimo」

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 大阪市営地下鉄は4月に全国の公営地下鉄で初めて民営化され、新会社「大阪市高速電気軌道」(愛称・Osaka Metro)へと生まれ変わる。新会社の社長には、河井英明パナソニック顧問の就任が決定した。民間の経営感覚を生かした収益構造の改善や、利用者サービスの向上を狙う。民営化を控えた、市営地下鉄の現状や課題を探った。

 大阪市営地下鉄は1933年、公営初の地下鉄として開業。2016年度の運輸事業での営業収益は1616億円で、関西の鉄道事業者ではJR西日本、阪急阪神ホールディングス(HD)、近鉄グループHDに次ぐ規模だ。鉄道の営業路線は8路線で129・9キロメートルあり、16年度は前年比800万人増の約8億9700万人が利用した。

 大阪市の都市部“キタ”と“ミナミ”を直結する御堂筋線は大きな収益源で、1日当たり利用者が梅田駅で約43万人(16年11月時点)、難波駅は約34万人(同)が利用する。一方、市の東側を走る今里筋線は約5万3000人(同)。利用者数の少ない路線のテコ入れも課題の一つだ。

 大阪市交通局では、12年8月に民営化推進室を設置以降、初乗り運賃の引き下げや、駅トイレの改修を進めてきた。収入源の多角化の一環として、13年に“駅ナカ”商業施設「ekimo(エキモ)」も梅田駅など3駅に開業した。

 これまで、大阪市は公営企業債を発行し建設費の財源を確保するなど、新規路線の整備や既設路線の改良を図ってきた。河井新社長はパナソニックで最高財務責任者(CFO)を務めた経験を持つ。

 「衆知を集めて連携し、経営体質を良くして新たな事業に投資したい」と2月9日の就任会見では強調した。

 100%株主となる大阪市は地下鉄民営化により、新会社からの納税・配当で10年目に年間約100億円の財政貢献を見込めると試算する。

 統合型リゾート(IR)や2025年国際博覧会(万博)の大阪誘致をにらみ、計画段階にある地下鉄中央線の延伸も早期の実現が望まれている。
(文=大阪・中野恵美子)