ナショナル・エンクワイアラー(National Enquirer)、OK!、レーダー・オンライン(Radar Online)といったメディアを持つアメリカンメディア(American Media)は、インスタグラム(Instagram)上の有名人に、これまで以上に注意を払っているようだ。

アメリカンメディアにとってインスタグラムからのトラフィックは、ときおり同プラットフォーム上で有名人が彼らのストーリーをシェアしたことで入ってくる程度でしかなかった。しかしいま、上記の3つのタイトルに加えて、フィットネスに焦点を据えたメンズフィットネス(Men's Fitness)などの姉妹ブランドは、インスタグラムのスターたちをより多く取り上げようとしている。これはインフルエンサーとしての彼らの影響力を利用しようとするだけでなく、オーディエンスのニーズに応えるためでもある。またモバイル上で活気溢れる、コスト効率性の良いトラフィック源を活用する狙いもある。

流れは次のようになっている。パブリッシャーのエディターがインフルエンサーとミーティングを行い、彼らのコンテンツにおいてコラボレーションを行う。コンテンツがローンチすれば、インフルエンサーはそれをソーシャル上で拡散する。パブリッシャーはその結果生まれたトラフィックに対して支払いを行う。これは現行のFacebookのトラフィックに対する料金設定よりも低くなっている。

アメリカンメディアはあらゆる判断の中心にあるのはエディトリアルだと強調した。

ウィンウィンの関係



アメリカンメディア社のデジタル部門責任者であるイーライ・ミップマン氏は「オーディエンス開発の分野において、リーチは減少している。もはやほとんどお手上げ状態で、「3年前にリーチ出来ていたオーディエンスへ、いまリーチするにはどこに行けば良いのだ?」と問いたくなる。(インスタグラムによりフォーカスをあてること)はウィンウィンだ。我々は欲しいオーディエンスが獲得でき、インフルエンサーたちは我々のエディトリアルチームにアクセスできる」と語った。

アメリカンメディアでは長年、インフルエンサーとは1回限りの契約でパートナーシップを結ぶということを試してきていた。しかし、ここ数カ月のあいだ、彼らのオーディエンス開発チームはインフルエンサーネットワークであるレリック(Relic)関連のインフルエンサーに向けてコンテンツを作ることにフォーカスしてきた。レリックの合計デジタルリーチは1億5000万ユーザー、そのうち65%から70%はインスタグラムに集中しているという。

すべてのプラットフォームを合計すると、レリックは毎日10万から20万のユニークセッションをパブリッシャーもしくはブランドに向けて生み出していると、ファウンダーのニック・リッチー氏は言う。

このアメリカンメディアの戦略が、どれほどのトラフィックを生んでいるのか、具体的な数字をリップマン氏は教えてはくれなかった。ただし、トラフィック量は魅力的な数字で、2018年にはさらに成長させるつもりだ、とだけ答えてくれた。アメリカンメディアはCPMベースでインフルエンサーにコンテンツ拡散に対する支払いを行っている。こちらも具体的な値段は教えてはもらえなかった。

ガイドラインへの見解



対象となるプラットフォームはFacebook、Twitterなど複数にわたる。Facebookにおける投稿がターゲットのオーディエンスから良い反応を得た場合、アメリカンメディアはさらに投資してこれらの投稿をプロモーションすることもあるとリップマン氏は言う。

インスタグラムがアクティビティの中心ではあるものの、レリックのネットワークはFacebookやTwitterにも発信している。このインスタグラム中心のセッティングが一般的になったのは数年前のことだ。Facebookのようなプラットフォームで有名人たちが大規模なフォロワー数を獲得することはまた、トラフィックの「さや取り」の温床にもなっていると数年前にパブリッシャー達は気づいたのがはじまりだった。

それ以降、Facebookはその抜け道を防いできた。ブランディッドコンテンツのガイドラインを変更したのは最近のことだ。Facebookページのオーナーたちが自分が直接制作には関わっていないコンテンツをシェアすることに対して、「何かしらの価値を有する物」を対価として受け取ることを禁止している。

今回の場合は、インフルエンサーたちはコンテンツ制作に直接参加するので、ガイドラインが禁止している行為には当たらないと、リッチー氏もリップマン氏も考えている。何にしても、ふたりともインスタグラムの方がFacebookよりも将来性があると考えている。インスタグラムは成長を続けており、自分の存在をマネタイズしたがっているインターネット上の有名人たちの数がどんどんと増えているからだ。

過去12カ月で3倍



パースリー(Parsely)によるデータによると、インスタグラムは全世界の参照トラフィックの0.5%以下にしか過ぎない。それでもこの1年間のあいだにトラフィック源としての存在感を大きく成長させた。参照トラフィックのシェアでは、過去12カ月で3倍に伸ばし、リンクトイン(LinkedIn)を越えている(パースリー調べ)。

「インスタグラムこそが、このマーケットの未来だ」と、リッチー氏は言った。

Max Willens(原文 / 訳:塚本 紺)