最強の旅カメラ「LUMIX TX2」発売直前レビュー:電脳オルタナティヴ
かねてから噂されていたパナソニックのコンパクトデジタルカメラ「LUMIX DC-TX2」が発表されました。発売は3月中旬を予定しており、市場想定価格は10万円弱。今回は発売直前のベータ機をお借りして、CP+に先行してレビューします。

LUMIX DC-TX2ってどんなカメラ?



▲パナソニック LUMIX DC-TX2

普段カメラのレビューをあまりやらない筆者がなぜこのカメラに注目しているかを説明しましょう。まずは主なスペックをざっとご覧下さい。

LUMIX DC-TX2の主なスペック
センサー1.0型 高感度MOS センサーカメラ有効画素数 / 総画素数2010万画素 / 2090万画素焦点距離8-132mm(35mm判換算: 24-360mm)光学ズーム倍率光学15倍ズーム解放F値F3.3 - 6.4最短撮影距離50cm(広角端)/1m(望遠端)ISO感度(拡張込み)80-25600連写RAW/RAW+JPEG連写:28コマ以上

JPEG連写:85コマ以上背面液晶3.0型 / 約124万ドット/ 静電容量方式タッチパネル / 視野率 約100%ファインダー0.21型 / 約233万ドット相当 フィールドシーケンシャル方式カラー液晶 LVFWi-FiIEEE 802.11b/g/nBluetoothBluetooth v4.2サイズW111.2×H66.4×45.2mm質量約340g(バッテリー、メモリーカード含む)/約289g(本体)


ざっと見た感じ、普通の高性能コンデジという印象ですが、最注目すべきは1インチセンサーを搭載しているのもかかわらず、15倍もの光学ズームが可能なこと。ソニーのサイバーショットRX100シリーズやキヤノンのC7Xシリーズなど、1インチセンサーを搭載した同じサイズ感のライバル機たちは、せいぜい光学4倍どまり。

その分、少々レンズが暗くなりますが本機は1インチセンサー搭載の高倍率ズームコンデジとして唯一無二の存在なのです。(サイズが1クラス大きいモデルには存在する)

このTX2ですが、重量が340gでコンデジとしては少々大柄ですが、ミラーレスや一眼レフに比べるとコンパクトサイズの範疇であることは間違いありません。コンパクトなのに高画質で高倍率ズームということは、旅行のお供の「旅カメラ」として最適ではないか? ということです。

それもそのはずで、「TX」は「Travel Xoom(トラベルズーム)」の略で、海外では「TZ(Travel Zoom)」の型番で販売されています。まさに旅カメラとして生まれた本機。

筆者としては旅行時に使うカメラというよりも、取材時に使う「取材カメラ」として最適ではないかと以前から目を付けていました。というのも、製品発表会というのは、広い会場で登壇者をアップで撮影したり、スライドを撮ったり。また、タッチアンドトライという製品の実機に触れて、その場でディティールなどを撮影するブツ撮りもこなさなくてはならないのです。低倍率ズームで登壇者のアップを撮影するには、誰よりも早く会場に到着し、最前列の席を確保しなければなりません。高倍率ズームのレンズを持っていれば、後方からも撮影できるため30分近く遅くいくことが可能になるのです。

通常はミラーレスカメラを使用していますが、高倍率ズームを装着するとなるとそれなりの重量に。レンズ2本持ちとなると更に重くなり、ノートPCも携行するとなると、カバン全体の重量は無差別級に成長し、移動するだけで疲労困憊です。

そこで、コンパクトながらも高倍率ズームが可能で、それなりの画質も担保される本機を以前からロックオンしていたということです。ちなみに、2016年3月に発売された初代モデルとなる「TX1」は10倍ズームを搭載しており、取材に駆け回るメディア関係者の中にも愛用している人が多いだけに、後継となるTX2にも注目が集まっています。

TX2のディティールをチェック



それでは早速、TX2のディテールをチェックしてみましょう。

▲起動時に広角端までレンズが突出した状態

▲上面には内蔵フラッシュ、モードダイヤル、電源スイッチ、シャッターボタン、ズームレバー、録画ボタン、電子ダイヤルが並びます

筆者がTXシリーズで特に気に入っている点が、コンデジにしては珍しく、モードダイヤル以外に電子ダイヤルを2つ搭載していること。上面の電子ダイヤルに加え、レンズの根本にあるリングも実は電子ダイヤルとして様々な機能を割り当てることが可能になっています。

このリングの位置からすると、ズームかフォーカスに割り当てたいところですが、ズームはシャッターボタンの周囲にあるレバーで、フォーカスはオートフォーカスを利用することで、この2つの電子ダイヤルを「絞り+露出補正」「シャッタースピード+露出補正」「絞り+シャッタースピード」のいずれかに割り振ることが可能になるので、1ショットごとに細かく露出を調整できる玄人好みの操作感が得られるワケです。

▲ホットシューは非搭載だがポップアップ式内蔵ストロボを搭載。コンパクトさをスポイルしないためにあえてこの仕様と考えられる

▲背面液晶は残念ながら固定式。せめてチルトして欲しかったかも

▲インターフェースはMicroHDMIとMicroUSBをグリップ側に搭載

▲バッテリーとメモリーカードスロットは底面に配置

▲バッテリーは1025mAh

▲電子ビューファインダーも搭載

▲視野角100%で明るさも申し分ナシ

ちょっとしたポイントとして、TX2のボディはマットブラック調の表面処理が施されていますが、触ってみると結構ツルツルする印象。初代モデルTX1では滑り止め的なグリップが装着されておらず、ユーザーの不評を買っていました。その点、TX2ではキッチリ改善され、前面にはラバーグリップ、背面には親指をあてるサムグリップが装着されています。これは高評価!

▲ニコン機を彷彿させる赤い差し色が入った前面グリップ

さて、気になるレンズの長さ。換算値360mmとなるとどれほど伸びるのか気になります。色々比較してみたのでご覧下さい。

▲起動時の広角端(換算24mm)

▲望遠端(換算360mm)

▲電源オフのレンズ収納時

▲起動時の広角端(換算24mm)

▲望遠端(換算360mm)

▲TX2(左)とTX1(右)

▲起動時の広角端。左:TX2(換算24mm)、右:TX1(換算25mm)

▲望遠端。左:TX2(換算360mm)、右:TX1(換算250mm)

TX2のサイズ感ですが、コンデジにしては大柄という印象です。普段、筆者がサブ機としているソニーのミラーレスカメラNEX-5Rよりも大きい。1インチセンサーに15倍もの光学ズームを搭載しているのですから、このサイズ感は仕方ないと考えます。むしろ、よくぞこのサイズ感でこの性能を詰め込んだと思います。

▲NEX-5RはAPS-C機ですがボディはTX2より小さい

▲しかし標準レンズ込みだとこのサイズ感

見せてもらおうか、TX2の光学ズームの性能とやらを



では早速、TX2の作例を撮影したいと思います。注目は光学ズームの性能ですが、さすがに換算360mmともなるとF値が固定とはいきません。作例を見る前に、下記に主な焦点距離による開放F値を記載するので参考にしてください。

※ただし、動作及び作例は全てベータ機によるもので量産機とは異なる場合があります。

LUMIX DC-TX2の主な焦点距離による開放F値
焦点距離開放F値243.3303.5504.2704.7885.01005.31205.51505.82006.12506.3280〜6.4


まずは、風景画を広角から望遠にて撮影しました。全てJPEG撮って出しです。ロケーションは筆者の地元にある埼玉スタジアム2002。

▲焦点距離:24mm(換算)/シャッター速度:1/800/絞り値:F4.5/露出補正:±0/ISO:125

▲焦点距離:70mm(換算)/シャッター速度:1/1000/絞り値:F5.6/露出補正:±0/ISO:125

▲焦点距離:110mm(換算)/シャッター速度:1/800/絞り値:F6.3/露出補正:±0/ISO:125

▲焦点距離:250mm(換算)/シャッター速度:1/800/絞り値:F6.3/露出補正:±0/ISO:125

▲焦点距離:360mm(換算)/シャッター速度:1/800/絞り値:F6.4/露出補正:±0/ISO:125

撮影当日は晴天に恵まれましたが、空気はほんのり霞がかったコンディション。広角は抜けていますが望遠になるにつれて少し眠くなる印象。それでも当日の状況を考えると許容範囲に留まっています。注目してほしいのは、250mmと360mmの画角ですが、この差がそのままTX1とTX2の差となります。安価な型落ちを購入するか高額でも最新モデルを買うかの大きなポイントとなります。

もう1つ、光学ズームの性能を。

▲焦点距離:24mm(換算)/シャッター速度:1/640/絞り値:F4.5/露出補正:+1/ISO:125

▲焦点距離:360mm(換算)/シャッター速度:1/125/絞り値:F7.1/露出補正:+1/ISO:160

複雑な鉄骨もよく解像しています。センサーの性能なのかもしれませんが、望遠端でこの解像感ならば大満足です。

この光学ズームですが、発表会取材で威力を発揮するかも試してみました。

▲この規模の発表会会場ならば......

▲登壇者が持つスマホの画面まで撮影できます

筆者には欠かせない動物撮り



ペットを飼っている人にとっては、動物撮りも欠かせないポイントですね。シーンセレクトモードに動物撮影用のモードがあるので、それを活用するのも良いですが、シャッタースピード優先で動き回る動物を連写するのもオツな写真が撮影できるコツです。また、パナソニック機でお馴染みの「4Kフォトモード」を使用すると、決定的瞬間を逃さず連写できるので、撮影スタイルによってチョイスするのが良いでしょう。筆者が動物を撮影する際は、露出ブラケットで明るさを変えながら連写するのが好みです。

▲焦点距離:57mm(換算)/シャッター速度:1/400/絞り値:F6.3/露出補正:+0.33/ISO:125

▲焦点距離:101mm(換算)/シャッター速度:1/160/絞り値:F5.3/露出補正:+0.66/ISO:125

▲焦点距離:146mm(換算)/シャッター速度:1/125/絞り値:F5.8/露出補正:/ISO:125

背景の自然なボケ感と毛一本一本の解像感は及第点以上。SNS映えするペット画像が狙える性能と言えます。ただ、目線の低いペットの写真を撮影するには、やはり背面液晶がチルトできたほうが良かったと強く思います。その辺りは、サイズ感や重量とのトレードオフになるので仕方ないと言えますが、残念なポイントとしてTX3に期待しましょう。

その他、夜景やブツ撮りなどなど



最短撮影距離が50cmということで、接写性能が気になるところですが、AFマクロやマクロズームの機能を使用すればブツ撮りも普通にOK。ネットークション用の商品撮影も全く問題ありませんし、発表会取材の製品撮影もTX2の守備範囲でしょう。

▲これはちょっとロケーションが悪く、ぱっとしない絵面に......。機会があれば市販機で高感度性能も試したいところ

▲焦点距離:24mm(換算)/シャッター速度:1/200/絞り値:F3.3/露出補正:+1.33/ISO:125

▲AFマクロを使用すればこれくらい寄っても撮影可能

▲焦点距離:24mm(換算)/シャッター速度:1/200/絞り値:F3.3/露出補正:±0/ISO:125

これだけ寄ることができれば、スマホやデジカメのディティールカットも問題なく撮影可。画質の劣化具合も特に気になる点は見つかりません。

また、本機には撮影した後からフォーカス位置を選択できる「フォーカスセレクト」という機能も搭載されています。撮影には少し慣れが必要になるかもしれませんが、駆使できるようになればボケが印象的な写真を撮ることが出来るようになります。

▲手前のサッカーボールに合焦

▲奥のスタジアムに合焦

このTX2は買いか否か?



今回、TX2を数日間使用しましたが、正直な感想としては今すぐに欲しくなりました。主な理由を4つほど。
コンデジにしては申し分ない画質画質を担保した上での高倍率ズーム電子ダイヤル2基搭載常時携行したくなるサイズ感

これだけで十分に購入に値するでしょう。特に、取材カメラとして荷物の重量軽減にはマストアイテムと考えます。つまり、筆者の使用シチュエーションであれば、これらの恩恵は計り知れなく10万円弱という価格も出費のしがいがあるコストでしょう。しかし、その10万円が逆さに振っても出てこない......。妥協して、6万円前後のTX1を買うか悩みどころです。

▲これだけの性能を有していながらデニムの前ポケットに入るサイズ感が素晴らしい

▲予算に余裕がある人は買いですよ!