森 時彦(もり・ときひこ)神戸製鋼所を経てGEに入社し、日本GE役員などの要職を務める。その後、テラダイン日本法人代表取締役、リバーサイド・パートナーズ代表パートナーなどを歴任。現在はチェンジ・マネジメント・コンサルティング代表取締役として組織活性化やリーダー育成を支援するかたわら、執筆や講演等を通じてファシリテーションの普及に努めている。ビジネス・ブレークスルー大学客員教授、日本工業大学大学院客員教授、NPO法人日本ファシリテーション協会フェロー。

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ビジネスに限らず様々な問題を解決する手法として、ファシリテーションが注目されている。ファシリテーションの普及に長年努め、最新刊『ストーリーでわかるファシリテーター入門』(小社刊)を上梓した森時彦氏に、ファシリテーターに求められる「4つのスキル」について語って頂いた。

議論のプロセスを
いかにデザインするか?

──前回、森さんから「ファシリテーターとは単なる司会者ではなく、参加者の知的相互作用を促す人」というお話を頂きました。では、そうした役割を果たすために、ファシリテーターにはどのようなスキルが求められるのでしょう?

 ファシリテーターの役割をあえて分解すれば、次の4つのスキルが求められると私は考えています。

(1)プロセスをデザインする
(2)場をコントロールする
(3)触発する、噛み合わせる
(4)合意形成、行動の変化

 1つ目の「プロセスをデザインする」とは、議論のプロセスを事前によく考え、きちんとシナリオを設計しておくということです。

 参加者の知的相互作用を促すためには、どんな人たちが議論に参加し、どんな問題を解決しようとしているのかを念頭に置くことです。そのうえでゴールを明確にし、よい質問を正しい順番でしなくてはなりません。同じ質問でも順番を間違えるだけで、ボタンの掛け違いが起こってしまうからです。

 実際には、想定したシナリオどおりに議論が進むことはほぼ100パーセントないと思いますね。しかし、「こういう場合はこうしよう」というシナリオを3つくらい用意しておくと、経験値にもよりますが、慌てずに対処できるようになるはずです。

 もし、用意したシナリオが当てはまらない場合は、想定外の状況に対応しながら違う方法で意見を噛み合わせていくわけですが、そのときに重要なのが「ゴール」を見失わないことです。

 参加者は自分が何のために議論しているのか、時々わからなくなってしまうものです。しかし、ファシリテーターは問題に入り込まず客観的に議論を見ていますから、唯一冷静にゴールを見定めてプロセスを考えることができます。

 したがって、議論の方向性がずれた場合は、どうすればゴールに到達できるかという観点から次の問いかけを考えることが大切なのです。

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