勉強好きに変える有力な方法としてお勧めなのが図鑑の活用です(写真:Image Source / iStock)

「うちの子はなかなか勉強しない。勉強が嫌いなようだ。言えば言うほどやらなくなる。学力もつかないし、成績も上がらない」。

このような悩みを抱えている親がたくさんいます。実際、世の中には勉強が嫌いな子がたくさんいます。でも、その一方で、少数派ではありますが、勉強が好きな子もいます。彼らは、知的好奇心が旺盛で、新しい知識を吸収したり自ら調べたりすることが大好きです。その結果、自然に学力がつき、成績も上がります。

勉強好きに変えるために図鑑を活用する

では、どうしたらわが子を勉強好きに変えることができるのでしょうか? そのための有力な方法としてお勧めしたいのが、図鑑の活用です。

「そんなことは知っている」とお感じの方も多いかもしれませんが、それではどれだけ活用できているでしょうか。


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今の日本に住んで子育てをしているのに、図鑑を活用しないのはあまりにももったいないことです。なぜなら、今、日本では図鑑革命と図鑑ブームが同時に進行しているからです。つまり、従来の図鑑の枠に収まらない新しいタイプの魅力的な図鑑がどんどんと出版されて、いずれも大ベストセラーになっているのです。

従来の図鑑は、たとえば昆虫図鑑のように、いろいろな昆虫が羅列的かつ博物的に紹介されているものばかりでした。小さな写真・イラストと説明文がひたすらたくさん並んでいるイメージです。私はこれを「博物型図鑑」と呼んでいます。

たとえば、昆虫図鑑、植物図鑑、動物図鑑などです。これは、もともとそれが好きな子には興味深いのですが、そうでない子には面白くも何ともないのです。それで、以前は、図鑑は買い揃えたが本棚に眠ったままでほとんど開かれたことがないということが多かったのです。

ところが、近ごろ相次いで登場している図鑑は、何かを羅列的に載せたものではありません。ある特定のテーマをもとにしてつくってあり、いわば「テーマ型図鑑」です。

たとえば、“ひみつ”というテーマをもとに編集した図鑑は、子どもが興味を持ちそうな乗り物、生物、宇宙、体、生活などの面白い秘密をいっぱい紹介する図鑑です。また、“いちばん”というテーマの図鑑は、速さの一番、高さの一番など、多種多様な一番を紹介しています。“くらべる”というテーマの図鑑は、人・動物・建造物の大きさや、人・動物・乗り物の速さなどを比べています。

これらの図鑑は、もともと多くの子どもが興味を持ちそうなテーマを選りすぐってつくってあります。また、ビジュアルが重視されて迫力がある写真や美しいイラストも満載です。しかも、文章も通り一遍の説明ではなく、子どもが楽しく読める読み物風になっています。ひと言で言えば、従来の“図鑑”よりも“絵本”に近いつくり方になっているのです。

実際、大人が読んでも実に面白く読めて、「へえ。そうなんだ! なるほど」という発見の連続で、かなりの知的な刺激を受けることができます。当然、子どもたちの食いつきもよく、非常によく売れるようになりました。

博物型の図鑑の見直しが行われている

テーマ型図鑑の大成功が刺激となり、従来からある博物型の図鑑の見直しも行われるようになりました。それで、こちらも急速に進化してきています。

具体的には、写真やイラストが以前のものに比べてはるかに美しく迫力があるものが増えました。また、単に多くのものを羅列的に紹介するだけでなく、面白く読めるミニ知識や興味深いコラムがたくさん挿入されるようになりました。また、動画を収録したDVDがつくものも出て、これが大評判になり非常によく売れています。

以上、図鑑革命と図鑑ブームについて紹介しましたが、なぜ私がこれほど図鑑に注目するかというと、これが子どもたちの学力の底上げに大いに役立ち、勉強好きに変えるきっかけになると考えるからです。

たとえば、面白いテーマ型図鑑を絵本を読むように読んでいるうちに、文字の習得が進みます。つまり、平仮名や片仮名はもちろん、漢字もどんどん読めるようになるのです。見出しや説明の文章には漢字がかなり使われていますが、すべてルビがふってあるので、学校で習っていない漢字もどんどん読めるようになるのです。

同時に、多種多様な分野の知識がぐんぐん吸収されます。知識が増えると、「もっと知りたい」という知的好奇心が刺激され、ますます読むようになります。新しい言葉も覚えるので語彙が豊富になります。語彙が豊富になると読解力もつきますし、思考力や表現力もつきます。これらはすべて、いわゆる勉強をするうえでも絶対的に必要な能力であり、それが自然についていくのです。

「図鑑を引く」

もちろん、テーマ型だけでなく、博物型の図鑑もまた学力の底上げに大いに貢献してくれます。たとえば、家の軒先にツバメが巣を作っているのを見たり、テレビでツバメのことを扱った番組を見たりなどしたときに、鳥の図鑑でツバメについて調べてみるのです。これを、私は「図鑑を引く」と呼んでいます。

図鑑には、いろいろな種類のツバメが出ていて、ツバメの生息地、生態、餌、子育ての仕方なども出ています。「ツバメは季節に従って長距離の移動を繰り返す渡り鳥である」という説明を読めば、渡り鳥という概念を知ることもできます。図鑑で知識を得ると、次に本物のツバメを見たとき、以前より興味深く見たり観察したりすることができます。こういう経験をした子は、小学4年生の理科で、あるいは中学や高校の理科の授業で渡り鳥の勉強をするときにも、とても興味深く取り組むことができます。

また、たとえば、テレビでタレントがアマゾン河流域を旅する番組を見たら、地理図鑑でアマゾンを調べてみます。すると、アマゾンの位置、自然環境、動物、植物、人々の生活など、いろいろな情報を読むことができて知識が増えます。一度このようにちょっとした深掘りをしておくと、その後テレビ、新聞、雑誌などでアマゾンについての情報が出てきたときにも、意識に引っかかるようになり、それによってまた知識が増えます。すると、中学や高校の地理の授業でアマゾンについて勉強するときにも、興味深く取り組むことができるようになります。

家族旅行で古墳を見たら歴史図鑑を引き、キッザニアで職業体験をしたら仕事図鑑を引きます。水族館で魚を見たら魚図鑑、乗り物に乗ったら乗り物図鑑です。テレビのクイズ番組で素数や円周率などの話題が出たら算数・数学図鑑、健康番組を見たら人体図鑑、新しい惑星が発見されたというニュースを見たら宇宙図鑑です。「春一番が吹きました」というニュースを耳にしたら季節の図鑑、年賀状を書くときは生活図鑑です。たとえ調べたものを全部読まなくても、ちょっと見たり読んだりするだけでもかなり違います。

できたら、読んだところや印象深いところに、マーカーペンやボールペンで印をつけておくのもいいでしょう。つまり、足跡を残しておくのです。それが増えると、もっと増やしたいという気持ちが出てきて、ますます活用するようになります。また、以前調べた印のあるところは自然に目に止まるようになるので、その都度ちょっとした復習ができます。それによって、知識の定着が促進されます。日頃からこのような「図鑑のある生活」を送っている子は、知識が豊富で知的好奇心も旺盛ですから、自然に学力がつき成績も上がります。毎日のちょっとした知的な積み重ねが、「塵も積もれば山となる」で膨大なものになります。こういったことがまったくおこなわれていない生活と比べれば、その差は歴然です。

最後に、図鑑を選ぶときの注意点について触れたいと思います。図鑑を選ぶときは、「子どもが喜んで読めるもの」を基準にすることが最優先です。その点、テーマ型図鑑はもともと多くの子どもが興味を持つテーマを選んでつくってあるのでお薦めです。また、博物型の図鑑を選ぶときは、子どもが昆虫が好きなら昆虫図鑑、恐竜が好きなら恐竜図鑑ということになります。

親御さんの中には、恐竜は学校の勉強に出ないから必要ないと考える人がときどきいます。でも、本人が恐竜が好きなら、ぜひ恐竜を深めさせてあげてください。もともと好きなことなら喜んで読みますし、知識もどんどん吸収します。すると、そのことが誰よりも好きで得意になります。これによって、自分に自信を持てるようになりますし、自分が好きなものを深めていく喜びを味わうこともできます。

ですから、昆虫が好きな子には、「もう昆虫図鑑はあるから別の図鑑にしなさい」などと言っていないで、他社の昆虫図鑑も2冊、3冊と買い揃えてあげるといいと思います。同じ昆虫図鑑でも、出版社によってかなり違う仕上がりになっています。ですから、新しい知識が吸収できて、ますます深めていくことができます。また、子どもは、複数の図鑑を読み比べることで新しい発見をしたり、ときには説明の違いや矛盾点に気づいたりすることもあります。これは子どもにとって大きな喜びになります。

図鑑選びのポイント

図鑑選びで親がよくやりがちな失敗は、「長く使ってほしい」という考えから、わが子のレベルを越えた難しいものを選んでしまうことです。これだと、子どもが読んでもよくわからないので「つまらない」と感じるようになり、自ら手に取ることはなくなります。それで、図鑑は買ったけど、ずっときれいなままだったということになりがちです。

そうではなく、毎日手にしてボロボロになるくらい使い倒すことが大事です。年中・年長〜小学低学年くらいでしたら、タイトルに「プレ」「ジュニア」などとついている図鑑を選ぶようにしましょう。もちろん、おカネのかかることですから、いきなり買うのではなく、はじめは図書館で借りて、気に入った物を買うという方法もいいでしょう。

ということで、親子で「図鑑のある生活」を楽しみながら、わが子が自然に「勉強好き」になるようにしてあげてください。そうすれば、「勉強しなさい」と言わなくてもすむようになります。