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日本マイクロソフトは2018年2月25日、都内でWIP(Windows Insider Program)参加者を招いて、「Windows Insider Meetup in Japan 3」を開催した。3度目の催しとなる今回は、WIPを通じて受け取ったフィードバックがWindows 10 バージョン1709(Fall Creators Update)へどのように反映したのかを語り、Windows 10 バージョン1709とOffice 2016の最新機能を紹介するデモンストレーションを披露。そしてWindows Insider MVP受賞者によるライトニングトークが行われた。

「Windows Insider Programという取り組みについて 〜 Fall Creators Updateを踏まえて」と題したセッションを担当したのは、マイクロソフト ディベロップメント ソフトウェアエンジニア 入谷優氏。いわく、日本のWindows開発チームがおもに担当する領域として、Microsoft IMEやタッチキーボード、日本特有の問題対応が挙げられる。

特にタッチキーボードについては、「数年前からWindows 10がサポートする200以上の言語を日本の開発チームが対応してきた。現時点で明らかにできないが、RS5(Redstone5)の新機能開発にも携わっている」(入谷氏)。WIPの仕組みについては過去の記事でも触れてきたので詳細は割愛するが、社内向けに毎日配信するCanaryリングは、ビルドに失敗してリリースがない日もあるそうだ。

今回は新たなフィードバック方法として、翻訳の改善を提案するツール「ランゲージコミュニティ」を紹介。これまで各国のWindows開発陣は機械翻訳を通じて言語に関するフィードバックに目を通しているが、例えば「『取り除く』ではなく『削除』と表示してほしい」を「Display "Remove" instead of "Remove"」と訳すため、開発者に意図が通じない。

そこでランゲージコミュニティツールを用い、開発側の理解度向上に加えて、インサイダーが容易にフィードバックを送りやすくした。また、ランゲージコミュニティでは賛成票数をもとに翻訳の品質を判断している。「長い文章だと皆が納得する良い翻訳を採用する」(入谷氏)とし、翻訳を担当する開発チームに直接届くため、早期修正が可能になるとメリットを説明した。

興味深かったのは、Windows 10 バージョン1709の裏話。フルタッチキーボードの復活とフィードバックの関係だ。

「ハードウェア準拠のタッチキーボードは、利用者数が少なかった。開発チームは『One Windows』に向けた基盤の統一を目指すため、開発優先順位の都合からフルタッチキーボードの実装をバージョン1709の開発中に見送った」(入谷氏)という。

具体的には、ビルド16215でアナウンス、ビルド16226で機能を取り除いたところ、世界中から復活を求めるフィードバックが集まった。ビルド16257で英語圏のフルタッチキーボードを復活させたが、パブリックバージョンであるビルド16229以降は日本からも多くのフィードバックが寄せられ、2018年1月の更新プログラムで再び利用可能になった。

一度実装が見送られたフルタッチキーボードだが、フィードバックHub上で意見を求めたところ、「タブレットでの操作でAltキーが必要」「数字や記号混じりの入力が遅くなる」「かな入力などが不可能になる」といった状況に対するコメントが集まり、「日本のユーザーにとって重要な問題だと理解した」(入谷氏)とのこと。

日本マイクロソフトにも意見を求めたところ、春日井氏は「日本語入力であれば『Enter』キーが押せないのと同義」と述べ、「(日本マイクロソフトも)ちゃんと仕事をしている」(入谷氏)と、参加者の笑いを誘った。このフルタッチキーボードの実装問題について、「(Windows 10開発の方向性を)誤っても軌道修正し、道標となる」(入谷氏)フィードバックの力は非常に大きいと強調しつつ、インサイダーやユーザーから集まったフィードバックがいかにWindows 10の開発にコミットしているかを熱く語った。

ほかにもRS4に向けた新機能として、「りんな候補」「住所候補」といったクラウド予測候補プロバイダーの実装、英語キーボードに対する予測候補、そしてスタートメニューから呼び出すアプリケーションの一覧では、ひらがな単位から行単位への変更を紹介。「日中韓からのフィードバックを受けて、米国の開発チームが修正を加えた」(入谷氏)という。「日本の開発チームも挑戦を続けている。斜め上に行くこともあるが、WIPが一層盛り上がるように今後も取り組む。より良いフィードバック環境をともに作って行きたい」(入谷氏)とし、多くのフィードバックを参加者に求めた。

今回のユーザーイベントは参加者からの意見が多く、これまでなかったQ&Aコーナーが各登壇者に対して集まったのが印象深い。入谷氏や春日井氏はもちろん、MVPの皆さんにも多くの質問が集まり、過去2回と比べて1番の盛り上がりを見せたイベントだった。主宰した春日井氏は今後も同様のイベントを続けたいと話しているため、興味を持った方は今後の開催アナウンスに注目してほしい。

阿久津良和(Cactus)