いまこそ、Flipboard(フリップボード)がパブリッシャーに対して攻勢に打って出るときだ。パブリッシャーがFacebookの参照トラフィックに代わる手段を求めているなかで、モバイル向けニュースアグリゲーションアプリのFlipboardは2月第1週、フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)やウォールストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)などの新聞に全面広告を展開。また、アクシオス(AXIOS)やヴァニティ・フェア(Vanity Fair)、ハリウッド・リポーター(The Hollywood Reporter)などのサイトにも広告を掲載した。Flipboardの創設者兼CEOのマイク・マッキュー氏によると、キャンペーンに関する議論は昨年の晩春にはじまり、キャンペーン開始のタイミングは、ニュースフィード内のニュースを減らすという、Facebookが発表した計画とは無関係だという。とはいえ、キャンペーンに先立ち、Flipboardは1年掛けて、記者がキュレートしたニュースレターに関してパブリッシャーと提携し、編集・キュレーションチームを育て、パブリッシャーがFlipboard内で動画をマネタイズするのを助ける下地を作った。また、4000の登録パブリッシャーに米国以外のパブリッシャー100社以上を追加した。

参照流入が350%増加

Facebookのインスタント記事に似た、高速読み込みのモバイル記事フォーマットからも手を引きつつある。こうしたフォーマットは、モバイルに最適化されたサイトが一般的になる前に登場したが、パブリッシャーの意見に応えて、このフォーマットをもう重視していない。代わりに、パブリッシャーのサイトがモバイルに最適化されていれば、Flipboardを参照トラフィックの流入元としてパブリッシャーが利用できるようにしている。劇的な効果があった例もある。ザ・ネクストウェブ(The Next Web)は以前、すべてのコンテンツをFlipboard独自のフォーマットで公開していたが、昨年11月に自社サイトへ呼び込む方式に切り替えた。その後すぐに、フォロワーが18万人程度しかないFlipboardは、100万人のフォロワーを有するFacebookページ、そして185万人のフォロワーを有するTwitterを追い抜き、ソーシャルサイトからの参照トラフィックのトップソースになった。ソーシャル分析企業パースリー(Parse.ly)によると、GoogleやFacebookと比べて基盤が小さいにもかかわらず、Flipboardからのモバイルの参照トラフィックは、5月以降に350%以上増加している。モバイルの参照トラフィックについては、GoogleとFacebookがまだ大差を付けて支配し、Flipboardは、大きく引き離されて、Twitterに次ぐ4位だという。「予想外の大ヒットになった。どのパブリッシャーもトラフィックを定期的に流入してくれる次なる目玉を探している」と、半年前にFlipboardに加わったライブストロング・コム(Livestrong.com)のVP兼ゼネラルマネージャー、ジェス・バロン氏は語る。

シンプルな存在意義

FlipboardはFacebookやGoogleとは規模が違う。同社によると、月間アクティブユーザー数は1億人で、21億人であるFacebookの5%に満たない。それに、オーディエンスは特定の年齢層に著しく偏っておらず、ミレニアル世代とX世代以上が同程度だ。

2月第1週に開始した、Flipboardのデジタルブランドキャンペーンのイメージ

 

だが、ネイティブ動画プラットフォームやeコマースマーケットプレイス、グローバルな広告プラットフォーム(ならびに、友人や家族のための場)を目指しているFacebookと違って、Flipboardの存在理由は、「ブランドセーフなパブリッシャーのコンテンツをユーザーに配信する」という、シンプルであると同時にパブリッシャー寄りのものだ。パブリッシャーが必要としているのは、Flipboardで配信されるコンテンツの機能的なRSSフィードだ。だがこの1年間、Flipboardは、同プラットフォームとニュースレターの両方に掲載されるコンテンツパッケージをめぐって、パブリッシャーとより緊密に協力しはじめた。たとえば、NBCニュース(NBC News)は、ドナルド・トランプ大統領の就任1年目をめぐるパッケージを作成し、ウォールストリート・ジャーナルは、職場における女性の現状に関するパッケージを作成した。そうした取り組みは2018年も続いている。たとえば、E!は、ゴールデン・グローブ賞向けに、Flipboardがホームページに掲載したイベント報道をキュレートしている。

「気の置けない関係」

パブリッシャーは、FacebookやPinterest(ピンタレスト)などのほかのプラットフォームは問題解決の役に立ってこなかったとよく不満を述べている。近々、いずれかのプラットフォームに、その持て余された寵愛をもたらすだろう。「信じられないほど反応が早い。ほかのパートナーが相手だと成り行き任せになりうるが、Flipboardとは比較的気の置けない関係だ」。数字は明らかにしていないが、FacebookよりもFlipboardから多くのトラフィックを得ているデイリービースト(The Daily Beast)のオーディエンス開発担当責任者ジャナーキ・チャラ氏は、こう語った。Max Willens(原文 / 訳:ガリレオ)