朝日新聞東京本社(撮影=編集部)

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 1月30日付朝日新聞に、来春入社の採用試験についての案内が掲載されていた。それによると、記者部門は従来の一般教養試験に代わり、SPI3(適性検査)による選考を実施するとのことだ。また、選考途中で小論文試験を実施するという。SPI3とは、リクルート系列のリクルートキャリアが開発した適性検査で、多くの企業で導入されている。

 朝日の記者職採用試験でこれまで課されてきた独自の一般教養試験は、問題が非常に難しかった。社会時事についての深い知識が試される問題や、英字新聞の読解ができなければ解けない英語の問題など、志願者にとっては対策が大変なものだった。以前は朝日は過去の筆記試験問題を採用ホームページに掲載し、さらには新聞ダイジェスト社が『マスコミ入社試験問題集』(すでに廃刊)を刊行していた。

●下がる記者職の人気

 新聞社の記者職は就活生からの人気が下降傾向といわれており、その理由として新聞業界の衰退もあるものの、筆記試験の対策が難しいという点もあったと考えられる。『朝日キーワード』や一般教養試験対策の本を読み込まないと解けないものであり、しかもこの試験はマスコミ業界以外の企業で実施されることは少ない。そういった状況が、記者職の人気を下げていた可能性は高い。

 では、なぜ朝日は一般教養試験をやめ、SPI3を導入するのか。その理由を朝日新聞社広報部に聞いてみた。

「より多く、より多様な方々に応募してもらうためです。特に、地方の大学生が応募しやすいように意識しました。昨年は筆記試験の会場を増やしましたが、特定の日時に特定の場所に行かないと受けられないというこれまでの筆記試験のやり方では、日程の都合がつかない、あるいは移動などの費用のために、受験をあきらめる方々がいらっしゃると思います。できるだけ採用試験の初期段階でのハードルを下げようと考えました」

 かつての朝日の採用試験は、札幌・東京・名古屋・大阪・福岡などの大都市の試験会場に、特定の日時を定め、一斉に試験を行うというものであった。この方式では、大都市までの交通費がかかり、しかも日程の調整ができないという問題もある。また、同業他社が同じ時間帯に試験を行うということも多い。現在、就職活動については地方の大学生が東京での選考を受ける際に交通費がかかるということが問題になっている。このあたりの状況に配慮してということになる。

●就活生の負担軽減のため

 だが、一斉テストを行わないとなると、どのように試験を行うのだろうか。

「SPI3は全国にテストセンターが設置され、ご自分の都合に合わせて受検できます。試験内容も、これまで弊社の筆記試験で出題してきたような国語、数学、英語の要素があります」(同)

 ペーパーテストではなく、テストセンターでPCから入力する試験を個別に受け、その結果によって面接に呼ばれるということになる。

 なぜ、記者部門での導入に踏み切ったのか。

「多くの就活生が受検しているメジャーな適性検査であり、一度受検すれば、その結果を複数の企業が活用できます。弊社のビジネス部門では、昨年の採用選考で導入したところ、応募者数が増えるなどの結果が得られたことから、記者部門での実施を決めました」(同)

 また、「記者部門は選考の途中で小論文試験を実施します」とのことだ。以前は一般教養試験と同日に行っていたものが、選考のプロセスが進んでいったなかで小論文試験を受けるということになった。この小論文試験は、新聞社のデスクなどが集まって大量の答案を採点するといわれており、会社の負担も大きかったものと考えられる。適性検査で振り分けられた人の小論文を採点するのならば、負担も減るだろう。

 新聞社の小論文試験には、特別な対策が必要だった。そのための予備校や通信講座まであった。しかし、この選考のやり方だと、かつてほどのハードルの高さが必要なくなってくる。志願者の負担もまた、減ることになる。

 ちなみにSPI3には、「基礎能力検査」「性格検査」がある。朝日はその両方を実施するという。「英語能力検査」も実施するとのことだ。ならば、大卒採用向けの「SPI3-UE」という試験問題セットであろう。なお、これはテストセンターでしか受検できない。朝日によると「書類選考で『能力検査』を加味して判断します。『性格検査』は、面接選考で参考にします」とのことだ。

 どこの会社であれ、面接官になるような人は特別な訓練を受けていないケースが多く、むしろ仕事上で役職がついたりしている「仕事のプロ」である。必ずしも「面接のプロ」であるとは限らない。面接官としても、「性格検査」で客観的なデータがわかっているほうが、判断しやすかろう。性格検査で得た結果データを、会社員やジャーナリストとしての適性を判断する材料として活用するのであろう。
(文=小林拓矢/フリーライター)