片付けのついでに親と話してみよう!(写真=AFLO)

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■実家の片づけ 勝手に捨てると禍根が残る

モノの多い実家の片付けが頭痛の種という人もいるのでは? 片付けのエキスパート、サマンサネット代表取締役社長の杉之原冨士子さんに、実家の片付けの秘策を教えてもらった。

杉之原さんはまず、「片付け=捨てる」ではないと強調する。あくまで「親がより快適に暮らすためのサポートをするという意識が大事」(杉之原さん、以下同)。親の持ち物は、親自身が納得して処分しなければ、子に勝手に捨てられたという禍根だけが残る。以後死ぬまで部屋を触らせず、結果、遺品整理が大変になってしまう例を杉之原さんは数多く見てきた。

親と疎遠な人は、まずはコミュニケーションの復活からと杉之原さんは言う。

そして、具体的な作業の前に、親の「老い」や健康状態を把握する。「一緒に料理、買い物などの作業をして、体につらいところはないか、認知症の度合いなどを確認しましょう」。そうすれば、何をどこにしまうと楽かの見極めもつき、散らかった現状を責めたくなる気持ちも抑えられる。

「自分の部屋や荷物があるなら、まず、そこから片付けてください」と杉之原さん。すっきりした状態を見て、親も片付けに前向きになる。空いた部屋は後で述べる「一時保管スペース」に活用できる。

■なぜ台所や洗面所から片付けるといいのか

さて、ここからは本格的な着手。台所か洗面所から始めるのがおすすめだ。「判断に迷うものが少なく、片付けやすい。また、片付くと快適さが毎日実感できる。それが『成功体験』となって、親もますます片付けに乗り気になってくれます」

よく使う場所が済んだら、洋服や思い出の品などに移る。捨てるかどうかより、モノの行き先を決める仕分け、と考えると取り組みやすい。判断に迷ったら、「一時保管スペース行き」にする。「捨てる、捨てないの二者択一だと思考停止して、結局投げ出すことになる。ワンクッション置くことで精神的負担を軽くし、結果的に片付けそのものを前に進められます」。ひとつひとつの判断に時間をかけすぎず、片付けで疲れないことが大事なのだ。「なぜ捨てないの」「ゴミばかり」などのネガティブワードも控えよう。

親と話し合いながら仕分けするのが理想だが、業者に頼む場合は、丁寧に仕分けする業者を選ぶこと。「ゴミ屋敷一掃プラン」などは重要書類や現金なども確認せず捨てられたり、不法投棄のリスクもあるので注意が必要。片付けサービスの相場は2時間2人派遣で2万円程度が一般的だ。

片付けは、そのプロセスで、大事な保険証書や通帳のありかがわかることもあり、親が相続の準備をするきっかけにもなる。自分の知らない「親になる前」の親の歴史を知り、大人になった自分が親と向き合う貴重なチャンスでもある。

お金についても片付けておこう。「実家の片付けでは、現金や通帳が出てくるでしょう。親のほうから大事な物はここにあるからと話があるかもしれません。この機会にお金についても親と一緒に片付けておきましょう」とのこと。

「帰省中になんとかしたいと思う気持ちもわかりますが、一見遠回りに思えても、親の状態を確認し、一緒に片付けの『小さな成功体験』を積んで、片付けに前向きになってもらうことを目標にしてほしい」。そうすることで、親との関係を再構築し、親の余生を快適にし、将来の遺品整理が楽になるなど、家族全員の幸せにつながるのだ。

▼実家の片付けフロー
Step1:親とコミュニケーションをとる。
Step2:共同作業で親の老いや健康状態を把握する。
Step3:実家にある自分の部屋やモノを片付ける。
Step4:台所や洗面所から片付けて成功体験をつくる。
Step5:サクサク分別。迷ったら一時保管スペースへ。
Step6:ゴミを処分! 分別については自治体に相談。

(奥田 由意 写真=AFLO)