1月のFacebookのニュースフィード改変の発表は、いまもデジタルメディア業界全体に波紋を広げ続けている。

だが、これがパブリッシャーの戦略に長期的に影響を及ぼし続けるかは疑わしい。匿名で率直に語ってもらう「告白」シリーズ最新回では、ソーシャルメディアを専門とし、ヨーロッパのレガシーパブリッシャーに助言するパブリッシングコンサルタントに話を聞いた。

発言内容は編集、要約されている。

――Facebookのニュースフィード改変、パブリッシャーの反応は?



パブリッシャー内部では、ショックを受けたり右往左往したり、どうしていいのかわからないという状況がたくさんあるが、表向きは「今後の方針はこうだ。これからこうするつもりだ」と大きく発表しているケースが多い。今後どうすべきかを決めるのは時期尚早だ。もちろん、今回の変更の影響はあるだろう。だが、具体的にどのような影響が出るかはわからない。

――具体例を挙げるとすると?



Facebookからコンテンツを引き上げるパブリッシャーもいるが(ブラジル最大手の新聞、フォーリャジサンパウロ[Folha de S.Paulo]など)、意味のないことだとだ。彼らは反射的に過剰反応して、ポーズをとっているだけ。くだらない演出ばかりだ。パブリッシャーたちはあまりにもいろいろなことに不満を募らせていて、Facebookを恐れさせたいのだ。コンテンツの引き上げも、戦略的というよりは象徴的な動きだ。

――変更に対するパブリッシャーの反応には、どのような問題があるのか?



ある大手パブリッシャーが私にこう言った。「これで動画はおしまいだ。今回の変更で、みんな動画を諦めるしかない」。Facebookで閲覧数を伸ばすためだけに動画を制作しているのであれば、それは間違っている。100%これしかないという思い込みは持たず、今後数カ月はさまざまな新しい試みを10個ばかり試してみて、どれがうまくいくかを見てみるというのがもっとも賢いパブリッシャーだ。

――とはいっても、パブリッシャーはFacebook依存を減らしていく?



いや、パブリッシャーはもっと慎重だ。だが、歴史が繰り返すことも考えられる。パブリッシャー側では、Facebookに言われたから、とグループを開設しなければならない空気が漂っている。ただ、ユーザーに対して価値ある開設ではない場合、グループ施策に人員を投入したあとに、Facebookが注力するのをやめたら、いまと同じような状況に陥ってしまうだろう。あるレガシーパブリッシャーは、まずはグループ機能が役に立つか見てみてから、そうでない場合は使わないと、私に話した。

――グループ機能にはどんな問題が?



グループ機能はトラフィックを差し向けてくれるものではない。読者と一点集中的なエンゲージメントを増やしたいのであれば、非常に良いものではあるが、移行が容易ではないのが難点だ。ウェブページや動画の戦略を、グループ機能で置き換えることはできない。1対1で交換できるものではないのだ。1カ月に1000万の閲覧数を失って、1万のコメントを得たとしても、それは差し引きプラスなのか、マイナスなのか。これを上層部にどう報告すればいいのか。これほどいろいろ変化が起きているなかで、ベンチマークのために1年間の詳細なソーシャルメディア予想を作成するのは難しい。そもそも1年後に同じ指標がまだ意味を持っているのかすらわからないのだから。

――パブリッシャーはこの課題にどう取り組むべきなのか?



戦略は、トレンドやイノベーションとは違う。多くのパブリッシャーが、トレンドを追うことに固執しすぎて、自分たちの戦略を見失ってしまっている。特に強いブランドアイデンティティを持たず、一般的なプラットフォームに適応できない、ソーシャルメディア専門のニュースパブリッシャーよりは、グレートビッグストーリー(Great Big Story)のようなパブリッシャーのほうが変化にうまく対応していけると思う。朝起きて、Facebookで1分の動画をあれこれ見たいと思う人はいないが、ドキュメンタリーや、印象深い人物が登場する話、自分が学んだことについて語り合いたい人は必ずいる。

――これらの変化が最終的に利益をもたらすというパブリッシャーは、自分に都合よく解釈しているだけなのか?



「これは自分たちに影響しない」というのと、「これは自分たちにとって利益をもたらす」というのとは違う。パブリッシャーにとってこれが良いことである理由はたくさんある。たとえば、Facebook用にコンテンツを作らなければならないというプレッシャーは、ユーザーに関心あるものに注力する理由づけになる。

最終的に、パブリッシャーがより良いコンテンツを作らなければならないという状況は、読者にとっても、パブリッシャー自身にとっても良いことだ。今回の件で、パブリッシャーは世の中Facebookだけではないということも思い出している。YouTubeやApple Newsの可能性を探り、SEOにも取り組んでいるようだ。

Lucinda Southern(原文 / 訳:SI Japan)