声は心を届ける。自分の魅力を伝える声の出し方・トレーニング方法

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人は「心地よい声」に魅力を感じる

近所の回転寿司屋で働いている、ある女性店員の「声」が好きだ。少し低めで、温かみがあり、なおかつ張りのある好みの声。

まずは「いらっしゃいませ」という挨拶、客から注文を受けた際の返事、ネタの案内など、どんなににぎやかな店内であっても彼女の声はとてもよく通り、はつらつとしていて、それでいてうるさくない。心地よい声なのだ。

彼女のあの声はきっと、たくさんの人の前で話すのに向いている。彼女の「声」が聞きたくて、店に足を運んでいるといっても過言ではない。

私は買い物に行った時も、「声」で、どのレジに並ぶかを選んでいる。どの店員に会計してもらっても同じじゃないか、と思うかもしれないが、決してそんなことはない。

いつも行く近所のスーパーでも、とても素敵な声の持ち主が働いている。彼女は私より少し年上なのだが、所謂「美声」ではない。しかしとても親しみやすく、ほっとする声をしている。

このように、人には相性の良い声、心地よいと感じる声がある。そういう声に魅力を感じ、

なお、このスーパーで働く女性は声が心地よいだけでなく、知り合いに会った時のように、ナチュラルに、それでいて馴れ馴れしくない接客をしてくれる。私は、接客業特有の無理に作り込んだ高い声や、機械的な接客が苦手なので、それも嬉しく感じる。


「気持ち」「聞き取りやすさ」「印象」など声に含まれる情報はたくさん

ビジネスや接客における「声」は、非常に重要なものである。求められるのは、「元気そう」かつ「機嫌の良い」声で、「本当に相手に気持ちをこめて話しているか」「商品やサービスに自信があるか」は、声色ひとつで相手に伝わる。

もちろん、仕事のシーンによっては「おだやかな声」や「少し低めの声」が必要になる場合もある。特に初対面であったり、電話でのアポなどの場合は、声の印象や喋り方によって、その後の仕事の命運が左右されると言っても過言ではない。

「心がこもっているか」「きちんと聴こえているか」「きちんと伝わる話し方をしているか」「滑舌ははっきりしているか」など、気をつけるべき点は多くある。


自分の声を録音して聞くことで様々な発見がある

これらを確認するために、スマートフォンなどで自分の声を録音してみることをおすすめする。

自分の声を、機械を通して客観的に聞いたことがない人は、最初はびっくりするかもしれない。自信を喪失してしまうかもしれない。これまで、本当の自分の声や話し方を、きちんと聞き認識することができていなかったと気づくはずだ。

しかし、この過程が非常に重要なのだ。自分の声に聞き慣れることによって、普段から話し方や声の調子について意識するようになり、それを続けることで、自分の理想とする話し方や声を手に入れることができる。


理想の話し方・声の出し方を手に入れるトレーニング方法

特に電話での対応は、声も含めてよくトレーニングすることが必要だ。どんなに調子の良い声でも、心がこもっていない場合、そのことは相手にばれてしまう。声は大切なツールになるので、よく磨くべきである。シーンに合わせて、声の出し方を研究しよう。

息の吐き方を工夫するトレーニング

重要なのは、呼吸、特に吐き方である。喜怒哀楽によって、息の量や吐き方が異なってくる。場面に合った声が出せるように、それらを研究する必要がある。

息の吐き方については、「下腹を引っ込めながら息を吐く」トレーニングが効果的だ。それ以外では、「お尻に力を入れて息を吐く」というトレーニングもある。

また、「その両方を使いながら、骨盤低筋を上に引き上げ、肺や肋骨の下にある横隔膜も引き上げて、しっかり息を吐く」というトレーニングも効果的である。

母音「え」の使い分けのトレーニング

「え」という母音を使った声の喜怒哀楽トレーニングもおすすめである。びっくりした「え!」、深刻なことを聴いたときの心配そうな「え……」、たくさんの宿題を出され、「えーーー!」と言って大騒ぎする時の子供のような声の出し方。

さらに、溜め息をつくような「えー」、うれしいことを聞いた時の喜び混じりの「えっ!」。同じ「え」という母音を発するにしても、声の高さや強弱、スピードの付け方はさまざまで、さらに、息の吐き方がそれぞれまったく違う。

滑舌に注意する

また、唇や舌、のどの奥などを意識して、滑舌に気をつけてみると良い。はっきりと聞き取れる声になっているか?ちゃんと相手に伝わるか?などを、工夫してみよう。無理をして作った声ではなく、あなたの魅力を生かした「声」と、その出し方があるはずだ。自分なりに考え、実践してみよう。

こういったトレーニングの際にも、自分の声を録音して聞いてみるのは効果的だ。もし表情や姿勢なども気になるならば、スマートフォンなどで動画を撮ってみても良いかもしれない。


【吉井 江里:音楽講師】


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