スーツの次に堅いジャケパンをうまく着こなしましょう(写真:gladkov / PIXTA)

近年、ビジネスパーソンの間で「ジャケパン」という言葉を耳にする機会が増えました。上下の生地や色がそろったスーツではなく、違う生地や色のジャケットとパンツ(スラックス)を組み合わせるビジネスファッションです。

夏場のクールビズ以外にも、自由な服装での出勤を認める「カジュアルデー」を設けている企業も増えてきており、「脱スーツ」の動きはますます広がりを見せています。最近では、お堅い金融機関であっても、一部の職場ではチノパンが許容されるそうです。

スーツ以外で定番になった「ジャケパン」

そんなスーツ以外のビジネスファッションとして、定番の1つになってきたジャケパン。実はそこには3種類の基本スタイルが存在すると私は考えています。ジャケットに合わせるスラックス・シャツの種類によって、その印象の堅さが大きく変わるのです。特に、ジャケパンは、そのコーディネートが生まれた地域性を色濃く反映しています。

意外と知られていないジャケパンの基本スタイル。順を追って解説していきましょう。

(1)限りなくスーツに近い英国的ジャケパン

スーツにいちばん近いジャケパンのルーツは、スーツ発祥の英国です。上下生地が異なるスーツに似た雰囲気を醸し出すこのコーディネートは、英国貴族が狩猟をするための着こなしです。

ウールジャケットにウールスラックスを合わせたコーディネートですが、色が異なるスーツを、ただ合わせているわけではありません!

スーツ・ジャケパンのジャケットは、一見同じに見えますが、質感はもとより、ポケットの形が異なります。パッチポケットと呼ばれるフタがないジャケパンのポケットは、スーツよりカジュアルな印象です。

一方、切りポケットと呼ばれるスーツ仕様のポケットでは、上下異なるスーツをただ合わせたチグハグな印象に見えるかもしれません。

(2)チノパン活用のアクティブなイタリア的ジャケパンとは?

質感あるウールジャケットにチノパンを合わせたコーディネートは、イタリア的な雰囲気のジャケパンです。「綿素材のスラックス」と呼ばれるジャケパンのポケットはスラックス同様、縦の切り込みが基本です。一方、同じ綿パンであっても、ジーンズのポケットデザインは横の切り込みです。ここに大きな違いがあります。同じ綿パンであっても、それぞれのルーツが異なるので、印象は変わるのです。

チノパンのジャケパンをするときは、スエードタイプの靴を合わせます。スーツに合わせる革靴では、チノパンの風合いは合わせづらいからです。

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(3)いちばんカジュアルな東京ジャケパン

襟シャツではなくTシャツ・カットソーを合わせたコーディネートは、東京的なジャケパンと言えます。いちばんカジュアルに崩したこのジャケパンは、もはや、ビジネスというより週末服と変わらぬ印象ですが、IT・クリエーティブ系の業界に多いベンチャー企業スタイルです。

このスタイルが出始めたのは2000年代といわれており、当初は波紋を呼びましたが、現在、IT系の業界ではスタンダードになりつつあります。

新時代のビジネスファッションに求められることは、ただスーツを脱ぐことではありません。TPOに応じ、スーツ・ジャケパンを使い分けることが求められます。ビジネスシーンでいちばん堅い装いが、スーツであることは一目瞭然です。

これまでスーツは堅い服であると同時に、「ビジネスシーンの平服」も兼ねていました。ところが、クールビズ、ウォームビズ、カジュアル・フライデーなど、季節や状況による平服の多様化によって、スーツを着ることが必ずしも正解とは言えない時代になったのです。

もちろん、スーツしか通用しない職種・職場もあります。状況に応じて着分ける「ジャケパンの種類」を知っておくことは、TPOを間違えないためにも重要です。

そもそも、上下同一ダークカラーの生地であつらえたビジネススーツは、ネクタイがあるからこそエレガントな印象に見えます。つまり、クールビズの代表格とされていたノーネクタイのスーツ姿は、「軽装」というより「略装」なのです。意味としては同一に扱われる2つの言葉ですが、スーツを簡略化した略装は「手抜き」という意味合いに映るのではないでしょうか?

だからこそ、スーツの次に堅いジャケパンを使い分ける必要性が生まれ、この使い分けこそ「服もビジネススキル」という所以(ゆえん)なのです。