超小型Androidスマホ「Jelly Pro」を徹底レビュー!

技適を取得して今月国内での正規販売が開始されたUnihertzの超小型Androidスマートフォン(スマホ)「Jelly Pro」(型番:JPRO-02)ですが、その驚きのサイズと想像以上に「使える」という評判が大きな反響を呼び早くもAmazon.co.jpでの正規販売分は全てのカラーで売り切れとなる人気ぶりを見せています。

前回お伝えしたファーストインプレッションより1週間、筆者もさまざまなテストとともに使用してみましたので、その使用感や実用性などを写真や動画とともにレビューします。


SIMカードとmicroSDカードを用意し、いざテスト!


■テザリング端末としても十分使える!
テストのために用意したものは動作可能なnanoSIMカードとmicroSDカード(microSDXC 64GB)です。SIMカードは当初nuroモバイルの「0 SIM 音声通話対応プラン」を用意しましたが、回線状況が悪くテストが正常に行えなかったため、途中からmineoの「Dプラン デュアルタイプ」へ変更しました。

なお、どちらのSIMでも音声通話やデータ通信は行えたことを併記しておきます。また、NTTドコモやワイモバイルでは高音質通話サービス「VoLTE」にも対応しているのもポイントです。


スタートから波乱の予感が……


SIMカードのセットアップは一般的なSIMフリースマホと同様に行います。SIMカードを本体にセットしたら「設定」→「無線とネットワーク」から「もっと見る」を選択し、「モバイルネットワーク」→「アクセスポイント設定」を開いてAPN設定を行います。

IIJmioやOCNなど日本国内の主要な仮想移動体通信事業者(MVNO)サービスはあらかじめ登録されており、nuro mobileもmineoも詳細な設定などを新規登録せずに利用することができました。


初期設定が若干面倒なのがMVNOの敷居の高さの1つかもしれない


通信速度テストには「SPEEDTEST.NET」アプリを使用しました。土曜日の午後に計測を行いましたがnuroモバイルでは下り回線で極端に速度が出ない状態が続き、ネットワークエラーで計測不能となる場面も多々ありました。mineoでは十分に快適な速度となったことから、MVNO選びもまたSIMフリースマホを使う際の重要な要素だと再認識しました。


左がnuroモバイル(0 SIM)、右がmineo(Dプラン)。混雑タイムを避けての通信テストだったがMVNOによってこれだけ違いが出る


超小型スマホである本機の実用的な利用方法の1つがLTEテザリング端末としての利用でしょう。mineoのSIMを挿した状態でパソコンにUSBケーブルで接続し利用してみましたが、こちらも問題なく利用可能でした。


Jelly Proをパソコンに繋ぎUSBテザリングで速度テストを行ったもの


また本機のWi-Fi接続をONにしてUSBテザリングを行ってみましたが、こちらは本機の性能が低いことからWi-Fi接続としては若干物足りない速度となりました。とはいえ、動画を閲覧したり一般的なファイル転送程度であれば何ら問題のない数字が出るため、モバイルルーターとしては十分に実用範囲内にあると思われます。


いざという時の予備回線としては十分だ


■性能はエントリー端末程度だが意外と普通に使える
次に性能テストです。テストには「CPU-Z」と「Antutu Benchmark」を使用しました。

Amazon.co.jpの正規販売ページや本機の外箱などにはCPUの欄に「Quad-Core 1.1GHz」とだけ記載されておりCPU(SoC)のメーカーなどは表記がありませんが、CPU-ZによればMediaTekの「MT6735 1.44GHz」とのテスト結果が表示されており、記載内容との食い違いが発生しています。なお、これについては技適マークのあるJelly Proは初期ロットとは異なり、SoCが変更されているということのようです。


日本国内での販売に合わせ強化したのだろうか


Antutu Benchmark(Ver.7.0.4)によるベンチマークテストではCPUテストが21052ポイント、GPUテストが2674ポイントとなり、現在のAndroidスマホの中ではエントリークラス程度の数値に。Webブラウザーでのネット閲覧やYouTubeアプリでの動画視聴などは問題なく快適に行えるものの、Pokemon Goなどはプレイ可能ですが、より処理能力の必要なゲームアプリを快適に楽しむには若干厳しい印象です。


やはり性能面で選ぶ端末ではなさそうだ



ChromeブラウザーによるWebサイト閲覧(左)とYouTubeアプリによる動画視聴。閲覧の快適さは問題ないが文字の表示量などが少ないため読みづらさがある



ゲームアプリ「パズル&ドラゴンズ」をインストールしてみた。問題なく起動するもののゲーム自体が非常に重く端末も激しく発熱するため正直ゲームとして遊べるレベルではない。何より、画面が小さすぎて操作が非常に困難だ


バッテリーの持ちはサイズのわりには悪くなく、待機状態であれば2日近く電池が持ちます。ゲームアプリなどを動かせばあっという間に電池を消耗しますが、良くも悪くもゲームに向いていない端末であるためにバッテリーに大きな負荷を掛けることは少ないかもしれません。

また本機にはMediaTek製のSoCが採用されていることもあり、同社のスマホ高速化アプリ「Duraspeed」がプリインストールされています。これはバックグラウンドで動作するアプリを制限することでアクティブアプリの動作を軽くするというもので、電力消費を抑えつつ快適なアプリ利用が行えるようになるため常時ONにして利用しても問題はないでしょう。


Duraspeedではアプリごとに細かくバックグラウンド動作を指定できる


■音楽聴取用端末としてはかなり優秀
標準でプリインストールされている音楽アプリはシンプルで本機の小さな画面によく合うUI配置ですが、再生・一時停止ボタンなどが小さく若干押しづらいのが若干気になりました。FMラジオアプリでは87.5kHz〜108kHzの間でしか利用できないため、NACK5やFMヨコハマが聴けないなどこちらも利用には若干残念な点も。


音楽プレイヤーアプリはタブ表示が大きく操作しやすいが、一方で再生ボタンなどが小さすぎるのが非常に惜しい



イコライザー機能も付いており、音響効果を任意に調整可能なほかプリセットから簡単に選択することもできる



シンプルすぎるほどシンプルなFMラジオアプリ。こちらも周波数を0.1kHz刻みで調整可能なほかプリセットされた放送局から選択することが可能


一方でアプリ配信マーケット「Google Playストア」からインストールしたインターネットラジオアプリ「radiko.jp」では表示される情報量が少ないものの操作性も悪くなく、本体スピーカーも音割れなどがなくとても聴きやすい音声品質であることから快適な聴取が可能でした。

端末が小さく細かな画面操作が難しいことからも、ゲームなどの用途より音楽プレイヤーとしての利用が適していると感じました。別売りオプションにアームバンドなどもあり、Bluetoothヘッドホンなども利用できるためランニングやトレーニングのお供に良さそうです。


BIGLOBE SIMやDTI SIMならパケット利用料金計算から除外する「カウントフリー」がradiko.jpに適用されるため、本機と相性の良いMVNOかも知れない


■画質的に厳しいカメラ機能。オマケ機能と割り切るべきか
最後にカメラ機能をテスト。静止画撮影と動画撮影に対応した一般的なスマホカメラといった印象で使い勝手も標準的ですが光学式手ブレ補正などはなく、画質はお世辞にも良いとは言えない苦しいもの。本機の画面で閲覧する分にはあまり酷さを感じませんが、パソコンや大画面のタブレットなどで閲覧するのは厳しい印象です。


静止画撮影テスト1。画質は酷いもののリサイズするとそれなりに見られる画像にはなるが……



等倍で切り出すと安価なCMOSセンサーにありがちな棘状のジャギノイズが盛大に出ているのが分かる



静止画撮影テスト2。こちらもリサイズしているので比較的見られる写真だが……



等倍で見ればご覧の通りのノイズの嵐



この画質で美容マルチフェイスモードと言われても……という感はある



手ぶれ補正は光学式ではなくデジタル式だと思われる


動画撮影でも画質の酷さは同様で、動画保存形式に3gpが採用されている点など、十数年前の安価なトイカメラを彷彿とさせます。とは言えそれでも超小型スマホにアウトカメラとインカメラの2つを搭載している点を前向きに捉えるならば、機能的には必要最小限を抑えているとも評価できます。


S-MAX:超小型スマホ「Unihertz Jelly Pro」動画撮影テスト

動画リンク:https://youtu.be/lHhNZkVnJ5k

■デジタルギークのオモチャとして
総評としては、驚くほど小型だがエントリークラスのスマホでできることはほぼ同じように利用できる、といった評価です。ただしそのサイズと画面解像度ゆえにディスプレイを操作するタイプのアプリや画像・映像を利用したアプリの使いづらさは如何ともしがたく、例えばGoogleマップなども解像度が低すぎるために線が潰れてマップそのものが判別しづらいなどの不便さがあります。


このサイズでもHD程度の解像度があれば十分に使えそうなのだが……


個人的にオススメしたい使い方は、やはりテザリング用端末や音楽プレイヤーとしての利用です。標準の音楽プレイヤーアプリでも再生ボタンの押しづらさ以外は十分に使え、またPlayストアなどからサードパーティ製のアプリを入れれば活用の幅はグッと広がります。FMラジオ機能も地味ながら便利でありインターネットラジオの利用端末としても便利です。

また動画視聴用端末としても意外と使えるのでは?と感じました。このサイズで動画を観ても……と思われるかもしれませんが、横画面のランドスケープモードにすれば一般的なスマホの縦画面利用時程度の画面サイズにはなり、更に解像度が低いことからYouTubeなどでは自動的に低解像度の動画サイズが選択されるため送受信データ容量を節約することができます。

メインスマホと2台持ちにすれば、外出先でちょっとした動画を見たい場合や音楽プレイヤーとして利用することでメインスマホのバッテリー消費の節約にもなります。パソコンと接続して動画コンテンツや音楽ファイルをドラッグ&ドロップのみで手軽に移動できるAndroidスマホだからこそ、そんな気軽な使い方が適しているように感じました。

Jelly Proはコレ1台ですべてを満足させるような端末ではありませんが、超小型スマホとしての遊び方を模索してカスタマイズしながら楽しむにはとても適した端末ではないでしょうか。なお、現在、Amazon.co.jpには技適マークのある製品は在庫切れとなっており、メーカーのUnihertzでは「近く入荷する予定」ということですのでしばらく待つのが良さそうです。


S-MAX:超極小スマホ「Unihertz Jelly Pro」ファーストインプレッション

動画リンク:https://youtu.be/zld7x18EyJQ

※動画内で中国国内での発売時期を2017年5月頃と説明していますが、正確には2017年5月にクラウドファンディング目標額達成、2017年8月に発売開始となります。訂正しお詫び致します。

記事執筆:秋吉 健


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