eスポーツはゲームなのか? スポーツなのか? 誤解を生む理由と止まらない世界の普及

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平昌オリンピックの興奮は、パラリンピックへと引き継がれる。まだ冬のスポーツの話題には事欠かないだろう。

そんな中、もう1つスポーツで気になるのが、ゲーム対戦競技「eスポーツ(=エレクトロニック・スポーツ)」だ。

eスポーツはどんな競技で、なぜゲームなのにスポーツと呼ばれるのだろうか?

eスポーツプレイヤーのプロライセンスも誕生
eスポーツは、米国や韓国など世界では人気が急上昇している。
それに反して国内でのeスポーツは、まだ扱いは小さく、認識も曖昧だ。

そんな中、2月には国内でも、一般社団法人日本eスポーツ連合(Japan esports Union、JeSU)が設立された。
JeSUでは、eスポーツプレイヤーのプロライセンス発行など、段階的に取り組んでいくことが発表されている。
また今秋開催の「東京ゲームショウ2018(TGS2018)」でも、eスポーツへ注力することも発表されている。

eスポーツは、画面を見つめながらコントローラーやキーボードを操作するだけなのに、それが、なぜスポーツなのか? と疑問を持たれる方も多いようだ。

この誤解を生んでいる理由の1つが、英語「sport」の翻訳の仕方だ。

日本では、「sport」を、一般的に「運動」と訳すことが多い。
このため、汗をかく肉体的な競技のことを指すと考えられてしまう。

しかし、スポーツには、運動だけなく「楽しむ」「競技」の意味がある。
そのため、欧米ではチェスはマインドスポーツだし、ビリヤードも屋内スポーツと認識され、自動車レースは、自動車をコントロールする競技「モータースポーツ」とも呼ばれている。また、アーチェリーやクレー射撃のように道具の操作を競う競技も、すでにオリンピックにも存在している。

eスポーツで闘うためには、長時間の集中力やそれを生み出すための体力、そして反射神が必要とされる。このため単にゲームで遊ぶ行為とは異なり、本格的な肉体トレーニングも必要となるのだ。

実際のeスポーツとはどんなものなのか?
素朴な疑問から探ってみよう。

○どんなゲームをやるの?
eスポーツで競技されるゲームにはさまざまな種類があるが、多いのは、
・「FPS」と呼ばれる一人称のシューティングゲーム
・「RTS」と呼ばれる、戦略型のリアルタイムゲーム
いずれも、パソコン向けゲームが主流だ。それ以外にも、ストリートファイターのような、おなじみの格闘ゲームや、ウイニングイレブンなどのサッカーゲームで対戦するイベントもある。

○特別なハードウェアが必要なの?
eスポーツでは、キャラクターの動きや相手の操作に合わせて、数十分の1秒といった緻密な操作が必要とされる。そのため、反応速度の良いキーボードやマウスが必要とされる。

スキーなどのように、eスポーツでも専用のハードウェアを扱うメーカーもあり、契約メーカーのハードウェアを使用するプレイヤーもいる。
サッカー選手が契約メーカーのシューズを履くのと同じことがすでに起きているのだ。

○どうやったらプロになれるの?
これまでのプレイヤーは、メーカーとの契約などを経てプロ選手となっていた。

これに対して、一般社団法人日本eスポーツ連合の発行する「プロライセンス」が新たに登場する。このプロライセンスは、同連合が公認する大会で優秀な成績を収めたプレイヤーに発行されるものだ。

しかし現状では、まだ定義の曖昧さなどを指摘する声も多く、今後の動向が注目されている。

eスポーツで生活していけるの?
海外のeスポーツの大会では、賞金総額が20億円になる大会もあるなど、高額な賞金が設定されるイベントもある。
プロのプレイヤーとして、メーカーと広告契約を結んだり、企業の運営するチームに参加したりすることで、収入を得ることが可能だ。


日本は世界的にゲーム大国と言われてきた。
しかし、eスポーツにおいて、社会の認識も、環境も、大きく世界から遅れているのが現状だ。

昨年末に、ようやくオンラインゲーム・eスポーツ議員連盟が設立されたが、
制度や運営については、まだこれからといったところだ。

一方、世界では、2022年に中国・杭州で開催予定のアジア競技大会で、eスポーツが正式にメダル種目として決定されるなど、eスポーツ普及の流れは急速かつ確実に世界で広がっているのだ。