■星野リゾート 磐梯山温泉ホテル(前篇)

 日本の地方の魅力を掘り起こし、プロデュースすることで日本の観光に一石を投じてきた星野リゾート。その各施設を訪れ、地方らしい遊び方、旅の仕方を再発見していこうというシリーズが「日本を遊ぼう!」です。

 今回ご紹介するのは、「星野リゾート 磐梯山温泉ホテル」。スキーの後には、会津若松の街まで繰り出す驚きの日本酒女子会がパッケージされています。

女子会にぴったりのスイートルーム


夕食は、専用バスで繁華街へ繰り出し、会津ならではの居酒屋で日本酒を堪能。会津居酒屋・郷土料理の「籠太(かごた)」にて。

 磐梯山麓にたたずみ、冬ともなれば美しい雪景色に恵まれる「星野リゾート 磐梯山温泉ホテル」の目の前には、3つの山にまたがる東北最大級のスキー場「星野リゾート アルツ磐梯」が広がる。まさに絶好の立地。また、かけ流し温泉が楽しめることも大きな魅力だ。

 このホテルでは、日本酒好き女子のために、アフタースキーのお部屋で、会津若松の居酒屋で、そして地酒バーで、とことん飲んだくれることができるプランを用意している。それが“冬のあいづ日本酒ガールズステイ”だ(2018年3月25日まで/1日1室限定)。


客室の日本酒セラーに入っている、ホテルの唎酒師厳選のお酒でまず一献。

 このプランで滞在するのは、メゾネットタイプの「会津モダンスイート」。5名まで泊まれるという広々とした部屋は、広さ104平米。1階はシンクのあるカウンターと日本酒セラーが設置されたリビングルーム、2階がゆったりしたベッドルームになっている。


会津民家にならったという間取りが興味深い「会津モダンスイート」の1階。斜め天井から降り注ぐ柔らかな光が心地よい。

 裸足で上がって寛げるから、女子会を開くにはぴったりだ。優しいパステルカラーのモダンなインテリアだが、1階は、昔ながらの会津民家の独特の形態にならった間取り。つまり、除雪や馬の世話が欠かせない会津地方ならではの、厩(うまや)と土間が一体となった作りを採り入れているのだ。

 会津民家は、飲食や家事を行う土間である“にわ”、居間にあたる“おめい”、そして奥まったところにある装飾空間“ざしき”というスペースを備えていた。

 この「会津モダンスイート」では、テーブルをしつらえた部分を“にわ”、ちゃぶ台と壁掛けテレビのあるコーナーを“おめい”、そして2階へとつながる奥まった場所を“ざしき”に見立てている。ゆるやかな変化があり、どこでゴロゴロしていても楽しい。


2階のベッドルームも広々。飲んだ後、ベッドにバタンキューできる。

 そして、日本酒セラーには3本の銘酒が入っている。こちらは、約30軒も酒蔵があるという会津自慢の日本酒から、唎酒師でもあるホテルスタッフが厳選したもの。酒器もいろいろ揃っていて、自由に楽しめる。


左:選び抜かれた3種の地酒。本格的な酒器も気分を盛り上げてくれる。
右:日本酒セラーのお酒を選ぶスタッフの小野ヒロ子さんは唎酒師。豊富な日本酒の知識を語ってくれることも。

 部屋のアメニティも日本酒風呂用の清酒、日本酒「会津ほまれ」を60%含んでお肌がしっとりする化粧水、酒粕エキスを使ったフェイスマスクと、お酒尽くしの部屋なのだ。


アメニティも日本酒由来のものばかり!

見どころ満載の老舗酒蔵を見学


新酒が出来たことを示す大きな杉玉が吊るされた「末廣酒造」。

 酒どころで有名な会津は、全国規模で開催される唯一の清酒鑑評会「平成28酒造年度全国新酒鑑評会」では、13酒蔵が金賞を受賞している。

 1911年から続くこの大会の金賞受賞蔵数で、福島県は歴代最多タイの5年連続日本一を記録している。そんな銘酒揃いの会津を牽引する老舗の酒蔵が、1850年創業の「末廣酒造」だ。JR会津若松駅から車で約10分、りっぱな木造の蔵は「会津若松市歴史的景観指定建造物」に指定されている。


中に入ると、昔ながらの造りの玄関に立派なこも樽が積まれている。

 酒蔵見学は、参加費無料。今でもすべて手造りで酒を造る古い「嘉永蔵」と新しい「博士蔵」、そして約100年前に建てられた住まいなどを見学することができる。


左:嘉永年間から手造りの醸造を今も続ける「嘉永蔵」。
右:熟成の古酒が並ぶ「熟成蔵」。

 明治時代までは、蒸した米と麹、水を櫂ですりつぶす山卸という重労働を経て酒を造っていた。このたいへんな山卸をやめて(廃して)、麹菌の力で酒を造る製法を“山廃造り”と呼ぶ。その山廃造りを初めて導入したのが、この末廣酒造だ。


往時の当主が、野口英世と一緒に写った写真も。

 現在の猪苗代町で生まれた偉人・野口英世は、養子縁組によるものなので血の繋がりこそないが、系図上は末廣酒造の3代目の主の甥にあたる。野口英世が渡米後にただ一度日本に戻って来た時は、その末廣酒造の主の住まいにも立ち寄っている。

 ここには英世の書が残っているが、その達筆ぶりには驚く。また英世の姿をとらえた写真もあり、歴史の一幕をうかがうことができるのだ。


左:希少な大吟醸と、大きな梅が漬け込まれた梅酒。
右:売店でいろいろな土産物を吟味したい。

 酒蔵見学の最後には無料の試飲もある。そして売店では、嘉永蔵で造る大吟醸も販売している。ここでしか買えない貴重な逸品だ。

末廣酒造
所在地 福島県会津若松市日新町12-38
電話 0242-27-0002
http://www.sake-suehiro.jp/

専用シャトルバスで会津の居酒屋へ


雪に包まれた名居酒屋「籠太(かごた)」。絵になる景色だ。

 さて、“冬のあいづ日本酒ガールズステイ”では、酒どころ会津を満喫するため、シャトルバス“小原庄助号”に乗って、会津若松の繁華街へと繰り出すことができる。

 17時にホテルを出発し、車内で日本酒の種類や飲み方などのちょっとした講座を聞きながら45分ほどかけて市内へ。こだわりの食材のお店や唎酒師のいるお店など居酒屋やバー約20店舗が記載されたオリジナルマップを片手に、自由に夕食と一杯を楽しもうという企画だ。

 なお、21時30分にはバスに乗ってホテルに戻れるので、心置きなく日本酒を楽しむことができる。


左:カウンターの向こうにはおでん鍋が。
右:ほかほかのおでん。

 この日は、会津居酒屋・郷土料理の「籠太(かごた)」へ。店内に掲げられたお品書きには“淡雪どうふ”や“紅豚の網焼き”など気になる料理が並ぶ。カウンターの前ではおでん鍋が湯気をあげ、それをよそってくれる大将の後ろには、会津の銘酒がずらり。


左:「籠太」のために仕込んでいる「末廣酒造」の大吟醸生酒。手前の淡雪どうふは、完全無農薬の大根おろしと山芋がかかっているふわふわのお豆腐。
右:会津地鶏の焼鳥。じゅっと旨みが口中に広がる。


〆は、せいろめしで。地鶏に鴨、栗も入ってホクホクでおいしい。

 あれこれ頼んで分け合いながら、酒蔵やお酒についての話を大将から聞くのがまた楽しい。

籠太(かごた)
所在地 福島県会津若松市栄町8-49
電話番号 0242-32-5380
http://www.kagota.co.jp/


バーにずらりと並んだ会津の日本酒。バーテンダーとの日本酒談議も楽しい。

 ホテルに戻って「会津モダンスイート」での部屋飲みもよし。ホテルのラウンジには、会津の全蔵元から取り揃えた日本酒約30種類が並ぶ「会津SAKE Bar」もある。おススメの日本酒と会津郷土おつまみ3種のセットでは、会津の珍味が味わえる。


セットについてくる会津郷土おつまみは、鮭の山椒漬け、クリームチーズの味噌漬け、大根の地酒漬けと珍味。それぞれに合わせた会津の銘酒も。

 杯も進んで、お酒好きの女子友との話は尽きない。さて、楽しくたらふく飲んだ翌日は……。朝寝坊してもいいよという幸せな“二日酔いご膳”からの一日は、後篇をお楽しみに。

星野リゾート 磐梯山温泉ホテル
所在地 福島県耶麻郡磐梯町大字更科字清水平6838-68
電話番号 0570-073-022
http://www.bandaisan.co.jp/

文=小野アムスデン道子,撮影=鈴木七絵