#143 Phu Quoc Island
フーコック島(ベトナム)


西海岸を中心にリゾートホテルが急増中のフーコック島。

 2014年の直行便の就航以来、人気継続中のベトナム中部ダナン。そんな勢い止まらないベトナムのネクストカミングな存在として、俄かに注目を集めているのが南部のフーコック島です。

 本土から約45キロ沖に浮かび、南北約50キロ×東西約25キロのハート形をした島は、生物圏保存地域として自然が守られ、“ベトナム最後の秘境”との声も。そして高台にある仏教寺院のフーコック・パゴダからは、お隣の国カンボジアも肉眼で見ることができる国境の島です。


マリオットの創業者ジョン・ウィラード・マリオットの名前を冠する最高峰ブランド「JWマリオット」。東海岸に夢の王国を築いています。

 2016年末あたりからグローバル展開をしているホテルグループの進出が始まり、今回はJWマリオット・フーコック・エメラルド・ベイ・リゾート&スパをチェックしに訪越。


レセプションは図書館のイメージ。エレガントな調度品の中に、アンティークの学術書などが並んでいます。


昆虫をテーマにしたヴィラ。壁の細密画は昆虫とその食べ物が描かれています。

 このリゾートのコンセプトが面白いのです。設定ストーリーとしては、この地の貿易商が息子に最高の教育を受けさせようと、1917年に設立した“ラマルク大学”が舞台。大学のマスコットはこの島固有の狩猟犬であるフーコック犬。

 レセプションには大学長の銅像が飾られ、そこから続く回廊には、過去に活躍したラグビーなどの学内のスポーツ選手の写真やギアが展示されています。きのこ研究室のようなスパ、シリンダーが並ぶ化学実験室のようなバー、観客席もあるグラウンド、7棟のホテルウィングも動物学などの学科ごとのテーマでデザインされています。


学食のようなメインレストランには、大学の功労者としてビル・ベンスリーも紹介されています。

 このユニークなホテルをデザインしたのは建築家ビル・ベンスリー。コンセプト作りから関わり、「おカネに糸目はつけない」というオーナーの言葉どおりに、独特の世界観を大きなスケールで体現しています。

 図書室に置かれている古書は、ビル・ベンスリーがヨーロッパで見つけた200年前のものだったりして、ディテールが本物なのです。学食のようなレストランの壁にはリゾート関係者のモノクロームの写真が、学校のOG&OBとして紹介されています。その中にはビル・ベンスリーの姿も。

 ここまで飛び道具的なデザインだと、子供っぽいテーマパークになりがちなのを、“大人の遊び心”と感じるのは、滞在中はそれがリアルだと思えるからでしょう。

活気溢れる朝の漁港を見物


朝のアントイ港。地元の暮らしを垣間見られます。

 フーコック島は新しいホテルが続々と登場していますが、まだ素朴な島の暮らしが守られています。ガイドのトゥイン・トゥン君が、島内案内をしてくれました。

 最初に訪れたのは活気溢れる朝のアントイ港。


氷を浮かべた巨大な桶にたっぷりのイカ。最初、プラスチックかと見間違えちゃいました。

 岸壁には水揚げする漁船が連なり、その脇でイカや小魚を満載したビニールの樽を秤にかけて元締め的なおじさんが金銭袋を片手に支払いを行っている姿も。ウニの処理をしている漁師さんは、殻をさばきながらも5個に1個は口の中に身を放り込んでいたりして。


船上でウニの殻をむいている漁師さん。たまに、パクリと口にも運ぶのを忘れていません。


見たことのない貝が水揚げされていました。美味しそうには見えないけれど……。

 ちなみに、訪れた時に建設中だった、港から見えるアントイ町とホントム島を結ぶロープウェイが2018年2月に開通。世界最長のロープウェイとしてギネス記録になったそうです。

ベトナムでは珍しい海のサンセット


ヌクマム工場にて。自分土産に本場のものをと、楽しみに訪れたのに……。

 フーコック島の名産といえば、ヌクマムと胡椒、そしてハチミツ。工場や農園の見学ができ、その場で購入もできます。ただし、ヌクマムは機内への持ち込みがNG(スーツケース内も)。本場の味を持ち帰りたかったのに、残念! 


オーガニック栽培の胡椒農園。こちらは購入OK。

 そして、お目当てのビーチ。フーコック島のメインビーチは西海岸のロングビーチ(チューンビーチ)。


ガイドさんに「ロングビーチに行きたい」とリクエスト。ホテル内ビーチはNGと思ったのか、工事現場の奥の浜へ。「え!?」。でも、思いがけず、手つかずの状態を見ることができました。

 約20キロも白砂ビーチが続き、インドシナ半島の東海岸を縁取るベトナムでは貴重なサンセットを拝むことができます。


西海岸に位置するソル ビーチ ハウス フーコック バイ メリアのサンセット。

 リゾートホテルのビーチでは、夕刻になると一日のハイライトとばかりに人々が集まってきます。水平線に沈む夕日、ビーチリゾートでは当たり前に思ってきましたが、ここではスペシャルに感じます。

 もうひとつ、東海岸のサオビーチ(JWマリオットの北隣)は2つの岬に挟まれた、手つかず感漂うビーチ。


地元の人々による海の家の手作り感がいい感じのサオビーチ。

 ヤシの葉で葺いた海の家やペイントした木製のビーチベッドなど、素朴な味わいです。季節によって、海の色の明るさや漂流物の有無などの違いはあるそうですが、白砂の美しさは通年変わらず。地元の人も毎朝、掃除をがんばっています。

フーコック島
●アクセス ホーチミンから国内線で約1時間
●おすすめステイ先
JWマリオット・フーコック・エメラルド・ベイ・リゾート&スパ
http://www.marriott.co.jp/hotels/travel/pqcjw-jw-marriott-phu-quoc-emerald-bay-resort-and-spa/

文・撮影=古関千恵子