昨年度の産学連携、民間資金受け入れ10%増 大きな進展はこれから?

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 文部科学省は2016年度の大学などにおける産学連携実施調査をまとめた。民間企業からの研究資金などの受け入れは、大型共同研究の伸びを受けて前年度比10・9%と2ケタ増になった。また大学が組織的に関わった共同研究は全体の3分の1だった。政府は、大学が組織的に関わることで企業資金の流入を急増させようとしているものの、大きな進展は次年度以降に持ち越されそうだ。

 実施調査によると、大学における企業からの研究資金など(共同・受託研究費や知的財産収入)の受け入れ額は計848億円。伸び率は過去5年間で最大となる同10・9%増だった。このうち「1件あたり1000万円以上の共同・受託研究」は273億円と同12・7%増で、これが全体を引っ張った。

 今回は同年11月に作成された「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」の内容実施状況も調べた。産学連携本部など設置する機関は289機関。共同研究のうち同本部などが組織的にかかわったのは30・2%だった。また大学の役員らが定期的に意見交換を行う企業のうち、共同研究の実績に結びついているのは33・0%だった。

 調査は17年3月末、政府目標の「企業からの投資を3倍に」が浸透し始めた時期に行われた。大学など1026機関が回答(回答率97・2%)。企業との共同研究の設計で大学が組織的に力を発揮し、それにより受け入れ額を増やすサイクルが期待されている。

キーワード/産学連携実施調査
Q 文部科学省の大学向け調査で中心的に取り上げる内容は。

A 共同研究、受託研究、治験、知的財産権による企業からの受け入れ金額や件数の総計だ。調査は2003年からで、直近6年間の変化も出ている。華やかな成功事例もあるが、全体の傾向としては「着実に伸び続けている」状況だ。

Q 「個別実績」のランキングには、上位に大規模大学以外も出てきて興味深い。

A 研究者や実務担当者の人数で規模別にした共同研究費ランキングでは、中堅大学の頑張りが見える。また、同一県内企業・自治体との連携を地域ブロックごとにみたデータでは、地域連携に力を入れているか比較できる。切り口が多様なため、各大学のアピールで活用されている。

Q 新規の調査項目も目を引く。

A 今回は産学連携ガイドラインの項目で実情を調べた点が新しい。前回は「クロスアポイントメント制度の導入」や「(利益相反や営業秘密の)リスクマネジメント体制の整備」だった。新たな動きに対する大学全体における状況を、これらで把握できる。