ICT対応の油圧ショベルに乗って性能や操作を学ぶ

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 「育て!なでしこエンジニア」―。日本キャタピラー(東京都中野区、矢口教社長、03・5334・5666)が、道路建設業などに携わる女性社員の支援を進めている。建設機械の最新技術や現場の安全対策の研修会を実施し、参加者に作業を体験できる機会を提供している。建設現場では熟練の作業者が不足し、慢性的な人手不足に悩まされている。女性が貴重な戦力として期待されており、しっかりとした技術を持つ人材育成の一助として期待される。

 日本キャタピラーは日本道路建設業協会(東京都中央区)のワーキンググループ「なでしこエンジニアの会」で活動している。この会には道路工事会社や測量機器会社などに勤める女性社員も参加しており、情報通信技術(ICT)を利用した施工や道路の建設技術などを学ぶ。今回の研修もこうした活動の一環だ。

 ここ数年で工事のあり方は大きく変わりつつある。国土交通省が現場でICTを活用する方針「アイ・コンストラクション」を進めているためだ。日本キャタピラーの施設「D―テックセンター」(埼玉県秩父市)で開いた研修でも、参加者はICT対応の油圧ショベルに乗って指導を受けたほか、測量機器の操作や施工に必要な3次元(3D)データの作成など一連の作業を体験した。

 また、同社は「建機を提供する立場として、建機が凶器と化す怖さを知ってもらう」(販売促進部)ことも重視し、使い方だけでなく安全対策も取り上げた。

 油圧ショベルの運転席からでは、バケット周辺の状況が分かりにくいといった死角を示すとともに、建機と作業者との事故も紹介した。建機を操作する女性が少ないことから、安全対策の知識が十分ではないという。

 一方、こうした現場では人手不足がさらに深刻化する可能性がある。アイ・コンストラクションにより作業効率の改善が見込まれるが、熟練作業者の離職をICT対応の建機やサービスだけで補うのは難しいのが実情だ。

 そこで女性作業者の確保が重要な課題といえる。なでしこエンジニアの会で活動する日本キャタピラーには、“3K”といった現場のマイナスイメージをなくして女性も安全に働ける環境づくりを進める役割が求められそうだ。
(文=孝志勇輔)