ドンキとユニーの提携1号店の「MEGAドン・キホーテUNY大口店」の店内。POP(店内掲示)などを見ると、店の雰囲気はドンキ色が濃い(記者撮影)

ドンキとユニーのタッグは、総合スーパー(GMS)の新境地を切り開くことができるか。

ドンキホーテホールディングス(HD)とユニー・ファミリーマートHD傘下で総合スーパー(GMS)を運営するユニーによる、ダブルネームの新業態1号店「MEGAドン・キホーテUNY大口店」(横浜市神奈川区)が2月23日にオープンした。

報道陣向けの説明会で、ユニーの佐古則男社長は「今後の市場のキーワードは、安さ、便利さ、そして楽しさだ。お客様のニーズに近い、楽しさを味わえる店舗を目指したい」と意気込みを語った。

ドンキ流で売り上げは5割増目指す

同店は、今年1月に閉店したユニーの「ピアゴ大口店」を改装。大きな変化は、低価格を全面に打ち出し、食品以外の商品の品ぞろえを拡充したことだ。


店内の洋酒コーナー。こちらもドンキ色が際立つレイアウトになっていた(記者撮影)

日用雑貨などを扱う1〜2階はほとんどドンキ流の仕入れで行う。以前は扱いが少なかった家電を取り入れ、化粧品や玩具、自転車などのラインナップを充実。その一方で衣料品のスペースは大幅に縮小した。

地下1階には食料品をそろえた。精肉や鮮魚コーナーは生鮮食品の仕入れに強みを持つユニーが売り場作りを主導。精肉コーナーは1.5倍に拡張された。他方、加工食品やドリンク類はドンキのディスカウント力を生かした店舗づくりにした。

かつてのピアゴ時代は、入店しても地下の食料品売り場に直行してしまう客が多かったという。それを店の入り口周辺にドンキが得意の“スポット仕入れ(季節商品の売れ残りや廃盤品を安価で仕入れる手法)”による格安商品を並べ、1〜2階での買い物も促す狙いだ。ところどころで低価格を強調したPOP(店内掲示)や商品の山積みが目に留まり、売り場のほとんどが「ドンキ仕様」に変貌。店舗の売上高は業態転換前から5割増を見込む。

ドンキHDとユニー・ファミマHDは2017年8月に資本業務提携を締結。同年11月には、ドンキHDがユニーの発行済み株式の40%を取得した。大口店のほか、3月までに既存のアピタやピアゴの5店舗をダブルネーム店に順次改装する予定。結果を見た上で、7店舗目以降の業態転換を進める方針だ。

背景に総合スーパーの不振

両者が手を組んだ背景にあるのは、GMSの不振だ。イオンやイトーヨーカドーに代表されるGMSは、大量仕入れ・大量販売や、「衣・食・住」にかかわる商品を1カ所で買えるワンストップショッピングといったビジネスモデルで成長した。


鮮魚コーナーは、ユニーが主導して店作りを行った(記者撮影)

ただ、時代の流れとともに価格と利便性での競争優位性は低下。ユニクロなどの専門店と比べて商品の魅力も薄れていき、食品以外の売り場で収益を十分に確保できない状況に陥った。これはユニーも例外ではなかった。

一方、独特の経営手法と非食品の品ぞろえの強さで突出するドンキは、若い世代や訪日観光客の需要を取り込み、順調に業績拡大を続ける。ユニーにとっては、自分たちが不得手とする分野に強みを持つドンキとの提携で、生き残りへの道筋を懸けたといえる。

「(ユニーとダブルネームの)6店舗が好結果を出せば、当社による“ポストGMS”路線はゆるぎないものとなる。約13兆円といわれるGMS市場全体の、相当のパイを当社が手中にできる」。2月6日のドンキHDの中間決算説明会で、大原孝治社長はそう強調していた。

多くのGMSは食料品の集客力に頼らざるを得ない状況下で、最近は食料品が店舗全体の商品の大部分を占めている。その結果、「総合スーパー」とうたいつつも、「食料品の専門店」と化していた側面も大きい。


大口店の正面は「MEGAドンキ」の看板が目立っていた(記者撮影)

その傍ら、ドンキは「MEGAドン・キホーテ」を中心に「衣・食・住」を扱う総合ディスカウントストアを展開。遊び心を入れた独特な売り場づくりや、個店ごとの現場主導で仕入れを行うバラエティに富んだ品ぞろえを武器に、GMSが失速する中で新たな「総合小売業」の立ち位置の確立を狙っている。

ポストGMSに向けた野望

食品については2007年に買収した長崎屋を再建する過程で強化してきたものの、「マーチャンダイジングや仕入れの目利きはドンキの生鮮のチームがまだ足りないところ」(ドンキHD出身で長崎屋社長とユニー取締役を務める関口憲司氏)。ユニーが築いてきた仕入れのルートや、食材の加工などに関するノウハウを吸収していけば、生鮮食品の供給力強化につなげることができる。


ユニーの佐古則男社長は「楽しさを味わえる店舗を目指したい」と語った(記者撮影)

主にGMSや家電量販店の居抜き物件を割安で取得して活用してきたドンキだが、近年はこうした居抜き物件が減ってきた。2020年までにグループで500店舗(2017年12月時点で403店舗)展開を目指し出店拡大を続けるドンキには、ユニーの既存店舗の活用が追い風となる。

将来的にユニーとの共同配送や物流倉庫の効率化、ユニーと同じグループであるファミリーマートも含めた一部商品の共同仕入れを実現できれば、ドンキ側としてもコスト削減につなげられる可能性がある。

“ポストGMS”の確立という野望の達成に向け、突き進むドンキ。ユニーとのタッグでどこまで歩みを進められるのか。新たな挑戦は始まったばかりだ。