金正恩党委員長(右)は妹を通じて文在寅大統領の訪朝を要請した。南北首脳会談が実現するかどうかに関心が集まる=(聯合ニュース)

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【ソウル聯合ニュース】平昌冬季五輪に合わせた北朝鮮高官代表団の訪韓を機に、韓国と北朝鮮の間の「ホットライン」が復活したとの見方が出ている。

 韓国統一部は22日、北朝鮮が平昌五輪の閉会式(25日)に金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長兼統一戦線部長を団長とする高官代表団を派遣すると通知してきたことを明らかにした。青瓦台(大統領府)の高官はこの直後、北朝鮮がいつ金氏の派遣を伝えてきたのかとの質問に「正確には分からないが、非公式接触が行われる中で韓国に要請してきたと承知している」と伝えた。この「非公式接触」で韓国情報機関・国家情報院(国情院)に設置された南北間のホットラインが使われたのではないかとみられている。

 北朝鮮に融和的な政策を取った金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)の両政権では、国情院に北朝鮮とつながる直通電話(ホットライン)が設けられており、これを通じて南北の首脳が意思疎通を図っていたとされる。

 盧武鉉政権で外交・安全保障政策を担ったある関係者は23日、「国情院には当時、24時間稼働しているラインが存在し、これを通じて伝えられた北のメッセージはすぐに大統領に報告された。北も同じようにしていたと承知している」と明らかにした。

 このホットラインは2000年の当時の金大中大統領と金正日(キム・ジョンイル)総書記による南北首脳会談以降に開設され、盧武鉉政権に引き継がれた。金大中政権で統一部長官を務めた林東源(イム・ドンウォン)氏は回顧録で、金大中氏が会談で首脳間の「非常連絡網」を設けることを提案し、金正日氏が快諾したことを明かしている。

 だが、この南北ホットラインは盧武鉉政権の次の李明博(イ・ミョンバク)政権が制裁と圧力に軸足を置く対北朝鮮政策を進めたことで断たれたという。続く朴槿恵(パク・クネ)政権でもその状況は変わらなかったが、北朝鮮が先の平昌五輪開会式に合わせて金正恩(キム・ジョンウン)党委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長を韓国に派遣したことを機に復活した可能性が高い。文在寅(ムン・ジェイン)現政権は南北対話を重視している。

 ホットラインは韓国では国情院に、北朝鮮では対韓国政策を統括する統一戦線部にそれぞれ設置され、運用されるという。そのため、ホットラインの復活は国情院と統一戦線部の緊密な意思疎通につながり、南北関係だけでなく米朝関係や北朝鮮核問題などに関する踏み込んだ協議が可能な環境をもたらすとみられる。南北は過去にも、ホットラインを用いて特使派遣、黄海での軍事衝突時の対応、米朝対話の調整などさまざまなことを話し合ってきたとされる。

 ホットラインが復活したとすれば、南北間には軍事境界線がある板門店の連絡チャンネル(統一部が管理)、黄海の軍通信線(軍当局が管理)を含め、朝鮮半島情勢や南北関係を協議するための意思疎通チャンネルが重層的に備わったことになる。