従来手法での発光(左)とAkaBLIを使った発光(理研の資料を基に作製)

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 理化学研究所脳科学総合研究センターの宮脇敦史チームリーダーらは、脳の深部を発光させ、生体外から信号をリアルタイムで観察する非侵襲的な手法を開発した。マウスや小型霊長類のマーモセットの脳細胞で化学反応を起こし、発光させた。がん細胞の動きや脳機能の研究などに応用が期待される。成果は23日、米科学誌サイエンスに掲載される。

 発光とは、分子が酸化反応を行い、蓄えたエネルギーをある波長の光として放出することを指す。自然界ではホタルやオワンクラゲなどが、生体内で基質と酵素を反応させ発光している。これまでに人工の基質「AkaLumine」が開発されている。

 研究チームは、AkaLumineに対応する酵素「Akaluc」を作成し、新しい人工生物発光システム「AkaBLI」を開発した。

 マウスやマーモセットの脳の「線条体」と呼ばれる部分に、アデノウイルスを使ってAkaluc遺伝子を導入。基質であるAkaLumineを腹腔内から入れて発光量を調べると、強い発光シグナルを検出できた。マウスの場合、従来手法と比較して脳内の発光シグナルは1400倍強かった。

 また、AkaLumineを含む水をマウスに摂取させて観察したところ、線条体からの発光シグナルが検出できた。注射や麻酔などを使わない非侵襲的な手法で、生体内の発光シグナルを検出することが出来た。

 宮脇チームリーダーは「注射は動物にストレスを与える。AkaBLIでは、ストレスの影響を受けることなく、自然に近い脳の機能の観察ができる」と見ている。