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米国のドナルド・トランプ政権の通商政策について、「11月の中間選挙を前に、支持者向けに保護主義色を強めるのではないか」との懸念が広がっている。しかし、中間選挙への影響だけを考えれば、トランプ政権にとって保護主義は得策ではない。本当に心配すべきなのは、中間選挙への影響を度外視して、トランプ政権が保護主義に突き進む時だ。(みずほ総合研究所欧米調査部長 安井明彦)

2年目のトランプ政権
保護主義本格化が懸念

 トランプ大統領は、保護主義的な政策を掲げて当選したにもかかわらず、1年目の政権は、保護主義という点では「肩透かし」だった。実害が生ずるほどの保護主義的な政策は実現せず、強いていえば、就任早々に行われたTPP(環太平洋パートナーシップ)協定からの離脱が目立った程度である。

 2年目の政権運営では、そうした潮目の変化が懸念されている。背景として指摘されるのが、11月に投開票が行われる議会中間選挙への思惑だ。「選挙を控えたトランプ政権が、支持者の熱意を維持するために、いよいよ保護主義に乗り出す」というわけだ。

 実際に、2018年に入ってからのトランプ政権には、気になる動きが出ている。まず、1月下旬には、洗濯機と太陽光パネルに対して、輸入急増による米国企業の損害を防ぐために、緊急輸入制限措置(セーフガード)の発動が決定された。

 続いて2月には、鉄鋼、アルミ製品の輸入について、「安全保障上の理由から輸入を制限すべき」との報告を、商務省がトランプ大統領に提出していたことが明らかにされている。この報告は通商拡大法232条という米国の国内法に基づく調査結果であり、実際の輸入制限措置発動の有無は、4月までにトランプ大統領が決定することになる。

 ほかにも、注目される案件が目白押しだ。中国に関しては、知的財産権の扱いを理由とした通商法301条による制裁措置発動の是非に関する調査が昨年から進められている。通商交渉では、NAFTA(北米自由貿易協定)や米韓自由貿易協定の見直し交渉が進行中だ。

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