ポーランドリーグ2部のオドラ・オポーレから加入した元日本代表MF松井大輔と、京都パープルサンガでプレーした2000シーズン以来、18年ぶりにチームメイトとなったカズ Photo by Naoto Fujie

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2月23日に今シーズンの開幕戦が行われるJリーグは、産声をあげてから5月15日で25周年を迎える。Jリーグ元年のピッチに立った選手たちの中で今も現役でプレーしているのは、歴史的な開幕戦を戦ったヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)のキャプテン、FW三浦知良(現横浜FC)しかいない。25年前の感動と興奮をリアルタイムで経験していない、Jリーグがある日常を当たり前と感じている世代が増えてきた中で、まもなく51歳になるサッカー界のレジェンドは、「進歩する技術や戦術を超えた部分にある、念願のプロ時代への扉を開けるきっかけにもなったハングリーな思いが、何よりも大事だ」というメッセージをサッカー界へ送った。(ノンフィクションライター 藤江直人)

1993年、Jリーグ誕生のとき

 今は取り壊された旧国立競技場のピッチ上の空間を、さまざまな色のレーザー光線が駆けめぐる。幻想的な雰囲気の中で人気ロックバンド、TUBEのボーカル・前田亘輝が『君が代』を独唱し、ギタリスト・春畑道哉が公式テーマ曲『J'S THEME』を生演奏する。

 当時流行っていたチアホーンを吹き鳴らす、ファンやサポーターの頬は緑やトリコロールカラーのフェイスペインティングで彩られ、手首にはミサンガが巻かれている。そして、Jリーグの初代チェアマンの川淵三郎(現日本サッカー協会最高顧問)が笑顔で開会宣言を読みあげた。

「スポーツを愛する多くのファンの皆様に支えられまして、Jリーグは今日ここに大きな夢の実現に向かってその第一歩を踏み出します。1993年5月15日、Jリーグの開会を宣言します」

 メインスタンド下の空間には、スタジアムを揺るがす大声援や華やかなスポットライトが伝わってくる。スタンバイしていたのは、NHK総合でゴールデンタイムに生中継された開幕戦に臨むヴェルディ川崎、横浜マリノス(現横浜F・マリノス)の選手たちだった。

 前身の日本リーグ時代の終盤から、前者は読売クラブ、後者は日産自動車として日本サッカー界を牽引していた。ともに日本代表チームへ多くの選手を輩出し、人気、実力の両面で飛び抜けていたこともあり、1試合だけ開催された特別な一戦に臨むチームに指定された。

 キックオフを前にしてマリノスの司令塔、34歳の木村和司が泣いていた。ドリブラーとして一時代を築いた、32歳の水沼貴史も木村とも抱き合う。一日千秋の思いで待ち焦がれたプロ時代の到来。ヴェルディの守備陣を束ねる37歳の加藤久は、万感の思いをこらえながら2人と熱戦を誓い合った。

 そして、ヴェルディの選手たちの最前列で、キャプテンとしてスタンバイしていたのがカズだった。左腕には実はフランスの高級ファッションブランド、エルメス製のスカーフが巻かれていた。夫人のりさ子さんが、檜舞台のために用意した特製のキャプテンマークだった。

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