「東京は所詮、田舎者の集まりだ」

時に揶揄するように言われるこの言葉。

たしかに東京の中心部には、様々な「田舎」や「地元」を持つ者があふれている。

遠く離れた地方出身者はもちろん、東京出身者でさえ「地元」への想いを抱えている。

あなたにとっての、「地元」とは?

これまでに、横浜出身の商社マン・亮太や青山出身の新次郎、神戸出身の隆之、福岡出身の優子を見てきた。今週は?




【今週の地元愛をさけぶ女】

名前: 百合
年齢:28歳
職業:大手薬品メーカー勤務
年収:400万
出身地:千葉県柏市
現在の居住地:千駄木


全てにおいて“中の上”な千葉県民?


白のVネックにふんわりとしたAラインのスカートで現れた百合。綺麗に手入れされている髪からは、ほのかに甘い香りがする。

「一口に千葉と言ってもとても広いのですが。」

そう前置きをしてから、百合は地元・千葉県に対する思いを話し始めた。

「私は柏市出身のため、千葉市はむしろ遠いんです。逆に東京の方が近いので、高校生の時から東京で遊んでいました。柏愛は強いですが、千葉県に対する愛は、他県の方々に比べるとそこまで強くないかもしれません。」

だからと言って東京に執着するでもなく、東京への思いも極めて希薄だという。

「千葉には何でもありますし、東京ほど雑多でもないですし…」

千葉へも東京へも、強い思い入れはない。

百合からはどっちつかずの印象を受けるが、それがまさに千葉県民の特徴を表しているようだ。

「千葉県民は、一発大逆転を狙う!というよりも、地道にコツコツと幸せを築く人が多いですね。」

おっとりとした語り口調に、控えめな雰囲気が見え隠れする百合。現在勤務している会社を選んだ理由も、“安定”しているからだという。

「“絶対に一番になりたい!”みたいな欲はないですね。強いて言うならば、優しい旦那様を見つけて、暖かくて幸せな家庭を築けたらいいかなぁ。」

千葉県民は欲望があっても、突き抜けるほど極端になれない。

まさに“中の上の悲劇”の典型的な例だという、千葉県民の葛藤を教えてもらった。


千葉県民の心にくすぶり続ける欲望と、突き抜けられない現実


千葉県民からモテるのは、総合得点が高い商社マン


千葉県民の “くすぶり”は、彼女の婚活にも影響しているようだ。

仕事もそこそこにアフターファイブを楽しく過ごすなど、まさにOL を地で行く百合。彼女の結婚願望は、もちろん強い。

「食事会の相手は経営者や外資系金融マンよりも、堅い職業の男性の方が多いです。国内のメガバンク、メーカーや同業種などが多いかな。でも本当は、商社マンと結婚したいんです。」

その理由を聞くと、見た目・性格・仕事を総合して、バランスが取れている人が多いからだという。

「何かに秀でている人よりも、平均点が高い男性が好き 。あと、安定している職業の人に魅かれる傾向にありますね。」

東京のベッドタウンとして発展してきた千葉県は、サラリーマン世帯で育った人が多い。

コツコツと堅実に幸せを掴む両親を見て育ったせいか、千葉女子が最後に選ぶのは、両親のように手堅い幸せを掴める人だという。

「もっと上を目指したいと思いながらも、己の市場価値も分かっている。高望みしてはいけないと思う自分もいます。」

少し華やかな生活が送れる年収3,000万の男性ではなく、年収1,200万くらいの男性を“己の最適解”としているそう。

しかし、東京での生活が長くなるにつれて生じるジレンマもある。

「以前は何の疑問を持つこともなく、“平凡だけれども幸せな家庭”を築くのが夢でした。でも、東京生活が長くなるにつれて、本当にそれが幸せなのか、分からなくなってきたんです。」

年々、男性を見る目が肥えていく百合。

実家にいた時は堅実・安定を求めていたが、今はよく分からなくなってしまい、本人も葛藤を抱えているようだ。

「東京にいると、無意識のうち作っていたそれまでの価値観を疑うことがあるんです。」

東京で出会う人たちの中には型破りな人たちも沢山いる。

想像もしていなかったような出会いがあるのも東京の魅力であり、魔力でもある。

男女問わず色んな人を知るほどに、自分にももっと他の可能性があるのではないかと思うことが増えたと言う。




ごくごく一般的な中流家庭で育ち、高校は地元の千葉高校へ。大学は明治大学へ進学し、現在の会社に就職…と、平凡ながらも幸せな人生を歩んできている百合。

しかしその生い立ちにも、中の上の悲劇があるようだ。

「明治大学へ入学したものの、早慶には敵わない。生活に困ったことはないものの、育ったのはごく普通の家庭。東京にいる生粋のお嬢様たちとは比べものにならないなど、いつも自分の立ち位置が中途半端なんです。」

スーパースターの近くにいても、彼らのようにはなれないという葛藤を常に抱えている。だが心の奥底では、そんな自分を嫌いではない。

千葉県に対する思いと、自己への思い。それが似ているようにも見受けられた。


永遠に答えの出ない埼玉vs千葉問題。どちらが上なのか?


“ほぼ東京”というプライド


普段は特筆すべき地元愛のない千葉県民だが、埼玉vs千葉になった時のみ、千葉県民が一丸となるという。

「よく埼玉県と比較されがちですが、私たちには東京ディズニーランドがありますから!埼玉と比較したら千葉の方がいいことは明白です。」

“東京ディズニーランドがある”ことは千葉県民にとって何よりの自慢なのか、急に百合は意気揚々と語り始めた。

「あと、柏市は昔“千葉の渋谷”と言われていましたし、つくばエクスプレスができた影響で、『流山おおたかの森』は“東の二子玉”と言われているんですよ!」

屈託のない笑顔で堂々と言うところに、“ほぼ東京”という千葉県民の小さなプライドが見え隠れする。

「東京だと上野、丸の内、銀座などが、馴染みがあるので好きです。柏から行きやすかったので。」

ベッドタウンで育ってきた千葉県民は、都内でも便利だが少しだけ外れた場所がお好きなようだ。




千葉は東京から通勤・通学が可能なため、20代のうちは東京で頑張ったとしても、結婚して家庭ができると千葉県に戻る人も多いという。

「東京より不動産の価格が安いし、子供を育てるには良い環境。都内で無理をして高い家賃を払い、子供を私学に行かせたら何も残らないけれど、千葉ならそれなりの幸せを手に入れられるから。」

共働きで、きれいなタワーマンションで、夫婦で協力しながら子育てをする…。

そんな絵に描いたような幸せが、千葉ならできると言う。

「その一方で、東京にい続ける人もいる。でも実家が近いので、いざとなったらいつでも帰れる安心感はあります。」

実際に、百合も結婚したら千葉に住むのは厭わないという。

「とは言え、もし仕事を続けていたら東京で働きますし、千葉で専業主婦になったとしても頻繁に東京に来ると思います。」

そして最後に、百合らしい答えが返ってた。

「はたから見たら、くすぶっているかもしれません。トップになれない葛藤もあります。でも実際には、この安定している日々が嫌いではないんです。」

葛藤がありながらも自分の収まるべき場所(落としどころ)を知っており、やはり心の奥底では“平凡な毎日こそが最高の幸せ”と知っている千葉県民。

ある意味、とても豊かな生き方をしているのかもしれない。

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